(74 / 274) ラビットガール2 (74)

「うおー!!モサモサになった!!」


話しも終え、茶ひげの脅しも麦わらの一味には聞かず、一部小心者を除き『面白いものを聞かせてもらった』と言わんばかりに茶ひげの前から消える。
全く信じない彼らに茶ひげはカチンと来ていたが、いずれ自分が攫われたのを知ったMが助けに来てくれるという確信があるのか気取っていられるのも今のうちだと鼻で笑う。
そんな茶ひげなどよそにチョッパー(フランキー)は何気なく時間を過ごしていると突然体中の体毛がボン、と膨らんだ。
膨らんだのは、チョッパーの『毛皮強化(ガードポイント)』で、イメージで姿を変えれるらしい。
ボン、と丸々とさせるチョッパーにルフィは面白そうだと身動きできないチョッパー(フランキー)の上に飛び乗った。
当然手を握っているアスカもチョッパー(フランキー)の上に乗ってしまう。
まん丸なチョッパーのチョッパー(フランキー)の上は安定せずまるで玉乗りのように足を動かさなければすぐに落ちてしまう。
仲間を玉乗りとして楽しんでいるルフィはもとより、アスカは落ちないように必死になっていた。
其の上子供達も大玉ころがしのようにチョッパー(フランキー)で楽しそうに遊んでいる為手が付けられない。


「ちょっとルフィ!!アスカを降ろしてから遊びなさいよ!!」

「おれは!?おれはいいのかよ…!!!」


寝ても覚めても、中身が入れ替わっても変態になってもナミ(外見変態)はアスカに過保護だった。
アスカしか心配していないナミ(外見ロボ)にフランキー(外見毛玉)は思わず突っ込んだ。


「なんだと!?あの侍外へ!?」

「はい…先ほど私が胴体を見つけたと言った時、どの辺で見たのかを詳しく聞かれまして…そのまま外へ」


きゃっきゃっ、と子供達が楽しそうに遊んでいるのを背景に、ナミ(サンジ)は侍がいない事に気付く。
侍を捜しているとブルックが先ほどのやり取りをナミ(サンジ)に教え、ナミ(サンジ)は目を丸くさせる。
まさか外に出て行ったとは思ってもみなかったようで、ナミの姿でサンジは舌打ちを1つ打った。


「しまった!!何か静かだと思ったら!!油断してた!!」

「サンジさんに不都合でも…?」

「動けねェ首だけのあいつを外へ連れ出したのはおれなんだ…"お節介"にもケジメってもんがある…今、奴がやられたらおれのせいだ!!」

「成る程…侍とは言え刀を使える肝心の胴がなければ敵に遭っても逃げるしかない…―――ではケジメ…つけに行きますか?」

「ああ……まったく、あのヤロー…」


連れ出したのは確かにサンジである。
それを責任を感じているのかは不明だが、胴がないため逃げる事はできるが戦う事はできない。
あの侍は敵を背に逃げる事はしない性格だとサンジは多少だが分かってきていた。
逃げ出すにもこの極寒の地では最悪凍死するだろう。
それでは目覚めが悪いというもの。
ナミ(サンジ)はブルックの問いに頷いた。


「ルフィ!ちょっとここ空けるがいいか!?」

「うん、いいぞ!」


一応腐っても自分達は海賊団なため、船長であるルフィに承諾を得てから捜しに向かう。
同じく場所を知っているブルックがナミ(サンジ)を案内するため行動を共にするのだが…組み合わせがまずかった。


「じゃあ案内しますからパンツ見せてもらってもよろしいですか?」

「おう!いいぞ!!――そうだ!この機にカメラを…」

ちょっと待てェ〜〜〜!!!!


ブルックもサンジ(外見は女性)…どちらも思考がピンク色だという事に、ルフィは気付かない。
あまりそういう事に興味がないルフィからしたらサンジの行動を予想できるはずもなく…すんなりと許可したのだが、フランキー(ナミ)は2人の会話を耳にし後ろを向いていた体を振り返り様に突っ込んだ。
そして行く気の全くないゾロを無理矢理一緒に行かせ、常に戦闘モードにさせれば自分の体を変な事に使わないだろうという作戦をたてた。
その作戦はまんまと成功し、ナミ(中身エロガッパ)とゾロは口論を始めた。
ブルックは殴られパンツの見たい心ごとフラグが折られてしまう。
2人の口論も吹雪きが深いここではすぐに消え、フランキー(ナミ)は相変わらずのサンジに溜息をつく。


「じゃあおれ達の身の振り方を考えとこう。」

「とにかく一刻も早く私達を元に戻して!!もう変態でいるのはイヤ!!!

