「みんな穴を塞げ〜〜!!全滅するぞォ〜〜〜!!」
修羅場突入の3人など露知らず、G−5達はゾロと錦えもんが斬った扉を慌てて塞ぐ。
でないと襲い掛かる毒ガスが室内に入り逃げ場を失うからだ。
大工を中心にG−5総出で斬られた扉を塞ぐ。
何tものある扉だが、そこは火事場の馬鹿力からなのだろう…まるで普通の扉のようにあっと言う間に塞いでいった。
それと同時に勢い良くこちらに向かって来るガスが研究所にまで到着したのかゴゴゴ、と不気味な音を立て障害物である扉に当たる音が聞こえた。
扉がそのガスによる圧迫と衝撃によって軋む音が更に不気味さを呼んだ。
軋む音が消え、暫くすると扉をすり抜け1つの魂が外に出る。
「まだもうもうと立ち込めてる…一歩でも外に出たら…生きてられませんね、コレは……」
その魂とは2年の間を経て魂だけで動けるようになったブルックの魂だった。
ブルックは見たままをウソップ達に報告しに本体へと戻っていく。
「どうだ、ブルック」
「ええ、まるで死の世界…もし穴を塞げなかったらと思うと…――
ゾッとします。」
「「「
お前がな!!」」」
漫画で表現するのなら…『ひゅ〜ドロドロ』が合っているだろう。
本体に戻ってくるブルックはまさに幽霊そのものだった。
そんなブルックの言葉にG−5は思わず突っ込みを入れてしまう。
「―――よし。」
「『よし』じゃねェよ!!!」
「てめェのせいで全員死ぬトコだったんだ!!」
「穴塞いだのもおれ達だ!!!」
まるで自分が指示したように頷くゾロにもG−5は一斉に突っ込む。
コクリと頷くゾロに突っ込みを入れたG−5は埒が明かないと思ったのか『噂以上にフザけた海賊団だ!』と全員持っていた銃をゾロ達に向ける。
「観念しろ!!"麦わらの一味"!!そして海賊"茶ひげ"!!」
一斉に何十もの銃を向けられたゾロ達だったが、世界政府に喧嘩を売った肝っ玉はそう(一部を除き)小さくはない。
案の定サンジ(ナミ)とウソップ以外は平然とし殺気立つ者もいた。
そして因みに茶ひげはG−5が自分の名前を知っていた事に照れてもいた。
「お!!始まったな!!」
不穏な空気だったルフィ達も下の騒ぎに気付き、ルフィは何事もなかったようにいつもの調子で下を覗き込むように見る。
ルフィがいつもの調子に戻った事でローもルフィからスモーカーへと振り返る。
「いいなお前ら2人はコイツの一味とおれの邪魔はするな」
「ああ…」
丁度振り返れば伸した囚人達を跨いで近づいてくるスモーカーとたしぎがおり、2人にもう一度忠告する。
本来なら守りたくない忠告だがスモーカーは頷くしかできなかった。
「あ!!トラ男〜〜!!ちょっとあんた〜〜!!!」
「あ?」
「あんた何私のアスカと手を繋いでるわけ!?早く放しなさいよ!!!―――って違うわよ!違くもないけど!!とにかく!!早く私を戻して!!」
「………」
頷いたスモーカーを見送っているとしたからサンジ(ナミ)に声をかけられ、面倒だと思いつつ下を見下ろす。
やはり下にいたサンジ(ナミ)に声をかけられたようで、用件はもう既に分かっていた。
しかしローの予想に反してサンジ(ナミ)は戻す事よりもアスカと繋いでいる手を放せと言い出した。
下から見上げているサンジ(ナミ)からも、1番大きいであろう茶ひげからも、ローとアスカが手を繋いでいるのは見えないはずである。
だがアスカラブパワーによってサンジ(ナミ)にはバレバレだった。
『まだ面倒な奴がいやがったか…』、とローは隠さず顔にデカデカと出す。
アスカは保護者であるサンジ(ナミ)の怒鳴り声にビクリと驚き、慌ててローから手を放しちょっぴり距離を置いた。
ローの寂しそうな視線を受けながらもアスカは必死に『私何もしてないから!!!』と首を振ってサンジ(ナミ)にアピールする。
よっぽど保護者モードのナミが怖いのだろう。
そんなアスカにナミはようやく本来の目的を告げ、ローは渋々(本当に渋々といった感じだった)と能力で入れ替わりを解除した。
「はっ!!畜生!!夢の時が終わった!!」
「戻った!!―――けど…あれ?」
ローの能力で元に戻ったナミは、これまでこれほど神に感謝した事はなかった。
だがしかし…入れ替わる前の自分のコートはたしか今のコートと色が違うはずである……それに気付いたナミが浮かんだ結論は……
