アルビダを倒したルフィのお蔭で、コビーは自由となり、新しい船で海を渡っていた。
ルフィに助けてもらったお礼として、2人も乗るかと聞こうとしたコビーだったが…図々しいルフィとアスカは当然のように乗っていた。
自由人なルフィ達にコビーは苦笑いを浮かべる。
「あのゴムゴムの実を食べたなんて、驚きました」
「そうか?そういえば、アスカも能力者だぞ?」
「え…えぇ!!?」
出航しアルビダ達の姿が見えなくなってしばらくすると、緊張していたらしいコビーは固くなった体の力を抜く。
本当に小さい船だが、三人で次の島まで行く分には丁度よく、ようやく落ち着き始めたコビーはルフィの能力に触れる。
ゴム人間だと言われ能力者を初めて見たコビーは驚きながらも先ほどの戦闘や能力を教える際に伸ばされた頬の皮膚の伸び具合を見てコビーは納得する。
『この世の中色々な人がいるんだなァ』と思っていると、アスカも能力者だと分かりコビーはアスカを見た。
空を見上げてぼうっとしていたアスカは自分の話題に気づき空を見上げていた顔をコビーへと向ける。
「アスカさんはどんな悪魔の実を食べたんですか?」
「私?私はウサウサの実を食べたの!すごいでしょ!」
「ウ、ウサウサの実…?」
「ウサギになる悪魔の実らしい」
「ウサギ…」
どんな実を食べたのかと問えば、返って来たアスカの答えに一瞬ウサウサの実が何なのか考えた。
頭の中はウサギで一杯になっていたが胸を張るアスカに『いやいや、ウサギごときでそんな自慢げにはしないだろうしなァ』と思いウサギは外される。
だが、どうやら本当にウサギだったらしく、ルフィの継ぎ足しの言葉にコビーは乾いた笑いを零した。
そんなコビーの反応にアスカは拗ねてように頬を膨らませる。
「なによ…悪い?」
「あ、いや…別に…」
ルフィの能力も、そしてアスカの能力も、どちらかと言えば実の名前を聞いても別段強そうには見えない。
――が、コビーはルフィの能力を見た後のため若干期待はした。
しかしウサギの能力と言われ微妙な空気にアスカはムカッとなったのか頬を膨らませながらコビーを睨む。
「"別に"何よ!役に立たないって言いたいんでしょうけどね!お姉様が可愛いと言ってくださったのよ!!!お姉様が!!!役に立とうが役に立たないだろうが私はこれで満足なのよ!!例え逃げるしか出来なくても!!!」
「ハ、ハハ……でもアスカさんがそんなに慕うお姉さんってどんな人なんですか?」
エースもサボも、村長やマキノや村人も、そして父であるシャンクスや幼馴染の祖父のガープでさえウサギ可愛いを連呼しており、決して戦闘に向いているとは言っていなかった。
更に、海賊になると言えばほぼ『戦闘に向いてない能力だからやめなさい!』と言われる始末。
ガープはアスカを海兵にさせるつもりではいたが、能力を使わない体術を極めさせるつもりだったらしい。
どいつもこいつも可愛い可愛いと連呼しやがって、なアスカだったが、同じ可愛いと言っていたミコトの言葉だけは素直に受け入れており、相変わらずのミコト厨であった。
コビーはアスカから出る『姉』という存在に興味を示し、何気なく聞いた。
そう…ただ気になっただけ、という軽い気持ちだった。
だがアスカは『待ってました!』と言わんばかりに目を輝かせ、コビーに詰め寄り、突然詰め寄られたコビーは持前のビビリもあって『ひっ!』と小さい悲鳴と共に身を引かせる。
「よく聞いてくれたわ!!!お姉様はそれは素晴らしい人なのよ!!!容姿はもちろん完璧だし!器量もそれはもういう事ないし!!何よりお強いのよ!!もうルフィのお姉さまだなんて嘘だと思うほど素敵な方なの!!!」
「失礼だな!姉ちゃんはおれの姉ちゃんだぞ!!嘘じゃねェ!!」
「そういう意味じゃないわよ…っていうか、おれのって何よ!!私のよ!!」
「おれのだ!!」
「私だっつってんの!!!」
「おーれー!!」
「わーたーしー!!」
アスカはこれまでにないほど目を輝かせていた。
いつものほぼ無表情な顔が輝き笑みさえ浮かんでおり、アスカも容姿は悪くないため、そうしている年相応の美少女である。
