(122 / 274) ラビットガール2 (122)

騒ぎ終え、それぞれ準備に追われていた。


「タンカーはお前らが使うものかと…」

「違うんだ、それがコドモらの出航を確認しねェとウチも絶対船出さねェってチョッパーとナミが言うからよ…お前ら以外の海軍を待つのもややこしいからアレで先にコドモ出してくれ」


最初の予定としてはタンカーを使ってルフィ達が子供たちを親元に帰すつもりだったが、ナミがたしぎに子供たちを預けたため、ルフィは他の海兵達が来る前に先に子供を乗せて船を出してくれとスモーカーに頼んだ。
それを聞いてスモーカーは納得し、乗り込む子供や海兵、食料などを見送る。
ミコトは足がまだ治っていないのでアスカからもらった"ラビットセラピー"の一部を膝の上に乗せて撫でながら本部と連絡をし、足の負傷を伝える。
相手はサカズキだった。
それはそのはず…ミコトが直接サカズキに連絡を入れたのだから。
『なんじゃい』とミコトを相手にしなければならないというあからさまな不機嫌そうな声にミコトはコロコロと笑いながら手足に負傷を負いしばらく使い物にならない事を伝えると、サカズキは苦言を漏らす。
予想した通り、サカズキからはグチグチと説教をされたが、そんなサカズキをミコトは『仕方ない事ですもの諦めてくださいな』と一言で切って捨て、サカズキはぷくりと頬を膨らませる電伝虫を見てため息をついた。
『開き直るな!!』と怒鳴られてもミコトは更に頬を膨らませて抗議し更に更に『そんな顔しても可愛くもなんともないけェ!ちったァ歳を考えんかい!!』と怒られミコトは歳の事を言われカチンと来たのか『失礼ね!わたくしまだ華の23歳ですのよ!!オジさまに言われたくありませんわ!オ・ジ・さ・ま・に!!』と対抗する。
結局喧嘩腰のまま『治ったら必ず連絡せェよ!!!』『勿論ですわ!!』と終わった。


「おうおう!!"麦わらの一味"〜〜!!タンカーが海軍のもんなら!!こうだ!!」

「こっからこっち入んじゃねェ!!これが正義と悪の境界線!!」

「またかよ〜!さっきまで宴やってたじゃねェか!!」

「バカバカーバカ野郎!それに関しちゃ本当にごちそう様でした!!」

「だがお前らは海賊!!人間の恥だ!!」


さきほどまで一緒に楽しく宴をやっていたのに突然冷たくなりルフィは怪訝とさせた。
更に海兵たちは、陣を持って旗のように動かし海賊に手を振る子供たちからルフィ達を隠す。


「お前らジャマだ…しょうもねェな…」

「バリヤーー!!海賊など目に毒だ!!」

「お前らも似たようなモンだろ、G−5」


見た目的にはどちらかと言えば海兵達の方が怖い。
それを棚に上げた海兵の言葉にフランキーが突っ込んだ。
しかし必死になっている海兵達をよそにルフィ達は子供たちが乗り込んだのを見て安心したのか自分たちも船に乗ろうと背を向ける。


「キャンディの治療の事はルフィのお姉さんがベガパンクに話を通してくれるって!」

「ホントか!?よかった!!」


子供たちを一番に心配しているナミはたしぎから聞いたミコトの言葉を同じく心配していたチョッパーに教え、チョッパーは嬉しそうに笑い、安堵した。


「おいアイツも一緒に行くのか」

「そうだ…まだ同盟の事言ってなかったっけ」


同盟を組んだローもルフィ達がようやく動いたため同じくサニー号へと向かう。
サニー号へと足を運ぶローを見てゾロは『ん?』と違和感を感じ、隣にいたウソップに聞く。
ウソップはあの時ゾロ、ブルック、サンジがいなかったことを思い出し『後で詳しく説明する』と言ってとりあえずは一緒に行くことに頷く。
そんな海賊達を海兵たちは追い払うように言葉を吐き捨てる。


「おれ達こそが正義で!!」

「市民を泣かす海賊共をブッ殺すのだ!!」

「おれ達こそせいぎ!!」

「ガキ共にこいつらを見せるなァ!!」


必死に叫ぶ海兵達の言葉にアスカもルフィ達同様無視し歩いてた。
子供たちにアスカ達を見せないようにする海兵に子供たちは『退いて』と言うが、その瞬間海兵たちは銃を子供に向ける。


「海賊共とあいさつなんかする奴は悪いガキだ!!」

「例なんか言いやがったら島に置いてくぞーー!!」


銃を向けられた子供たちは口を閉ざし怯えた表情を浮かべる。
その間も海兵たちは『海賊が"悪"で海軍こそ"正義"』と教え込もうとする。
そんな海兵達を見て子供の一人…モチャがそばにいたたしぎへぽつりと零す。


「…でも…"助けて"っていったら……助けてくれたんだ…」

「!」

「じじょうも何もしらないのに…こんなに大きい私達をジャmにしないでつれだしてくれたんだ……」

「何もない島で誰も来てくれなかったのに…!!来てくれたんだ!!」

「別れにお礼も言わせてくれないなら海軍なんて…っ」

「ま、待って!!ごめんね!」

「海賊はくさくて汚くて!!一方海軍はとても勇敢で正しくて!!」

「―――ッやめなさい!!あなた達!!みっともない!!」


海軍がどれだけ素晴らしいのか、海賊がどれだけ悪くて悪なのか…海兵達は大きな声で叫ぶ。
ミコトはその海兵達の行動を、そして自ら海賊に頼み子供たちを預かって無事に返そうと決めたたしぎがどう行動するか見守っていた。
子供が泣こうが続ける海兵達にたしぎは声を荒げた。
子供を宥めていたたしぎだったがあまりにも酷い仕打ちに我慢できなかったらしい。
そんなたしぎの怒鳴り声に一瞬海兵達は誰もが口を閉じる。
シン、と静まり返ったその中…


「だ、だがよたしぎちゃん!!悪口でも言い続けねェと!!おれ達ァこの無法者共を…!!―――好きになっちまいうよォォオ〜〜〜!!!海賊な゙の゙に゙よ゙ォォ〜〜!!」


海兵達の声が響き渡った。
その瞬間男の鳴き声が響く。
それを聞きスモーカーは額に手を当て、たしぎは笑い出し、ミコトは笑みを深め膝のウサギを優しく撫でる。


「なはは!変な海軍!!」


これ以上好きにならないように海兵達は頑張って罵り子供たちに海賊を見せないようにした。
どっと沸いたような男の鳴き声にルフィ達も思わず笑ってしまう。
アスカも肩をすくめていた。


「海賊のお兄ちゃん!お姉ちゃん!!助けてくれてありがとう!!―――大人になったら海賊になるよーーっ!!!」

「「「なるなァーー!!!」」」


子供たちも海兵達の行動を知り泣くのをやめて崩れた陣の先に見えるルフィ達に手を振る。
子供たちの未来が危うい方向へと行きそうになっているのに海兵が突っ込むのを危機ながらルフィ達は手を振って子供や海軍、囚人たちと別れた。
ルフィは海兵達に手を振った後、夫の隣で座って見ていた姉に振り返り…そして手を振った。
弟の手にミコトは目を丸くさせたが、ふと微笑み動く手で振って返した。

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