「なんでコートが変わってんのよ!!!あんた服脱いだわね!!?」
「これには深いわけガバブゴゥッホ!!!」
サンジが自分のコートを脱いだという事だった。
錦えもんの能力でコートを着ていたが、その際コートを脱いだら能力も消えると言っていたのを思い出したナミは力の限り…怒りの限り…サンジの頬を叩いた。
パシーンではなく、バコン、と頬を叩く音としてはありえないほど鈍い音を立てながら叩かれたサンジは思いっきり床に投げ飛ばされる。
「ウ…あれ?…これは今の一撃のダメージじゃねェ……体が…」
「あ…ナミの奴、その体でシーザーにボロボロにやられちまって…」
「え!!?―――ッよかった…!!やられたのがおれの体で…!!!」
「おれ…!お前を誇りに思うよ…ッ!!!」
冷たい床に投げ飛ばされたサンジだが、非戦闘員であるナミの叩きを貰いすぐい立てないほどのダメージを受けたことに疑問を浮べた。
普段ならすぐに立てるし、ナミや世の女性から受ける既に暴力としかいえないソレを愛の痛みとして思い込んでいるサンジにとってナミの叩きなど可愛いモノなのに…今のサンジは床に倒れ足も震えて立てずにいた。
その疑問をサンジの体と一緒にいたウソップが答え、そのウソップの言葉にサンジは目を見張ったが、次の瞬間ナミの体ではなくてよかったと言い切った。
そんな男の中の男のサンジの言葉にウソップは涙が止めれなかった。
むしろ涙を流さない人間なんかいないとも本気で思う。
「ここにいる全員に話しておく!!!」
そんなウソップとサンジのコント(仮)をよそに時間もないとローが全員に聞こえるように声を張り上げる。
その声は下に居るG−5やゾロ達に聞こえており、誰もが上にいるローを見上げた。
「八方毒ガスに囲まれたこの研究所から外気に触れず直接海へ脱出できる通路が1本だけある!!『R棟66』と書かれた巨大な扉がそうだ!!」
ローはみんなに脱出方法を教えようと声を上げた。
その言葉に海兵達は誰もが目を丸くさせ耳を疑う。
「おれは殺戮の趣味はねェが猶予は2時間!!それ以上この研究所内にいる奴に命の保障はできねェ!!」
誰もがローの言葉に驚愕の声をあげた。
海賊だから信じていいのか分からないが、ローの言葉に信憑性は充分にあるのを先ほどのガスを見て何となく理解できる。
だからG−5達からはざわめきが生まれる。
そのざわめきなど気にもせずローは海兵やゾロ達から背を向ける。
「研究所どうにかなんのか?」
「どうなるかわからねェ事をするだけだ」
手すりの上に器用に乗るルフィに問われローは曖昧な答えを返す。
これからの事は誰も分からない。
何たって相手は海兵だと思っていた海賊であり、あの闇ブローカーの手下であるヴェルゴがいるのだから。
シーザーだけが相手だったらもっと簡単で毒ガスなどなかったはずだったが…ヴェルゴの登場は本当にローにとって予想外だった。
すでに行動は開始され、ローの言葉に下に居るルフィ達の仲間であるナミ達は子供達を助けに走り出していた。
ルフィはローの言葉に『ふーん』と気のない返事を返しながら手すりから降り、ロビンに何かを頼んだ後既に行動に移した仲間を見送っていたアスカに近づく。
アスカに近づくルフィにローは無意識に目で追ってしまう。
アスカに関してはルフィはローの行動が、ローはルフィの行動が…お互い気になって仕方ないようである。
「じゃ、アスカ!!ここでお別れだな!!」
「そうだね…ずっと手を繋いでいるわけにもいかない、し…――!」
「…!!」
アスカに家族がいるかもしれない、という錦えもんの話から今までずっとルフィとアスカは手を繋いでいた。
しかし流石に最終戦となる戦いまで手と手を繋いでいるわけにもいかず、アスカもナミ達と行動をするため一旦離れ離れとなる。
それに関してはルフィは別に構わなかった。
どんな強敵だろうが自分は負けないという自信もあったし、アスカも自分がついていなくてはならないほど弱くないと思っているから。
だが、どしてもルフィの脳裏に『アスカの家族』がチラついて離れるのが堪らず嫌だと思う自分もいた。
それにローと出会ってからローがずっとアスカのそばにいる気がして、アスカもローの傍にいる気がして気に入らないのもあった。
だからルフィはアスカの手を掴んで自分に引き寄せ、ルフィはアスカを抱きしめた。
