(61 / 274) ラビットガール2 (61)

まず、ローは海軍の足止めをした。
宙に浮かした軍艦を真っ二つに割り、岩と岩をくっ付け、その上に軍艦の先端部分をくっ付けオブジェのように変えた。
そして後方の部分を叩きつけるように雪が積もる地面へと落とす。
上に落ちてくる軍艦だったモノに海兵達は必死に逃げた。
そしてその衝撃で雪が舞い、暫く白い雪が視界を塞ぐ。


「ぎゃ〜〜!!みろスモさん!!だからコイツと関わりたくねェんだ!!!」


白い雪が塞いでいた視界がはっきりしはじめ、改めて周りを見渡せば変なオブジェが出来上がり、粉々になった軍艦だったものが海に浮かんでいたり雪の上に落ちていたりとたった数分でのローの攻撃に海兵達は顔を青ざめる。
しかし部下の叫びなど聞く耳持たず、スモーカーはローと対峙する。


「…"あいつら"も逃がすわけには………侍もいたな…」


ローもスモーカーと対峙していたが、騒がしい後ろへと振り返る。
そして逃げ出そうとするサンジ達に向かってローは抜いていた刀を突きつけた。
しかし当然サンジ達はローの刀が届く範囲にはおらず、刀は空気を切るだけでサンジ達の体を斬り付ける事も突き抜けることもなかった。
だが―――…


「"シャンブルズ"」


サンジ・ナミ・チョッパー・フランキーの胸からハートが伸びて現れ、ドクン、と鼓動を鳴らしたかと思えばそのハートは胸に戻って消える。


「な、なんだ…変な感じだった…!」


サンジ達からは一瞬、鼓動が強くなったようにしか感じられなかったのか、違和感に首をかしげた。
しかし今は海軍やローから逃げるのを最優先とし、とりあえず安全だと思う場所まで走ろうとし、目の前に膜が見えていたが、破けばすむだと軽く捉えていた。


「とにかく!さァ!急いで走れ!!クソガキ共!アレ…タバコ落としたか…―――!!?」

「ホチャー!!ワチョ〜〜!!おれについて来い〜〜!!!―――!!?」

「もー!こんな時に何バカやってんのよサンジ君!!――――!!?」

「今週のおれはスーパー!裏口くらいすぐ見つける!!!――――!!?」

「え!?」

「お…お兄ちゃんたち…!?」


何故かナミは言葉が悪くなり、サンジは何故か謎のテンションで先頭を切り、そんなサンジにフランキーが女のような口調で叱り、チョッパーはまるでフランキーのように声を上げた。
それぞれの異変に本人たちではなく、子供達も気付き先ほどと違う口調や態度のサンジ達に戸惑う。


「………」


ローは騒ぎながらも足を止めず先を進み膜を出るナミ達を見送りながらカチャリと音を立てながら峯の部分を向け刀を肩に乗せた。
サンジ達が消えたのを確認したローはサンジ達を追わず後ろにいる海軍達へと振り返る。
振り返るとスモーカーと目が合う。


「一旦退こうぜ中将!!コイツの能力気味悪すぎる!!!軍艦を飛ばすわぶった斬るわそれをブツけてくるわ!!こんなやつとは戦えねェ!!!」

「しかもアレ…!!船の半分は島の岩盤とくっついて妙なオブジェにしやがった!」


麦わらの一味を追うことも出来ず、ローを倒せる気もなく、海兵達は慌てふためくしかない。
今すぐにでも逃げ出したくてたまらないが、縦社会の政府組織のこの中ではスモーカーの指示なく撤退は許されない。
ここに大将がいるため最悪な事は起きないとは思うが、大将であるミコトは何故か反逆したのも同然のローに攻撃するでもなくただローとスモーカーの動きを見守っているだけに見える。


「くそォ!!船がなきゃ基地にも帰れねェ!!」

「"七武海"は政府の直属!!お前…!おれ達に攻撃すんのは協定違反だぞ!トラファルガー!!!本部にチクってやるぜ!!!」

「称号剥奪だ!!!」

「――心配無用」


船を奪われ破壊されてしまい逃げ出す事は出来なくても本部に連絡することは出来る。
いくらG−5が問題児送りの海兵の集まりとは言えローのした事を疑うなどしないだろう。
何せ先ほども言ったがここには大将がいるのだから。
暗に連絡すると脅す海兵達にローは以外にも焦りは見せず口端を上げて見せ…


「"スキャン"」


刀で"ROOM"の円内にいる海兵全てをスキャンする。
ローの動きに合わせスキャンは海兵の懐やポケットなどから"ある物"を奪い、それを全て自分の後ろへと移動させる。


「あそこにあんの俺達のだ…!!!」

「俺達の電伝虫全部取られた〜〜!!!」


移動した"ある物"…それは海兵に配られている電伝虫だった。
ミコトもそれを見て自分の持っている電伝虫を捜したがどこを捜しても電伝虫はなく、取られてしまったものは仕方ないと騒ぐ海兵達を背景に諦めの溜息をつく。


「お前らがこの島で見た物全て…『本部』にも『政府』にも報告はさせねェ」


それは大将であるミコトも例外ではなく、どうやらローの"スキャン"は傾世元禳には効かないのか電伝虫を取られてしまった。
電伝虫を取られ本部に連絡することもままならず焦りを積もらせるだけの海兵達をローは愉快そうに目を細め笑う。
しかしその瞬間…


「"オペオペの実"の『改造自在人間』―――だったな!!」

「………」


海兵に気を取られているローの隙をスモーカーは見逃さず、目の前に攻め寄った。
能力を使い一瞬にしてローとの距離を縮めたスモーカーは腕を煙に変えローに突きつける。
その攻撃をローもまた一瞬にして避け、スモーカーの隙だらけの脇横へと姿を現し、持っていた刀を大きく振り上げた。
それを見たスモーカーは後ろにいるであろう部下達に声を上げる。


「!!―――太刀筋に入るな!!お前ら!!!」

「は!?」


スモーカーの言葉を海兵達は理解できなかった。
きょとんとしているとローが振りかざしたのと同時に何故かローとは遠くにいるはずの自分達の体が真っ二つに切れてしまう。


「ギャアアアア!!!」

「斬られたァ〜〜〜!!!―――…って…アレ!!?生きてる!!?」


確かに真っ二つに斬られた。
それは確かである。
しかし何故か斬り付けられたはずの傷口からは血がでるどころか何も出ず、息も普通に吸え、声も、痛みも異常はなかった。


「お前ら邪魔だ!!"サークル"から出てろ!!!ローの作った円内にいる間は手術台にのせられた患者だと思え!!ここは"手術室"!!!奴はこの空間を完全に支配執刀する―――"死の外科医"だ!!!!」


ローの能力を知らない海兵達は斬られても生きていける自分達の状況に驚いていた。
そんな部下達にスモーカーは"サークル"の中から出るよう叫んだ。
サークルにいる間は力のない人間はただ生きながら斬り付けられるだけ。
そんな世界なのだ、このサークルの中は。


「トラファルガー!!あなたがその気なら!!」

「!――やめろたしぎ!!お前の覇気じゃ受けきれねェ!!」


海兵達が斬り付けられ、それなのに生きているこの状況にたしぎは我慢できなくなったのか、ローを睨みつけ地面を蹴りローに斬りかかろうとした。
そんなたしぎに側にいたミコトは黙って見送り、たしぎに気付いたスモーカーはハッとさせ止めに入る。
しかし、たしぎの刀がローに届く事なく…海兵達と同じく真っ二つに斬られてしまった。

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