(65 / 274) ラビットガール2 (65)

ローと別れたアスカ達はボスに乗り込み、ローの言う通り裏口へと向かった。
裏口の場所は分からないが、ボスがここに住んでいるというのもあり案内してもらう事にする。
と、いうか…ボスは案内させられることになった、と言った方が正しいだろうか。
とりあえず海賊社会も縦社会という事だろう。


「いた〜〜!!お前ら〜〜〜!!!」


暫く雪の中を(ボスが)走っていると、見知った人影と大勢の大きな人影がアスカ達の目に映る。
ルフィはその見知った人影…サンジ達の姿に嬉しそうに笑みを浮かべ、ボスの背中から手を振って大声を上げる。
ルフィの声にサンジ達は気付き4人は振り返り仲間達の姿に目を丸くさせた。


「あ!!どうしてここに!?」

「ルフィ達だ〜〜!ゾロ〜!!アスカ!!ウソップ!!ロビン!!ブルック〜〜!!!会えてよかったぞコンニャロ〜〜!!」


サンジ達もルフィ達の姿に嬉しそうに笑う。
そう、サンジが何故か両手を振って何故かハイテンションで仲間達との再会に大喜びしていたのだ。


「何だあのバカコックのハイテンション…寒さでとうとう…」


ライバルと認めたくはないがほぼライバルのサンジのハイテンションぶりにゾロはそう呟く。
ゾロですら怪しむサンジはいつもとは真逆のテンションの高さにさすがのアスカも唖然としてしまう。
なんとなーく、聞き覚えのある口調にアスカはチラリとサンジ同様いつもと違いふてぶてしい表情を浮かべているチョッパーへと視線を送った。
そしてついでにと言わんばかりに後ろを見れば子供達が見えた。
その子供達は体の大きさがバラバラで、普通の大きさの子供から巨人族のようにサンジ達以上に大きな子供までおり、アスカはこの場に子供がいる事も含め首を傾げる。
しかし不意にフランキーとナミへと視線を送れば丁度そこには何故かナミに殴りかかろうとしているフランキーが見えた。


「え?おい!!何してんだ!やめろ!フランキー!!!」


それはルフィも同じようで、ルフィはフランキーがナミに殴りかかろうとしたのを見て慌てる。
しかし飛んでいくにも距離があり駆けつけることも出来ず…―――その場に鈍く大きな音が響いた。



◇◇◇◇◇◇◇



ルフィ達はとりあえず吹雪を凌ぐ為傍にあった洞窟のような場所に移動した。
しかしそこは洞窟ではなく既に使われていない施設のようで、爆発が起こったかのようにボロボロだった。
だがそれでも充分寒さと吹雪は凌げるため今のアスカ達にとって充分すぎる場所だった。


「え〜ん!!か弱い私を傷つけちゃった〜〜!」


施設の中にフランキーの女々しい泣き声が響く。
その傍らにはナミが頭にタンコブを作り痙攣して倒れていた。


「すぐ治療するから!!」

「!、ちょっとサンジ君!!私の体に何してんの!?」

「おれチョッパーだよ!!?」


倒れているナミにハイテンションなサンジが慌てて駆け寄り体に触れた。
それにフランキーが泣きながらも怒り、サンジがそれに突っ込むように声を上げた。
サンジの『チョッパーだ』という言葉にアスカは首を傾げるばかりで、その頭の上には疑問符ばかりが浮かぶ。
その傍にはルフィが腰につけていた下半身と、頭が合体し、『下半身が戻ったでござる!!』と感激の涙を流していた。
そしてそれを見てルフィが『足まろ〜…おれの後ろ足がァ…』と悲しみの涙を流す。
収集が付かず話し合いも出来ないこの状況にチョッパーが『さて…何から話すか…』と零し、いつもと違う仲間達の様子を見てロビンが『とってもシュール。』と微笑んだ。


「とにかく冷静になって話しましょう、みんな…」


こうしては埒が明かないとフランキーは泣き止みすんすんと鼻を鳴らしながら座り込む。
丁度気を失っていたナミが目を覚まし起き上がったが、どうやら殴られた反動から記憶が曖昧になっているようだった。
そんなナミにフランキーは何も言わず投げ込むようにナミにタバコを与える。
ナミはそれに嬉しそうに笑ったが、アスカはナミがタバコを吸うという事もだがフランキーとのやり取りを見ながらどこか違和感を感じていた。
というよりはナミとフランキーだけではなく、チョッパーやサンジの様子にも違和感を感じていた。


「まずはおれがフランキー。ケガしてもおれには頼るな!」

「おれがチョッパーだぞ!!ケガはおれが治してやるぞ!!」

「私がナミ。…ビームなんか死んでも出さないから!」

「―――そして!!我らが!んナミさ〜んだ!!!」


どうやらチョッパーの説明によれば、ローの能力でナミ達の中身が入れ替わってしまったようである。
ナミはサンジ、フランキーはナミ、サンジはチョッパー、チョッパーはフランキー…となっているらしい。
そこでアスカは違和感の正体が分かり、心の中で『よりにもよってナミの中にサンジ…』と呟きフランキー(ナミ)に同情の目を向けた。
ナミ(サンジ)は着ていたコートの上だけを半分脱ぎ、ナミの豊満な胸を強調するように下から持ち上げる。
それに反応したのは健全な男子であるウソップとエロ骨のブルックだった。
3人は楽しそうにしていたが、自分の体を晒したナミ(サンジ)にフランキー(ナミ)はブチリと何かが切れた音が聞こえ、その音は冷静(という名の我関せず)に様子を見ていたアスカの耳にも届いていた。


「私そんなに品がなかったかしら…!!!」

「うおおお!!もうしねェ!!ナミさんをこれ以上傷つけないでくれ!!!」

「やめろナミ!!ナミが死んじまう!!!」


その音はフランキー(ナミ)がブチ切れた音で、フランキー(ナミ)は拳を握り震える手で自分を殴りつけようと振り上げた。
キレたフランキー(ナミ)にナミ(サンジ)は慌てて開けていた胸元を閉じフルフルと首を振って心から謝る。
心からの謝罪でもナミ(サンジ)がした無体を黙っていられないフランキー(ナミ)は拳を握ったまま降ろさない。
それを見兼ね、そして医師として怪我人を出ると分かる状況に黙っていられなかったサンジ(チョッパー)は慌てて2人の間に入る。
第三者が入ってようやく我に返ったのかフランキー(ナミ)はまだ殴りたい気持ちを抑えグッと言葉を飲み込みゆっくりと拳を下ろす。


「………私の体に触れたら20万ベリーよ…覗き10万。」

「!!―――そんな殺生なっ!!」


体は愛しい愛しいナミなのに、サンジは体さえ触れることが出来なくなり衝撃を覚えた。
まあ自業自得なので誰も同情はしないが…
フランキーはメモ帳を取り出し、サンジの欄に10万ベリーを追加する。
そして、仲間が入れ替わった事とそのやり取りに腹を抱えて大笑いする船長と狙撃手に怒りをぶつけるように怒鳴った。
その場は笑い声とフランキー(ナミ)の絶望の声だけが響く。

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