(69 / 274) ラビットガール2 (69)

ミコトは顔から熱が中々引かず、『悪ふざけが過ぎましたわ…少し頭冷やしてきます』と言ってスモーカー(たしぎ)の膝から降り、赤い顔を見られないよう慌てて吹雪きの中へと消えていった。


「あっ!ミコトさん!!吹雪きの中に行くなんて…!私連れ戻しに行ってきます!」

「放っておけ!!あいつが吹雪きなんかにやられるかよ!」

「スモーカーさん!もっと心配してあげてくださいよ!!ミコトさんはあなたの奥さんでしょう!?」

「だからおれは認めてねェっていってんだろ!!!」


たしぎから見てもミコトは最強と言われるだけのある実力者である。
しかしやはりたしぎもミコトの見た目に騙され、守ってあげたいと思っているため、冷たすぎるスモーカーに思わず声を荒げてしまった。
普段のたしぎなら絶対ない上司への反抗だが、たしぎにも『ミコト=自分の奥さん』と、認識されている事がスモーカーは心の底から本当に確実に紛れもなく心外だと思っている。
ギャアギャアと上司達の口論に一介の海兵でしかないG−5の面々はハラハラとさせるしかなかったという。



◇◇◇◇◇◇◇



ミコトは赤い両頬を手で覆いながら外に出た。
外に1歩出れば遮るものがないため吹雪きが吹き荒れ、ミコトを冷たすぎて痛い風が襲うのだが、その風からミコトは無意識ながらに能力で守る。
決して暖かくはないが、能力がないたしぎ達に比べれば暖かい方だろう。


(どうしましょう…まさかたしぎにときめくとは思ってもみませんでした…)


まだドキドキと心臓が煩い。
ミコトは中身がたしぎとは言えスモーカーにときめくとは思っていなかった。
だからこの予想外の鼓動を一刻も早く止めたいとも思ったのだ。
しかし恋愛などまともにしたことのないミコトはどうしたら胸の高鳴りが抑えられ頬の赤みも消えてくれるのかさえ分からず、正直スモーカーの顔を見れるのさえも分からない。


「やっと見つけた」

「…!」


傍から見たらミコトは遭難とも言えず、寒がっているとも見えない。
ひたすら頬を手で覆い恥じらいでいるように見える。
…と、いうか恥じらいでいるのは確かなのだが……ミコトがいる場所とミコトの恥じらいが釣り合わないのだ。
しかしここにそれをツッコム者などいない。
すると頭上から女性の声が聞こえ、ミコトはハッとさせ俯いていた顔を上げる。


「あら…モネではなくって?」


顔を上げれば相変わらずの真っ白い世界だった。
だが、その吹雪きの空にうっすらと人影が映り、その人影は次第に美しい女性へと姿を変える。
しかしその女性は人の姿をしていなかった。
その女性は人の体、腕が鳥の羽、下半身が鳥の、ハーピーに良く似ていた。
そう、この女性こそがウソップが見た人面鳥である。
ミコトはその女性を『モネ』と言った。
モネは羽を動かし器用に雪に着地する。


「ここにいたのね、ミコト」

「まあモネ…どういう用件で?あなたがわたくしを捜していたなど珍しいですのね」


さくさくと雪を歩きながら近づくモネにミコトは驚いたような反応を見せる。
ここに自分がいるのは百も承知だろうに、と驚く様子のミコトにモネは目を細めた。


「よくわたくしがこの島に来ていると知っていましたわね」

「あなたがこの島にいると、ローが教えてくれたのよ」

「ハートの船長さんが?」


ミコトは答えが分かっている疑問を投げかける。
モネから出た答えはやはりミコトの予想通りの答えだった。
またミコトは驚いたように目を丸くさせればモネはそのやり取りが楽しいと言わんばかりにクスクスと笑い、『まァその前からヴェルゴから聞いていたけどね』、と続け、その続けられた言葉にミコトは『でしょうね』と小さく頷いた。


「…それで…本題は何ですの?何の用もなくわたくしに会いにくるほど、わたくしとあなたの仲は良くなくってよ」

「あら冷たい言い方…でも否定はしないわ」


モネと出会ったのは今から大分昔の事。
"ある人物"を通してミコトとモネは知り合った。
知り合った、というよりは顔見知りになったと言った方が正しいだろう。
知り合ってから何度か会うこともあったが、訪問したのを聞きただ会いたいと思い会いにくるほど2人の間に友情という物はない。
2人の関係は本当にただの顔見知りである。
そんな隠す事もない冷たい言葉を投げかけるミコトに対して傷ついた様子もないモネは肩を竦ませ、何故か子電伝虫をミコトに差し出した。
その電伝虫は"ある人物"に似せて着飾られており、"ある人物"にそっくりな電伝虫にミコトはその電伝虫をモネから受け取る。


「…もしもし?」

≪よう、ミコト。≫

「……御機嫌よう、ドフラミンゴ。」


モネと自分を引き合わせ、電伝虫が似ている"ある人物"…それは王下七武海の1人であるドフラミンゴだった。

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