アスカは突然の事に目を丸くさせ、ルフィの行動を睨むように見ていたローは顔を強張らせ、ルフィの突然の行動に流石のスモーカーとたしぎも気付き目を丸くさせる。
ただロビンだけは楽しげに笑ってルフィ達を見ていた。
「…どうしたのルフィ」
「んー?充電だ!」
「はあ?」
流石は長年ルフィの幼馴染をしているだけはあるのか…驚いていたアスカも冷静に戻り突然抱きしめるという普段はそんなにしないルフィの行動に首をかしげ問いかける。
出来るだけルフィを咎めないように優しく…
しかし自分がルフィに向ける優しい諭すような声色にローがピクリと反応したのをアスカは気付いていない。
『充電』と言っていつものように歯を見せて笑い自分の首筋に顔を埋めるルフィにアスカは更に首をかしげた。
いくら『家族』の存在があったとしても今までこんな事はなかったのだ…疑問に思い怪訝とするなという方が無理というものである。
「アスカ」
「なに―――、っ!!!」
ギュッと自分の腰に回すルフィの腕の力が強まった事にアスカは諦めを選んだのか溜息をつき『はいはい』と投げやりに呟きながらルフィの背中に手を回してポンポンと落ち着かせるように軽く叩いてやる。
暫くするとルフィは落ち着いたのか、それとも安堵したのか、アスカの腰に回している腕の力を弱める。
首筋に顔を埋めるルフィにアスカは内心『どうしたものか…』とまだシーザーを探しに行かないルフィにそう考えていると今度は後ろからローに声を掛けられた。
アスカは何気なく顔を上げる。
しかし顔を上げた途端ローの顔が間近に見えてアスカは目を丸くさせた。
ローの顔が近くにある、と思った次の瞬間、視界からローの顔が見えなくなったのと同時に唇に柔らかいモノが当たった気がした。
「んっ…っ、ん、…ッ」
ちゅ、と愛らしい音がアスカの耳に届いた。
その音でアスカはローにキスをされていると気付き、ローの顔が見えなくなったのはローが近すぎたからだと何故か呑気にそう分析する。
そして何度か啄むようなキスを繰り返していくとローは薄っすらと開けられたアスカの口内へ舌を入れアスカを責め立てた。
下は騒がしいのにロー達がいる上だけは静かそのものだった。
何より突然抱きしめたりディープなキスをしだした海賊達にスモーカーとたしぎが唖然とし、ロビンは傍観を決め付けているため静かになるのも当たり前である。
何故かキスもしはじめるローとアスカとルフィについていけないスモーカーとたしぎは(主にたしぎが)ポカーンと口を開けて呆気に取られていた。
そんな卑猥な音が上だけが響く中、アスカは久々のローに求められ思わず体を火照らせる。
しかし理性はまだ残っているのか今の状況を思い出し必死にローの舌から逃げようとなっていた。
そんなアスカにローは執拗に追いかけ、ルフィはじっと2人、というよりはアスカを見つめる。
異様でしかないその場をある人物が止めに間に入る。
「そこまで」
「「「…!」」」
その人物こそ、ゾロとフランキーが真顔でアスカを『猛獣のボス』と言ってのけるアスカを妹と断言できるほど可愛がっているロビンだった。
ロビンは面白おかしく3人の関係性を見ていたが、時間がないのときりがないと思ったのか能力でアスカをローとルフィから救い出した。
あっと言う間にアスカを奪われ男2人は不満顔と視線をロビンに向ける。
しかし2人の非難めいた視線などもろともせずロビンはニコリと笑みを深め…
「あなた達、あまりアスカを苛めたらダメよ」
そう呟く。
そして2人が何か言う前にロビンは息を整えていたため何も喋れないアスカを連れ手すりから飛び降りるように降りる。
「……………」
「……………」
ロビンにアスカを奪われたローとルフィはロビンがアスカと共にワニの下半身を持つ茶ひげに乗り込むのを見ながお互い無言で目も合わさずお互いの倒すべき相手のもとに向かった。
「……スモーカーさん」
「言うな、何も言うな。」
「……………」
ポツーン、と取り残されたたしぎは傍にいたスモーカーに何か言おうと声をかけた。
しかし関わりたくないと思ったらしいスモーカーに遮られ、たしぎは何も言わず口を閉ざすしか他になかったという。
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