(127 / 274) ラビットガール2 (127)

パンクハザードを去り、アスカ達はある島に向かっている最中だった。


「姉上!海は広ぅございますね!!直葉、国から出たことがございませんのでこんなにも海が広いとは初めて知りました!」

「そ、そう…よかったね」


アスカは甲板で相変わらず直葉に手を取られ懐かれていた。
子供が大の苦手なアスカは困ったような表情を浮かべながらめげずに話しかけてくる子供に頷くだけの返事を返す。
それでも直葉は相手にしてくれるのが嬉しいのかにっこりと笑顔を浮かべていた。
直葉が手すりから地平線まで広がる海を見ているその隣で、アスカも同じく海を見ていた。
確かにいつも見ているから何も感じないが、海は広い。
それに賛同していると、船首にいたルフィが航海士であるナミに行き場所を問う声がした。


「ナミー!どこだっけ!今から行く場所!!」

「"ドレスローザ"っていう場所!この真ん中の指針をまっすぐ進まず遠回りに辿れってトラ男君が言ってたわ」

「!?―――ド、ドレスローザ!!?」


船は、ローが言った島を目指していた。
それを聞いた錦えもんがハッとした顔で声を上げ、それに気づいたルフィが傍にいた錦えもんを見下ろす。


「知ってんのか?」

「せ…拙者達…いや…拙者が行きたい島というのはまさにそこでござる!!おぬしらもそこに用が!?」

「うん、多分な!トラ男!さっき誰かと喋ってたんだ?」

「ドフラミンゴだ」

「ド、ドフラミンゴーーッ!!?"七武海"の!?一番ヤベェって奴だろ!?それ!!」


錦えもん達の目的もその『ドレスローザ』だったらしく、同じ島を目指しているというルフィ達に驚いていた。
その会話の中で先ほど誰かと話している様子だったローに問いかければ、意外な相手とコンタクトを取っているのを知る。
その相手とは七武海で唯一ルフィと接点のないドフラミンゴだった。
その相手と電伝虫で連絡していたというローにウソップが驚いた…というよりはビビッた声を上げ、何も知らないゾロはローの『もう作戦は始まってる』という言葉に反応し、『何だ、作戦って』と首を傾げた。
それを見たルフィが『そうだ!作戦を教えろ!!』と言いだしてみんな集合することになった。


「「「同盟組んで『四皇』を倒す!?」」」


同盟も四皇の事はアスカを含めたナミ達
サンジ、ゾロ、ブルックは初耳で驚いていたが、ゾロは『四皇か!いいな、それ!』と笑っていたがウソップに『よくねェよ!!』と怒られてしまった。
とりあえずウソップは知らない仲間にも教えるよう言った。
ルフィはフォアマストのイスに座り、その隣にいるローの肩を叩いて答えた。


「よし!ウチとトラ男の海賊団で同盟を組んだぞ!仲良くやろう!!ししし!!」

「…………」


簡潔すぎだが一番分かりやすいルフィの言葉とそのフレンドリーな態度にローは反応の仕方を戸惑う。
ウソップが『反対の人ーーっ!!』と反対派を募りナミとチョッパーが釣れた。
しかしブルックの『反対したらどうにかなるんですか?』という言葉と、サンジの『どうせルフィが決めるんだろ?』という言葉に撃沈してしまう。
そしてサンジはここでようやくルフィがシーザーを誘拐するというらしくもない事を言った理由を理解した。


「パンクハザードでお前らに頼んだのはシーザーの誘拐…おれは『SAD』という薬品を作る装置を壊した…"新世界"にいる大海賊達は大概海のどこかに"ナワバリ"を持ち、無数の部下たちを率いて巨大な犯罪シンジケートの様に君臨している…とにかく今までとは規模が違う!!一海賊団で挑んでも船長の顔すら拝めやしない!」


ローはこれまで集めた情報のその一部…今必要な情報をルフィ達と共有する。
というよりかは教えると言った方が正しいだろう。
ローは『だが』と続ける。


「あくまで裏社会…海軍に目を付けられねェ様に必要な取引は闇の中で行われる!!その中で最も信頼と力を持っている男がドフラミンゴだ!!――闇の名を"ジョーカー"…さらに今"ジョーカー"にとって最も強大な取引相手が『四皇』"百獣のカイドウ"」

「!?」

「!!―――んな!!!」

「―――!!!」


ローの説明を錦えもん達も聞いていた。
その説明を聞いてまた気になった言葉が出てきた。
その言葉は錦えもん達を驚かせるのに十分で、モモの助は驚きすぎて龍へ変化してしまうほどだった。


