(46 / 274) ラビットガール2 (46)

「ふぁ…」


ジンベエの腕の中にいたアスカは目を覚ます。
眠ったことで酔いも醒めたのかぐぐっと背筋を伸ばしながら起き上がる。


「あれ…ここどこ?」


アスカが目を覚ましたのは知らない部屋だった。
サニー号にあるナミとロビンと自分の部屋ではない部屋。
いつのまに眠ったのだろう、と酔ったことさえ忘れアスカは首を傾げながら部屋を出た。



◇◇◇◇◇◇◇



「危なかった!!重ね重ね礼を言う!!」


ルフィ達を探し、アスカはウサ耳をピンと立てていた。
すると右大臣の声とルフィ達の声が聞こえアスカは声のした方へと足を運ぶ。


「財宝泥棒め!まだ城内におったとは…!!普段はメダカ1匹侵入不可能の城だが戦いの最中門は開いたままで…!!見ろ!この竜宮城右側の塔などスッパリと斬られておる!!恐らくあの財宝泥棒が我らの留守に…」

「いや、あの塔斬ったのはコイツだ!!檻からの脱出に柵も部屋もまーハデにぶった斬りやがって…」

「あいつのせいにしとけよ!!バカヒトデ!!」


何がどうなって右大臣がルフィ達に頭を下げているかは分からないが、とりあえず自分が眠っている間に感謝される事が起こったのだとアスカは頭で冷静にもそう思いルフィ達の元へと歩み寄る。


「お!アスカ、起きたのか!」

「うん…なんで寝てたか分からないけど…」

「覚えていないのか?」

「?、うん……え…なに?私何かやった?」

「……いや、覚えてないならそれでいい」

「…?」


アスカに最初に気付いたのはルフィだった。
ルフィは隣に来たアスカに嬉しそうな笑みを見せ、アスカもルフィの笑みに目を細め小さく微笑んだ。
ゾロもアスカに気付き何故眠っていたのか分からないと言うアスカに怪訝そうに眉を顰めた。
そんなゾロの反応にアスカは首をかしげ何かやったのかとゾロに聞くがゾロは酔っていたと話、アスカが酒の味を覚えてしまっては過保護組みが煩いと思いはぐらかす。
それに奴隷の話しを言ったことをゾロは言えなかった。
ゾロはゾロでアスカに気を使っていたのだ。
はぐらかされたアスカは更に疑問が深まるばかりだが、問い質しても言う性格ではないと知っているため何も問わずルフィに事情を聞く。


「ちょっと待って!!右大臣ちゃん!!財宝泥棒って何!?」

「実は…」


アスカがルフィに事情を聞き『成る程、だからしらほしが泣いてるんだ』と自分より大きいしらほしが足を抱えしくしくと泣いているのを見上げているとナミが右大臣に待ったをかけた。
財宝と言ってナミが聞き逃すわけもなく、右大臣の説明に驚きの声を上げるナミにルフィ、ゾロは嫌な予感が過ぎり、アスカの後ろへ少しずつ移動する。
大の男が自分の後ろに隠れる仕草にアスカは呆れたように横目でルフィとゾロを見つめるが…ナミの恐怖をしっかりと体験しているアスカも人の事が言えず何も言わないでやる。


「国の財宝でしょ!?追わないの!?」

「命ある国民達が救われた後では財宝も軽く見えてな…」

「じゃあ私達が取り返したら?」

「全部やろう!…国の恩人に渡るなら本望じゃもん。」

「ホ〜ント〜〜!?」


アスカとお金関係になると押さえが利かないナミが移る次の行動など手に取りように分かるゾロとルフィは情けなくともアスカを犠牲に助かろうとしていた。
ただ、サンジだけは目を覚ましたアスカに喜び、女性であるナミに逆らうことなど考えもしないためニコニコ笑っている。
振り返ったナミは怒りで身体を震わせるが、その瞳には見事にベリーになっていた。


「あんた達!なんであいつ吹き飛ばしたのよ!!なぜここで殴って縛りあげなかったの!?」

「「え…!?」」

「…………」

「さっさと探してらっしゃいよ〜〜〜!!!」

「「ぎゃ〜〜〜!!」」


一味の中では決して逆らってはいけない人物が2人いる。
それは船長ではない。
船医でもコックでもない……そう、その人物とはナミとアスカである。
女性が頂点に立つのはある意味自然で、特にナミの鉄拳は流石のゾロも慌てるほど強くアスカの背中に隠れアスカという名の生け贄で怒りを抑えようとしていた。
しかしそれは無駄な努力だったという。
ナミはアスカの後ろにいるゾロとルフィ、そして自分に振り返るナミに嬉しそうにしているサンジの背を蹴って竜宮城から吹き飛ばし財宝泥棒を追わせる。
しかし…


「あ…っ!!」

「アスカ…!」


ルフィに服を握られていたアスカも道連れと言わんばかりに追い出されてしまった。
伸びたルフィの腕が縮まった事で勢いよくルフィの元へ引っ張られたアスカにナミも目を丸くし、手を伸ばすがアスカは虚しくもナミの目の前から一瞬にして姿を消した。