「オイオイホメ殺しかよ〜〜!」

チョッパーでその表情やめて、二度と


侍を捜しに旅立った3人を抜きにウソップ達はこれからどうするかを話し合う。
フランキーの体の中にいるナミはこれ以上見た目も何もかも変態としか言いようがないフランキーでいるのは嫌だとハッキリと答え、何とか元に戻ったチョッパーの体の中にいるフランキーは変態呼ばわりを喜んでいた。
しかしその表情は中身が変われば笑みも変わるのか…とてつもなくキュートとは程遠い。
それをロビンが静かに突っ込みを入れる。


「まあ問題はァ…あのガキ共だな…結構厄介だぜェ?」

「フランキー、あなたもうその姿で喋らないでほしい……二度と


しかしチョッパー(フランキー)は構わずいつものように表情の筋肉を動かすが、それもまたいつものキュートな表情とは程遠いどころのレベルではなく、ロビンは嫌そうに突っ込んだ。


「出たぞ!―――でも…これって……」


この船で唯一の医者であるサンジの中にいるチョッパーはずっと子供達の病気を探っていた。
何回もの作業の末、ようやくその病魔が分かったらしいのだが……試験管の中にある液体を見てサンジ(チョッパー)は表情を曇らせてしうまう。
子供達が病気が分かったと呟いたチョッパーに駆け寄り、後ろから覗き込む。
するとそのうちの大きな子供の1人が突然ドスンと音を立て跪いた。


「!!、…う…ッ!」

「シンド!!どうしたの!!?」

「まだ寒い!?」


その子供はシンドという名前らしく、友達の子供達がシンドに心配そうに駆け寄った。
その変化はアスカ達も気付き、サンジ(チョッパー)は言葉なく振り返る。


「苦しい…ッ!オエッ!!」

「大丈夫!?シンド!!」

「おい!チョッパー!!あおつ苦しいって!!治してくれ!!」

「…………」


突然苦しがるシンドにルフィも慌ててサンジ(チョッパー)に駆け寄り、チョッパー(フランキー)達も同じく気付いて話し合いを中断し歩み寄る。
それでもチョッパーは唖然したように子供達を見つめていた。
すると、シンド以外にも大きな子供達が次々と崩れていき、苦しげに声を上げていく。


「でけェ奴ら中心に倒れてくぞ!」

「どうなてんだ!?」

「チョッパー!今検査したんでしょ!?この子達本当に病気だったの!?」

「……違う…」

「え…?」


頭が痛いのか大きな子供達は一同に頭を抱えていた。
倒れていくのが大きな子供ばかりなのが不思議だが、もしこれが発作だとしたら大変だとフランキー(ナミ)はサンジ(チョッパー)へと振り返る。
しかし、サンジ(チョッパー)はフラインキー(ナミ)には一切目もくれず子供達を辛そうに見つめていた。
それに首をかしげ不思議そうにするフランキー(ナミ)だが、問う前にサンジ(チョッパー)が子供達に声を掛けた。


「お前達今欲しい物はないか?いつもこの時間何してる?」

「…いつ、も…検査の時間が、あって…その後キャンディを、貰うんだ…っ」

「キャンディ?」


サンジ(チョッパー)の意図が分からないが、医者として何か知っているようで、アスカもフランキー(ナミ)達のように何も言わず見守っている。
サンジ(チョッパー)の問いに最初に発作のようなものを起こしたシンドが辛そうだが答えてくれた。
サンジ(チョッパー)はいつも子供達がこの時間何をしているのかを聞き出すも、出来てきた言葉に首をかしげた。


「シュワシュワと煙が出てきて面白いし…美味しいんだ!」

「そうだ…アレ食べたら…!!…オエ!……、…アレ、食べたらいつも幸せになるから…!!楽になるかも…!!!」


頭痛のほかに嘔吐感もあるらしく、見ていてもとても辛そうに思えた。
子供に弱いフランキー(ナミ)は他のメンバーより心配そうに見つめており、サンジ(チョッパー)はシンドの呟くような言葉に段々と表情を険しくさせる。


「―――ッ茶ひげって言ったか!?お前は何を知ってるんだ!!この子供達は病気なんかじゃない!!!」


その表情をそのままにサンジ(チョッパー)は鎖で拘束されている茶ひげに振り返り歩み寄る。
チョッパーは、医者というのもありとても優しい性格である。
まだ精神年齢が低いから、というのもあるがあまり今のように表情を険しくさせ本気で怒ることはあまりない。
そのサンジ(チョッパー)の表情にフランキー(ナミ)は目を丸くさせ、問われた茶ひげは本気で分かっていないのか首をかしげ怪訝と大股で近づくサンジ(チョッパー)を見下ろす。


