お菓子工場では…
「だからよ!左大臣!ガオー!」
「何とか多めに見てもらえんか…突然の大事件で工場を襲われ…」
「そんな"内乱"おれ達には関係ねェ!!」
左大臣がある人物を前に冷や汗を拭っていた。
その人物とはビッグ・マム海賊団の戦闘員であるライオンの姿のペコムズだった。
月に一度のお菓子を取りに今日、来たのだ。
なんともタイミングの悪い彼らに左大臣はとりあえず納得してもらおうと説得する。
しかし内乱が起きたことなど気にもしないペコムズは声を上げる。
「つまみ食いを期待したおれもお腹ペコペコよ!!おたくら月一回菓子を収める!ウチはママの『名前』を貸す!!それで成り立ってんじゃねェのかガオ!!協定結んだ仲でよこんな事言いたくねェがママの怖さ知ってんだろ?怒らせたらお前ら……滅ぶぞ!!」
ペコムズは国民達に脅すように声を張り上げ、実際脅しているのだが…凄んでいるつもりのペコムズはサングラスを上げて睨みつける。
…が、その姿はとても愛らしく、つぶらな瞳が邪魔して凄み切れていない。
口には出さないが国民達もつぶらな瞳で睨まれてもビクリともせず全員心の中で『スゴむと可愛い…』と思っていたとか…
そんな国民達をよそにペコムズはサングラスを元に戻し『落とし前つけろや!ガオ!!』と声を上げて癖なのかガッツする。
「お〜い!!お菓子工場!!」
どう言い訳をしても聞かないペコムズにどうすべきかつぶらな瞳を見ながら左大臣は考えていた。
しかし、その時この国を救ってくれたルフィ達が現れ、国民達はペコムズをよそに嬉しそうに声を上げて手を振る。
「ルフィ君…!なぜここに…」
「おお!"麦わらのルフィ"!」
「ルフィさーん!!宴は終わったの〜!?」
「ああ!!ハラいっぱい食った!!肉もうまかったけど魚人島のお菓子最高だったぞ〜〜!!」
「!!!」
手を振る国民達に釣られてルフィも手を振る。
しかし国民達はルフィの言葉に嬉しそうに綻んでいた表情を一変させ血の気を引かせ真っ青になって口元に人差し指を当てる。
その様子をルフィは当然知る由も無いが、後ろにいたサンジ、ゾロ、アスカは気付き、3人はお互い顔を見合い小首をかしげた。
「お菓子だとォ〜〜!?誰だァあいつ…ら………―――っ!!」
お菓子という単語を聞き、ペコムズは眉間のシワを更に深めルフィ達へ目線をやる。
凄もうとしたペコムズだったがルフィ達の方を見たその瞬間サングラスの奥にあるつぶらな瞳をまん丸にさせ1人の人物を凝視する。
「ペ、ペコムズ氏…?」
「て、天使だ…」
「…は?」
「天使がいる…!!」
固まったペコムズに気付いた左大臣はルフィ達からペコムズに振り返り恐る恐る声をかける。
しかしペコムズは感極まったように身体を震わせある一点を見据えていた。
そのペコムズの目線を伝っていけばそこには…アスカがいた。
アスカは今、荷物を運ぶ為にウサギ耳と尻尾を出しており、何故アスカを見ているのか分からない左大臣などよそにペコムズは身だしなみを整えた後『ゴホン!ゲフン!』と咳払いをする。
そしてペコムズは国民達の様子が可笑しい事をサンジとゾロ達と話しているアスカの元へと歩み寄っていく。
「おい!お前!!」
「?」
サンジとゾロと話していたアスカはペコムズに声を掛けられ、ペコムズへと振り返る。
アスカが自分を見た事によってペコムズの顔は一気に真っ赤に染め上がり、ドックンドックンと心臓の音が異様に耳に大きく届いていた。
ペコムズ視点でのアスカは振り返ったため腰までの長く美しい髪が舞い、その頭に生えているのは純白色に愛らしいくピンとまっすぐに伸びているウサ耳、黄金のような金色で美しく大きな愛らしい瞳、化粧などしていないのに薔薇色の艶かしい唇、そして愛らしく桃色に染まっている頬…とゾロが見たら誰だよコレ…と即答で答えられるほど美化されていた。
ついでに周りも愛らしい華で飾られキラキラと光っている。
そんなアスカにペコムズは更に心臓の鼓動を速めるがそんな見つめ合う(ペコムズ談)2人の間に邪魔者が入って来た。
「ああ?てめェアスカちゃんに何の用だ」
「アスカちゃん……アスカと言うのか、お前!」
「てめェに教える名などねェ!!とっとと野生に帰りやがれ!!」
「ああ!?」
同じ恋するもの同士なのか…それとも可愛いアスカにつく悪い虫を感じ取ったのか…サンジはアスカを背に隠しジッとアスカを凝視するペコムズを睨みつける。
自分とアスカの間に邪魔者が入りペコムズは不機嫌そうに目の前のサンジを睨みつけるが、サンジも負けじとペコムズを睨みつける。
「おめェら…麦わらの海賊団だな?で、お前は麦わらのルフィ……間違いねェ…評判の海賊がこんなところに……そうか、お前は"冷酷ウサギのアスカ"か…」
「そうだけど、それが何?」
サンジがアスカを背に守った為ようやくサンジ達の存在に気付いたペコムズは持っていたメモの紙を何枚か捲り、ルフィ達のページを見る。
そこに映っていたのはルフィ、ゾロ、サンジ、と全員の賞金と顔写真、名前等がメモされており、当然アスカも書かれている。
アスカの異名と本名を知りペコムズは紙からアスカへと顔を上げる。
アスカはだから何だと怪訝そうにペコムズを見つめ、そんなアスカにペコムズはビシっと指差し声を上げた。
「ウサギ!おれはお前に一目惚れした!!ウサギであるお前とライオンであるおれらは狩り・狩られる者!!そんなおれらは運命の赤い糸で結ばれている!!絶対そうに違いない!!だから付き合え!!」
「な…!なんだとおおお!!?アスカちゃんと付き合おうなんて百億年早いってんだ!このクソライオン!!いいか!アスカちゃんに結婚の申し込みをするのなら!!まずおれを倒してからにしろ!!話はそれからだ!!」
「さっきからお前なんだ!!アスカの何なんだ!!」
「だからアスカちゃんを気安く呼ぶんじゃねええええええ!!!!!」
「てめェこそおれのウサギに気安く触ってんじゃねえええええ!!!!!」
2人は再び無駄な争いを始める。
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