「ル〜〜フィ〜〜〜〜!!!!」


自分がルフィを蹴り飛ばさなければアスカも追う事はなかったのだが……ナミは自分が悪いとは微塵も思わずアスカを連れ去ったルフィへの怒りに身体を震わせ腹の底から怒り声を上げる。
その声は飛ばされたルフィにも届き、ルフィはガタガタと身体を震わせていたという。



◇◇◇◇◇◇◇



「おい!見ろ〜〜!ゾロ!サンジ!アスカ!!あったぞ!!簡単に見つかった!!」

「お前のパンチですでに仕留めてたんだな…つまらねェ。」


財宝泥棒こと、カリブーを追い、ルフィ達は本島にいた。
…というか行かされた。
本島は広く、1日で見つかるか分からなかったがカリブーは案外早く見つかり、カリブーはすでにルフィの拳によって伸びており、そのカリブーの周りには輝く財宝が散らばっていた。


「こりゃあスゲェ量散らばってんぞ!?本当に全部おれ達にくれるつもりなのか!?もじゃ王は!」

「すごい…」


カリブーの能力、ヌマヌマの実によって沼人間の自分の体に財宝を入れていたようで、気を失うとその中にあった全ての財宝が出てきてしまったようである。
自分も巻き沿いを喰いブツブツ文句を言っていたアスカも散らばりキラキラと光る財宝に目を丸くさせるしかなかった。


「んアスカちゅわ〜ん!!」

「なに?」


4人は適当な袋に財宝を詰めていると、後ろで同じ作業をしていたサンジに甘い声で名を呼ばれ、慣れたようにサンジに振り返る。
するとサンジは振り返るアスカの首にネックレスをかける。


「サンジ…?」

「ん〜!!やっぱりアスカちゃんは何をつけても可愛い〜〜!!おれからの迷惑料だよ!おれの為について来てくれてありがと!」

「いや、別にサンジの為に来たわけじゃ…っていうか連れて来られたんだけど…」

「バカかてめぇは…」

「ああ!?んだとこのクソマリモ!!てめェらのせいでアスカちゃんがこんな重たいもん持つ事になったんだろうが!!てめェも迷惑料としてアスカちゃんにその刀1本でもやれや!!」

「あ!?なんで刀やらねーといえけねェんだよ!!その脳みそ腐ってんのか!?…ああ、すまねェ腐ってるよな…なんせアスカに骨抜きなんだから」

「はあああ!?アスカちゃんになんつー失礼な事を言いやがる!!アスカちゃんは可愛いじゃねェか!!あの冷たい眼差しも全ては彼女の優しさ!!全てを包み込み見守るだけが優しさじゃねェ!!時には冷たく突き放すのも優しさだ!!それが分からねェのか!だからいつまで立ってもマリモなんだよ!!」

「マリモ関係ねェだろうが!!大体こいつから優しさなんて1ミリも感じられねェだろ!!なんだ!時には冷たく突き放すのも優しさって!!こいつァ24時間365日突き放してるだろうが!!どこが優しいってんだ!?ああ!?」

「なーなー!!これでどれくらい肉買えるかなー!」

「っていうか…それ、ナミが絶対許さないと思う。」


アスカの首に掛かっているのはキラキラ光る宝石のネックレス。
しかしシンプルかつ可愛い品物だった。
小首を傾げるアスカと、その首に掛けられているネックレスを見てサンジはいつもの発作を起こす。
それにケッと鼻を鳴らすゾロの言葉をきっちりと聞いていたサンジは額に青筋を立てメロメロのフニャフニャだった顔を鬼のような形相に一瞬にして変えゾロを睨みつける。
ゾロもまるでヤ○ザのようにサンジを睨みつけ、いつもの喧嘩が始まった。
その喧嘩の中心にあげられているのがアスカなのだが…アスカ本人は気にもせず男3人よりも遥かに軽い袋を背負っていた。
能力を出せば一味の誰よりも力持ちなアスカだが、サンジがあまり重たい物を持たせたくないと喚くため、そして不本意にここにいるためアスカも重たい物を持ちたくないと軽い物を持っていた。
しかし軽いと言っても財宝は本物で、それなりの重さがある。
アスカはウサ耳と尻尾を出し少女が持つには重過ぎる袋を背負っていた。
そんなアスカにルフィは上機嫌に笑うが、この自分達が背負っている全ての財宝を肉に変えるなどナミが決してするわけがなく、上機嫌な幼馴染に呆れたように横目で見つめる。


「竜宮城はどうやって行く?」

「あっちに町があるよ…町に行けば飛ぶ魚がいるはずだし……その魚に乗って竜宮城に帰ればいいんじゃない?」

「そうか!」


まだ2人は言い合い睨み合い、その2人のいつものやり取りをBGMにルフィとアスカは不機嫌で待っているナミの元へ帰ろうと歩き出す。
2人が歩き出せばゾロとサンジも2人についていくが…喧嘩は止まらない。

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