しかし残念ながら詰め寄られているため、コビーのハートは射止めるどころか若干ギャップへの驚きと恐怖に震えていた。
アスカの言葉に反応したのはミコトを姉に持つルフィだった。
ルフィは『ルフィがお姉さまの弟だなんて嘘だ』と翻訳してしまったようで、プンスカ怒る。
だがそれに負けじとアスカもムスッとさせ、終いにはアスカの手がルフィの頬をこれでもかと伸ばしていく。
それでもやはりルフィはアスカに手を出さずされ放題なのだが、コビーは喧嘩し始めてた二人に慌てて間に入る。
「ちょ、ちょっと待ってください!お姉さんってルフィさんのお姉さんなんですか!?じゃぁアスカさんとルフィさんの関係って!?」
喧嘩を止め何とか船がひっくり返り転覆するのを免れたコビーはホッとしたが、コビーはアスカの言う『お姉さま』はアスカの実の姉だとばかり思っていた。
だから『ルフィの姉』という言葉に驚き、2人を見る。
2人はコビーの言葉にチラリとお互いを見て、そしてお互いコビーへと視線を戻した。
「姉ちゃんは、俺の姉ちゃんだ。アスカとは幼馴染だな!」
「お、幼馴染…?」
お互いの事をまだ知らないため、コビーは勝手ながらアスカはルフィが海を旅してから出来た仲間だと思っていた。
しかし実際は幼馴染らしく、出航も海賊団の結成もつい最近らしい。
困惑するコビーにルフィが『おう!な!アスカ!!』とニカッと歯を見せて笑いアスカに声をかけた。
その声掛けにアスカは『うん、ルフィとは幼馴染になるね。』と答えながら頷き、笑顔を見せるルフィに小さく笑い返した。
つい先ほど喧嘩したはずなのにもうその気配すら見せない2人を見て、コビーは何となく納得したという。
アスカとルフィの関係もお姉さまの疑問も解決し、ルフィ達三人は次の島まで他愛ない話を続けた。
コビーは他愛ない話の最中、不意に出会った時の言葉を思い出し、今出ていた話題が終えた後気になった事を聞いた。
「でもルフィさん…"ワンピース"を目指すって事は…あの"
偉大なる航路"へ入るって事ですよね?」
思い出した事、とはルフィが海賊王となってワンピースを目指すという事だった。
それを問えばルフィは頷く。
アスカは既に普段モードに切り替わっており、興奮状態が冷めていた。
簡単に頷くルフィにコビーは困ったように眉を下げる。
「あそこは海賊の墓場とも呼ばれる場所で…」
「うん、だから強い仲間が要るんだ。これからお前が行く海軍基地に捕まってるって奴…えーっと…どんな名前だっけ?」
「ロロノア・ゾロ?」
「あぁ、そいつだ。いい奴だったら仲間にしようと思って!」
世界を一周する航路、グランドラインは別の名前もある。
『海賊の墓場』と呼ばれ、数多くの能力者、そして実力者が蔓延っており、海賊ではない一般人からは恐れられていた。
それを伝えてもルフィはただ頷くだけ。
コビーは名前が思い出せないルフィの代わりに答えたアスカから出た名前にギョッとさせた。
その名前は出航した際出た話題の一つでもあった。
「えーーっ!!また無茶苦茶な事をォーっ!!!無理ですよムリムリムリ!あいつは魔獣のような奴なんですよ!?」
「そんなのわかんないだろ?」
「無理っ!!」
「そうだね、会ったら案外いい人かもね」
「えー!?アスカさんまで!!絶対ないですって!!!」
ロロノア・ゾロと言えば『海賊狩り』の異名を持ち、その強さはこの東の海に知れ渡っているほどである。
だが、そのゾロは現在どういう理由か海軍に捕まっているようで、ルフィはそのゾロを仲間にすると言って聞かなかった。
唯一止めれるであろうアスカも何故か乗り気で、ニカッと笑うルフィの言葉に頷いていた。
2人の呑気さにコビーは思わず頭を抱えてしまう。
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ここからしばらくハイスピードで進みますのでアスカさんが怠け者になります。(ごめんなさい)
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