アスカは町長の家につき、ゾロが寝ている部屋を探して入っていった。
寝室に寝かされているゾロは傷を負っていると思えないほどぐうすかと寝ており正直傷なんて負っていないのではないかとも思ってしまう。
しかしゾロの服を捲ってみれば腹に包帯が巻いていたし、若干血も滲んでいた。
顔を見れば血の気があまりないようにも見える。
アスカはゾロの服を直し、少しベッドから離れる。
そして、アスカは服を脱ぎ始めたのだ。
アスカの能力は、動物系のウサウサの実。
悪魔の実の多くは服もその能力の一部の物が多い。
だが少数の実には服を能力の一部と見なさない物も少なからず存在する。
その実のうちの一つが、アスカが食べた実である。
ウサギになれば力が増し、大男が持てない大岩でも片手で軽々と持てるようになる。
それには腕をウサギ化しなければならず、その時に長袖等を着ていると服は巨大化した腕に耐えられず破れてしまうのだ。
そのため能力が制御できていなかった頃は多くの服を無駄にし、そして行き着いたのが袖なしの服に、結構ギリギリな短パン、ルフィとお揃いの草鞋というものだった。
アスカ自身裸になるのは抵抗なく、人に裸を見られるというのも抵抗はない。
見ても減る物はないのだから見たければ見ればいいという精神である。
生い立ちからアスカは貞操感が狂っていた。
優しい人に出会い愛情を知ったアスカは流石にゆるゆるだった性行為の考えは改めたようだが、それでも性行為に対しての嫌悪は全くない。
ウサウサの実の能力の一つに、『ラビットセラピー』というものがある。
"ラビットセラピー"は傷を癒す効果を持ち、アスカ自身通常のサイズのウサギになる事で傷は少しずつ癒えていくというものだった。
これはアスカがウサギにならなくても、アスカが出したウサギでも効果はあるが、アスカ自身がウサギになった方が効果は若干上がる。
アスカは服を椅子に掛けた後、全裸のままゾロが寝ているベッドへと上がった。
ゾロの両脇に全裸で立ち、アスカはゾロを見下ろす。
「"ラビットセラピー"」
そう小さい声で呟いた途端、アスカの体は白い毛に覆われ、少しずつ体も小さくなっていき、そしてゾロの胸あたりで小さい普通サイズのウサギとなったなった。
耳をピンと立てて警戒をし、鼻をヒクヒクさせながらアスカはゆっくりと目を閉じる。
それからどれくらいの時間が流れたのだろうか…アスカも少し眠っていたようで眠りに苛まれていたその時―――ゾロ達がいた家が何かの爆風で吹き飛ばされバラバラになってしまった。
「おい!!アスカ!ゾロ!生きてるかぁ!!?」
立っていられないほどの風に家を吹き飛ばされ、ルフィの声でアスカの意識は浮上した。
ルフィがアスカ達がいる家も吹き飛ばされたのを見て慌てた様子で掛けより、ゾロはいきなりの事に流石に起きた。
自分の上に落ちる瓦礫を退けながら上半身を起こす。
「あー、目覚めの悪ィ目覚ましだぜ」
「何が起こったのよ…」
「よかった!生きてたか!!」
「何で生きてられるのよ…!!っていうかあんた達何してたのよ!こんな時に!!」
瓦礫を退かしながら起きあがるゾロを見てルフィは安堵したが、普通なら死ぬ・または大怪我をするであろう状態でも腹の傷以外ピンピンしているゾロに女は顔を引き攣らせた。
しかしゾロの上にいる人物の恰好を見て女はギョッとさせた。
「あ?…ってお前!何でここに!?っていうかなんで裸なんだ!!!」
「何でって…あんたの傷の手当」
ゾロの上に寄りかかるようにいたのは、ゾロの治療をすると言って消えたアスカだった。
しかもアスカは服を脱ぎ、全裸。
どう見てもあんな事やこんな事をしていたようにしか見えず、女の言葉でアスカがいる事に気づき更には何故か全裸になっている事にも気づいたゾロが女以上に驚いて見せた。
どうやら、突然の事に驚いてウサギ化を解除して人間に戻ってしまったらしい。
それを見てルフィは『げっ!』と顔を歪ませアスカに詰め寄った。
「おいアスカ!お前"アレ"は禁止されてただろ!」
「いいじゃん、バレなきゃ何しても許されるのよ」
「そういう問題じゃねーよ!!エースと姉ちゃんに怒られるのはおれだ!!」
「じゃあルフィが黙ってればいいんじゃない?」
「そう………か?」
「そう。」
「ま、そうだな!」
ルフィは本能で生きてる分、騙しやすい。
そこがたまに傷だが、丸め込ませたいこちらにとったら好都合である。
だがしかし、これが仲間だからまだ笑っていられるが、敵だったら大参事である。
その為にフォローが出来る仲間が多く欲しいと思っているのだが、もうアスカはルフィの性格を直す気は更々ない。
深く考えないその性格に呆れてはいるが、それがルフィのいいところであるのもちゃんと理解しているのである。
そして、"ラビットセラピー"が禁止されている理由はただ一つ…全裸になるからである。
勿論、禁止にしているのはエースとミコトだ。
治療とは言え人前で全裸になるなんてお兄ちゃん許しませんよ!!、とエースに叱られたのもいい思い出である。
「ねえ、"アレ"って?」
「能力。」
「能力?」
「悪魔の実の能力。私ウサウサの実を食べたウサギ人間だから。」
ルフィが納得したことで口論(もどき)は終わりを告げ、黙って聞いていた女が瓦礫などで汚れた服を回収して着替えるアスカに声をかけた。
勿論、背中を見せたくないため正面で。
裸体に頓着がないため物陰に隠れるという面倒な事はアスカはしない。
アスカは女の問いに答え、女はバギー以外の能力者がいたことに驚いていた。
ここ、東の海は良い言い方では平和な海、悪い言い方をすれば一番弱い海である。
そのため賞金首の値段も低く、東の海の人間にとって"悪魔の実"はただの噂だとしか認識されていない。
それほど東の海は何もない海だった。
アスカが腕をウサギにして見せ、ようやく信じた女は目を丸くしていた。
「アスカ、お前はどうする?」
女に悪魔の実の能力者だというのを教えていると、町長が建物を破壊された怒りにバギーを倒しに行くと言い出した。
止める前に町長はバギ―達のアジトへと向かってしまい、アスカはその町長の怒りを十分に理解はしているが自分の実力以上の、しかも海賊にたった一人で向かっていった町長の冷静さのなさに少し呆れてしまう。
ルフィはあの町長を気に入ったらしく、海図も必要だからと女と手を組み、町長を追うようにバギーのもとに奇襲を掛けにいくと決めた。
ルフィに問われアスカは考えるそぶりを見せたが、ルフィ達がいくのなら自分の出番はないだろうと思い首を振る。
「私はいい。ゾロの傷も少し治ったし船で待ってる」
「そうか!」
「俺の傷?……本当だ、少しだが治ってやがる」
アスカの言葉に反論はないのかニカッと笑ってみせ、アスカの言葉にゾロは傷があった場所を見る。
"ラビットセラピー"は万能ではないためすぐには治らない。
だが、出血や傷口を多少塞ぐことはあの短時間で出来るのである。
本当なら医者に見せるのが一番なのだが…生憎、この町の医者は避難しており、船医はまだいない。
「じゃ、私戻るけど、早くしてね」
「おう!」
そう言ってアスカは欠伸をしながら船へ戻っていく。
ゾロに釣られたのか、船に戻ったら少し寝ようと思いながら。
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