(42 / 293) ラビットガール (42)

アスカはあれから船で留守番をしていた。
しかしいくら待ってもゾロは帰ってこず、何やら爆発音もするしで心配になって町に入りウサギの能力で耳と嗅覚でゾロを探していた。
アスカはウサウサの実を食べた動物系の能力者のため、能力を使わなくても嗅覚は人より優れていた。


「あ、いた」


耳を頼りに物音のするところへ向かえば、そこには探し人だったルフィがいた。
ルフィの姿にほっと安堵し、アスカはルフィの元へと向かう。


「よくやったよお前は!よく戦った!まあ見ちゃいねェけどな。大体分かる!」

「ワン!」


アスカが見つけたとき、ルフィは傷だらけの犬に話しかけていた。
犬に話しかけるという今来たアスカにとったらちょっと『ついに可笑しくなったのかな?』と酷いことを思わないでもない状況に小首を傾げながら、アスカはルフィに歩み寄る。
犬は目の前のグシャグシャになっているドックフードの箱を咥えルフィに二度鳴く。
アスカはその犬とすれ違いルフィのもとについた。


「お、アスカ!何処行ってたんだ?」

「船であんた達待ってたんだよ。だけど中々来ないから来た」

「誰?」

「俺の仲間だ!!」

「ロロノア・ゾロの他にもいたのね…」


ルフィはアスカの姿に嬉しそうに笑い、アスカもルフィの笑顔に小さく笑い返した。
会話からしてゾロとはもう再会したようで、再会しても船に戻らないという事は何かトラブルが起きたのだろうとアスカは推測した。
それを問おうとしたとき、傍に立っていた女に気づきアスカは女を指差して首を傾げる。


「誰?この人。」

「新しい仲間だ!航海士だぞ!!」

「違う!!」

「そう、よろしく」

「だから違うわ!!!」


女を指さし問うアスカにルフィはニカッと笑みを深め、新たな仲間だとアスカに紹介した。
しかし女はそれを否定したのだが、ルフィもアスカも全く聞く耳を持っていないようでアスカには違うと言っているのに『よろしく』とまで言われてしまった。
すかさず突っ込みを入れたがアスカには無視されてしまい、アスカは肝心のゾロが居ない事を新たにルフィに聞いた。


「ところで、アイツは?」

「おっさんの家で寝てるってよ」

「おっさん?」


迷子のルフィが見つかった途端、ゾロがまた新たな迷子になったのかとアスカが問えばルフィは首を振る。
アスカは新たな登場人物に怪訝とさせていると、ルフィはある方へと指さす。
その指を目で追っていくとそこには見ず知らずの甲冑を来たおっさんが立っていた。
その人物はこの町の町長であった。
ルフィは説明が下手である。
何事にも一直線、そして自分の本能に従って生きているルフィに詳しい説明をしろという方が間違っており、アスカは女に聞いた。
自分に振られた女はビクリと驚いて見せたが、すぐに説明してくれた。
詳しい事情を聞き、なるほどと思いながらも一つ疑問が解決すればまた新たな疑問が生まれる。


「なんで家で寝てんの?あいつならその辺でも平気で寝れるのに」


まだゾロと知り合って日も浅いが、あの男がどんな場所ででも寝れるのだけは知っていた。
正直ゾロと知り合い、アスカは幼馴染と同じ匂いがする気がしてならないのだ。
そう…論理やら常識やらを全く屁とも思わない野生児の匂いが…
それを含め疑問に思っていると女から答えが返ってきた。


「怪我してるのよ…バギーにやられて刺されてね」

「刺された…へェ…」


どうやらバギーという海賊と今戦闘中らしく、ここに避難する前に一戦やり合った際ゾロは不意を突かれ横腹を刺されたようである。
それを聞きアスカは納得しながら、町長の家を教えてもらい、その場を離れるように歩き出す。
どこかへ向かおうとするアスカに女が慌てて引き留めようとした。


「あ、ちょ、ちょっと!何処行くのよ!」

「治しに行ってくる」

「あんた医者なの?」

「違う」


『じゃぁどうやって治すのよ』と言う前にアスカは姿を消した。

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