「さっきの2人組の刺客で分かる通りシーザー屋はお前達と白猟屋のG−5、そして黒蝶屋を消し去りガキ共を奪い返すつもりだ。」
同盟を結ぶにあたり、ローは周辺のことやシーザーの事を教えていた。
その際に出た『黒蝶』という名前にアスカもルフィも素早く反応する。
「黒蝶って……!」
「ね、姉ちゃんがいるのか!?」
「ああ…門の前で会った。」
ルフィとアスカはミコトがいた事に目をまん丸にさせた。
ローの能力で倒れていたスモーカーやたしぎ、G−5は見たが、ミコトの姿は見ていないためいないと思っていた。
そもそも結婚したというのも入れても中将であるスモーカーと大将であるミコトの仕事は違う。
だから同じ海兵同士とはいえ仕事が一緒とは思わないだろう。
驚きが隠せないアスカとルフィにローは2年前の戦争でルフィとミコトが姉弟だと知っていたため隠さず頷いた。
アスカとルフィはローが頷いたのを見てお互いを見合う。
言葉にせずともお互い何が言いたいのか察しているため、アスカは目を伏せてしまう。
しかしそんなアスカの不安を拭うようにルフィの手の力が強まり、ギュッと握るルフィにアスカは伏せていた目線をルフィへと戻す。
顔を上げればそこには真っ直ぐローを見ていたが表情の固いルフィがあった。
そんなルフィを見てアスカはハッとさせ全てを理解した。
ルフィは姉であるミコトと相見える覚悟を決めたのだと…アスカはルフィの目を見てそれに気付く。
だから…ルフィがまるで背を押してくれたようにアスカもルフィについていこうと決めた。
どんなに姉と決裂したとしても、どんな結末になろうと…ルフィの決めた決意に自分も従おう、と…
「…………」
ルフィの姉であるミコトとはウソップ達も会った事があった。
ロングリングロングランドで一度だけ顔をあわせたのだ。
その時は海軍大将の一角だと知らなかったため、ルフィの姉があの黒蝶だというのを知ったときの驚きといえば今も思い出せるほどだが…その黒蝶が同じ島にいるという事にウソップ達は動揺が隠せなかった。
ルフィの姉だからと言っても相手は敵であり大将の中で最強を背負う海兵…ルフィやアスカの事を目に入れても痛くないほど溺愛していたのを2年前に見ていたので手加減をしてくれるとは思うが状況が状況なら本気で来るかもしれない。
ローはざわめくルフィのクルーをよそにアスカとルフィを見る。
2人しか分からないその雰囲気がやはりローを苛立たせたがすっかり苛立ちも慣れたのか2人から視線を逸らすだけの反応を見せる。
「確実にお前らを消すのを達成するまで奴の攻撃は止まない。シーザーは4年前の大事故で犯罪者に成り下がった元政府の科学者…立入禁止のこの島に誰かがいるという事実がもれれば、あいつはこの絶好の隠れ家を失くすことになる…だからお前らを全力で殺しに来る。」
「…!!」
「懸賞金3億ベリー、殺戮兵器を所持する"ガスガスの実"自然系の能力者だ。」
「3億…!?」
シーザーの情報はここにいる中で1番ローが知っている。
ローも本人から聞いた事や調べた事も含め、同盟を結んだルフィ達に出来る限り知らせようとしていた。
ウソップとサンジ(ナミ)は3億の殺戮兵器を作るシーザーに怯えを見せるが、海賊であるローは怯えるサンジ(ナミ)達など気にとめず続ける。
「覇気を纏えない者は決して近づくな。だたの科学者じゃない」
「こっちで覇気使えんのはおれと、アスカと、ゾロとサンジ…あとお前だろ?」
「まァ充分だ…おれは一足先に研究所へ戻る。」
「――で、その"M"をおれ達とお前で"誘拐"すりゃいいんだよな?」
ルフィは計画を確認するように纏めた。
そんなルフィの確認にローは一度だけ頷く。
「そういうことだ」
「誘拐して誰から身代金取んの?」
頷いたローにサンジ(ナミ)はふと思った事を問う。
サンジ(ナミ)の言葉にローは次は首を振る。
「目的は金じゃない、"混乱"だ」
「混乱?」
「成功していねェのにその先の話を今する意味はない。とにかくシーザー・クラウン捕獲に集中しろ…決して簡単じゃない。―――おれの計画はその時にゆっくり全員に話す。」
『誘拐』の目的は一般的に『身代金』である。
政府からも切られ懸賞金まで掛けられているシーザーを誘拐し誰から身代金を奪うのだろうかと疑問に思ったのだが、サンジ(ナミ)の言葉にローは違うと言った。
…が、計画内容はまだ話せないとも言う。
今はとりあえずシーザーの捕獲をしてほしいというローの言葉にサンジ(ナミ)は本当は口を出したかったが、船長同士で決まった事に口を出せないのが部下でありクルーであり船員である。
難しい顔を浮べるサンジ(ナミ)など余所にローは『ただし』と付け足した。
「ただし、シーザーの誘拐に成功した時点で事態はおのずと大きく動き出す…そうなるともう引き返せねェ!!―――考え直せるのは今だけだが?」
「大丈夫だ!お前らと組むよ!!」
「…………」
ローは同盟を結び、そして計画内容とその大きさをルフィに話す。
そして最後に逃げ場を作ってやった。
今の相手はただの殺戮兵器を作る科学者だが、最終的には『ある人物』と『カイドウ』をも敵対するつもりなため、ローは引き返せる道を選ばせてやる。
それはローなりの優しさなのだろう。
しかしルフィは即答で首を振って同盟を結ぶと言いきった。
そのルフィの決断にローは表情ひとつ変えずルフィを凝視する。
「――なら、おれもお前達の希望をのむとする…残りの仲間もしっかり説得しとけ。」
「ああ!分かった!!」
ここに、ハートの海賊団と麦わらの一味の同盟が結ばれた。
82 / 274
← | top | back | →
しおりを挟む