「?、何を言っている…おれは外回りで研究所内の事はそう詳しかねェが……そのガキ共は難病を抱えている!!慈悲深い"M"はわざわざ他の島からそいつらを預かって彼の製薬技術で治療を施している!!愛の科学者だ!!!―――見ろ!!その証拠に研究所を離れたガキ共が今日の治療を受けられず苦しみ始めている!!!」

「――違う!!!」

「ちょっとチョッパー!どうしたの!?何か分かったの!?」

「〜〜ッ!!」


急に怒鳴るサンジ(チョッパー)にフランキー(ナミ)は宥めるように声をかける。
フランキー(ナミ)の声で少し落ち着きと冷静を取り戻したサンジ(チョッパー)は茶ひげに見せていた試験管をナミ達に見せ、閉ざしていた口を開く。


「…『NHC10』………子供達の体内から出てきた…微量だけど…これは……―――『覚醒剤』だよ!!!」

「…!!?」


口を開いたサンジ(チョッパー)から出されたその言葉に、誰もが息を呑み、絶句した。
覚醒剤という言葉は誰でも知り、誰でもそれに手を染めた結末を知っているはずの、危険な物。
その薬物が子供達に与えられていたという事に誰もが言葉を失くす。
『NHC10』は覚醒剤だが、薬にも使われている薬物で、薬は扱いを間違えればあっと言う間に危険な薬物になる品物である。
チョッパーはこの薬物を以前、見たことがあった。


「世界でも…認められた国の決められた医師しか扱っちゃいけない!!ドクトリーヌが使って使っていたから知ってるんだ!!」


覚醒剤と薬は紙一重である。
本来、この薬物は病気の治療として使っても害のない範囲で薬が作られるはず。
正しい使い方をしていたら、子供達のように中毒になるまでの量を摂取する事はないのだ。
しかし…子供達から取り出されたそれは微量だが本来なら信じられない量の『NHC10』が取り出された。
その意味をチョッパーはよく知っている。


「この子供達は毎日少しずつこれを体に取り込み続け、もう慢性中毒になってる!!!この苦しみから逃れる為に次の薬を欲する!!―――何の為だ!!?こんな子供に!!!研究所から逃げ出さない為か!!!お前達の"救いの神"は!!こんな子供達をどうすようとしているんだ!!!」

「!――おめェ!!"M"を侮辱すると承知しねェぞ…!!!」


チョッパーの言葉はとても辛そうで、泣きそうで………苦しむ子供達の為に怒涛の如く声を上げる。
初めて本当に起こるチョッパーを見てアスカ達は困惑した。
…否、初めてみる怒り狂うチョッパーを見たから困惑したわけではない。
アスカ達は覚醒剤の事を聞き、困惑していた。
アスカ達は当然覚醒剤の恐ろしさを知っている。
特に天竜人の奴隷だったアスカは目の前で面白半分で覚醒剤を与えられ狂って死んでいった者達を目の前で見て来たこともあったため、その恐ろしさは誰よりも知っていた。
アスカはチラリと子供達を見る。
子供達は覚醒剤を与えられた奴隷達のように苦しみもがいていた。
思い出したくもない過去を思い出し、とても見ていられず、繋がっているルフィの手を力一杯握り締めた。
それには当然ルフィも気付き表情は変えずとも顔色の悪いアスカを引き寄せ肩を抱く。


「チョッパー!!どうする!!?どんどん倒れていくぞ!!アメがいるのか!?あの建物にあるなら取って来ようか!?」

「――ダメだ!!そのキャンディは二度と口にさせちゃいけない!!!きっとそれで知らず知らず子供達は薬物を摂取してたんだ!!!」


取り合えずルフィは倒れていく子供達を見て、欲しがっているキャンディを取って来ようかと船医であるサンジ(チョッパー)に聞いたが、サンジ(チョッパー)は首を振って止める。


「麦わらのお兄ちゃん…キャンディ持ってきてくれるの…?」

「ん?……いや!ダメだ!!チョッパーが言うならダメだ!!あいつウチの船医なんだ!あいつを信じろ!!」

「………」


キャンディという言葉が聞こえたのかガタガタ震える腕で体を支えながらシンドは起き上がる。
頭を抱えながらだが起き上がったシンドはルフィがキャンディを持ってきた方がいいのかとサンジ(チョッパー)に聞いた部分だけを拾ったようで、持ってきてくれると聞く。
しかしルフィは船医でもあるチョッパーの言葉を信じ、首を振る。

その瞬間、シンドの顔つきが変わった。

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