ヴェルゴは電伝虫でドフラミンゴに連絡しながら宙を蹴り移動していた。
その腕には気を失っているミコトが抱かれていた。
ローの目的が分かり、ドフラミンゴから抹殺の許可を得たヴェルゴは二つ、謝罪する。
一つはミコトの怪我。
外部にも内部にも怪我を負わせた事を謝るヴェルゴにドフラミンゴは笑って許す。
『元々許可したのはおれだ』と許すドフラミンゴにヴェルゴは頭が下がる。
そして…
「リサを逃してしまった…黒蝶に邪魔されてな」
≪そうか…なら仕方ねェ…その毒ガスですぐ死ぬわけじゃねェんだろ?≫
「ああ…シーザーからそう説明を受けている…だが半日しか持たないようだが…」
≪それで構わねえェよ…相棒…仕方ねェことだ…リサも説明しこれから誠意を表せば分かってくれるだろう…あの子は優しい子だからな≫
「そうだといいがな…だが、少し気になった事があった」
≪なんだ?≫
「リサは今、『アスカ』と名乗っているようだ」
ヴェルゴの報告にドフラミンゴは落胆した声を零したが、仕方ないと許す。
この毒のガス…シノクニは強力ではあるが、欠点があった。
だからこそドフラミンゴは許したのだ。
しかし気になる点があるというヴェルゴにドフラミンゴは問う。
それは名前だった。
ドフラミンゴはヴェルゴの疑問点に『ああ、それか』と零す。
≪おれも手配書を見た時は疑問に思ったが…ディスコからリサが天竜人の奴隷と聞いてな…≫
「!?、リサが天竜人の奴隷だと!?なんてことだ…!!じゃあさっきリサがおれと会ってもなにも反応しなかったのも…手を取らなかったのも…」
≪恐らく…心に傷を負っているんだろう……まァそのクズがおれのリサを間違えて売ったおかげでこうして出会えたんだがな…だが…≫
「ああ…許せるはずがねェ…ドフィの"妹"であるリサを奴隷扱いをするとは…!刻むだけじゃ足りん…!!生きたまま地獄を見せてやらねば気が済まん!!」
ドフラミンゴの"妹"であるリサ…アスカを奴隷扱いという屈辱にヴェルゴは怒りを露わにする。
そんなヴェルゴに『ああ、勿論そうするさ…おれの"妹"を傷つけた代償はその身に受けてもらおう』と答え、ドフラミンゴは先ほどの名前の話題に戻る。
≪名前の件に戻るが……おれはリサ自身また捕まるのを恐れて偽名を名乗っている場合も考えられると思った…だが……恐らくだが確率として高いのは……"あいつ"の入れ知恵だろう≫
「…"エイルマー"か」
≪ああ…あいつは死してなお干渉してきている…戦争の時あいつの"ウサギ"に邪魔された≫
「!?―――その場にウサウサの実の能力者がいたからではないのか?悪魔の実は能力者が死ねばまた同じ実が世界のどこかに生まれるという…白ひげの誰かが食べたのではないのか?」
≪いや…それはないだろう≫
「?、何か根拠でもあるのか、ドフィ」
≪…ウサウサの実はリサが食べている≫
「―――!?」
ドフラミンゴの言葉にヴェルゴは目を丸くした。
死して年月が経っているのにあの"二人"の事はまだ鮮明に覚えている。
どちらも能力者でありどちらもドフラミンゴを邪魔した愚かな人間。
どちらもヴェルゴにとって忌々しく憎んでも憎み切れない人間である。
その人間はどちらもすでにおらず、その両者が食べた悪魔の実も別の者に渡っているか、はたまたまだ見つかっていないかだろう。
その二人のうちの一人の実がリサ…アスカが食べているという言葉にヴェルゴは目を丸くした。
「ドフィ…おい…それはなんの冗談だ?」
≪冗談じゃねェさ…おれもリサの異名で疑ってはいたが…戦争で能力を使っているリサを見て確認した……偶然か、はたまた必然か…忌々しいが…あいつは……―――リサは"あいつ"の能力を引き継いだ≫
「…………」
≪フフフ!!"あいつ"は死してリサに付き纏っていやがる…!!!リサはおれの"妹"なのに関わらずだぞ!!なあ…!ヴェルゴ!!こりゃァ…なんの悪夢だ!?おい!!≫
電伝虫の奥では怒り狂い笑えて来てしまっているであろうドフラミンゴが見えた。
その怒りは十分にヴェルゴにも通じており、そしてヴェルゴも同じ気持ちである。
それと同時に"あの男"の執念に感服させられてしまう。
生きていた時もそして死んでもドフラミンゴを苦しめる"あの男"に腹立たしさや怒りでは表せないほどの恨みが積もる。
ドフラミンゴに同調するようにヴェルゴは無意識に電伝虫を掴む手を強めた。
107 / 274
← | top | back | →
しおりを挟む