「どうした?」

「いや…!!何でもござらん!!続けてくれ!!―――わっ!!何でござるこの龍!!モ…モモの助はどこだ!?」

「そいつだよ」

「は!?ああ!!そうでござった!!そうか…こうきたか!!」


混乱しているのか、龍に化けた息子を見失った錦えもんだがルフィの言葉に我に返る。
続けてくれという錦えもんの言葉にローは続ける。


「おれ達が狙うのは『四皇』カイドウの首だ!――つまりこいつの戦力をいかに減らすことができるかが鍵!今カイドウは"ジョーカー"から大量の果実を買い込んでいる……それが人造の動物系悪魔の実『SMILE』だ」

「「「!!?」」」


ローの言葉に全員が目を丸くする。
錦えもんとモモの助は直葉をおチラリとみるが、直葉は表情を変えずロー達の話を聞いていた。
悪魔の実は本来人の手では育たない。
能力者が死ねば同じ実がどこかで生ると言われており、事前に見つけることも難しいとも言われており、前の能力者の力量でその悪魔の実の値段が上がりもし下がりもする。
それだけでも能力者というだけで厄介だというのに、それが人造とつき人の手で作られているとなると…厄介どころではない。
それも動物系とは言え、である。
世間は自然系を高く評価しているが、CP7のルッチや、アスカを見ていると馬鹿にはできない。
ウソップはそれを聞いて作業の手を止める。


「人造って…そんなもん作られたら際限なく能力者が増えちまうじゃねェか!!」

「そういう事だ…人造なだけにリスクはある様だが、現に今…カイドウの海賊団には500人を超える能力者がいる」

「〜〜〜ッやめたい人!!!」

「「ハイッ!!」」

「黙ってろ!」


ウソップの言葉にローは頷き、ウソップはリスクがあるとはいえこれから倒そうとしているカイドウの配下、少なくとも500人もの海賊が動物系の能力者だと知り顔を青ざめる。
止めたい人と手を挙げて募るとやはりナミとチョッパーが手を挙げたが、今度はゾロにブチリと切られてしまった。
そんなビビリな三人を無視し、ローは『だが』と続ける。


「だが、もう能力者が増えることはない」


そう言ってローは捕まっているシーザーを見る。
その言葉と目線を伝い、ルフィたちもシーザーを振り返り、全員の目線をシーザーに向けられてるなか、ローはシーザー誘拐の真意を告げた。
その人造悪魔の実を作れるのはシーザーのみらしく、シーザーを誘拐したことと研究所を破壊したことでSMILEの製造がほぼ止まったも当然だった。


「へー…コイツが!?」

「お前が悪魔の実の元を作ったのか!!すげーなー!!『SAD』!!」

「元凶だぞ!!ホメんな!!」


ローの説明で敵のシーザーを褒め始める。
そんなサンジ達にウソップが突っ込んだのだが…


「ベガパンクの発見した"血統因子"の応用だ」

「何だ…すげーのベガパンクか…」

「黙れ貴様ら!!じゃあ作れんのかよォ!!アホのクセに!!」


ローの言葉でその尊敬の眼差しもあっと言う間に興ざめし、背を向けるサンジ達に褒められ照れていたシーザーも怒鳴り声を上げた。


「ジョーカーはもう終わりだ…こっちはもう次の一手に動く…ドレスローザのどこかに『SMILE』の製造工場がある」

「それを見つけて潰せばいいのか」

「その通り…敵は取引のプロだ…油断はできない」


次の島での目的と簡易的に話し、全員どう動くかは大体しか決めていない。
しかし、ローはアスカを船番につかせる気でいた。
その理由は勿論ドフラミンゴである。
恐らく最初にドフラミンゴと相見えるのは引き渡す役割を担うつもりの自分だろう。
アスカを連れて行けば必ずドフラミンゴはアスカを狙ってくる。
ドフラミンゴを相手にアスカを守りながら戦うのは骨が折れるどころかローも流石にそんな余裕はない。
しかし工場破壊では幹部との遭遇率も高くそれもまた危険。
だからローは三つのチームのうち、確率に幹部やドフラミンゴと接触が極めて低いであろう船番にアスカを入れ込もうとした。


「お前の行きてェのもここか?キン!」

「いかにも!!――同胞が一人…!捕まってござる!!」

「!!」


ローが頭の中で何をどう考えているのか知らないルフィは先ほど行きたいと言っていた錦えもんの言葉を思い出す。
ルフィに問われ、錦えもんは頷き…刀を抜いた。
その言葉にルフィ達は目を丸くする。

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