(44 / 293) ラビットガール (44)

アスカはいつの間にか眠っていたらしくルフィ達の声で目を覚ます。


「はあー、怖かった…シュシュのお陰で何とか逃げ切れたわ。何で私達がこんな目に合わなきゃいけないの?」

「いいだろ。別におれ達の用は済んだんだから」

「そりゃそうだけどさ…」


目を開けたとき、見覚えのある男三人がゾロに睨まれ海を泳いでいった。
それを見送り、アスカは男達からルフィへ目線を戻す。


「お帰り」

「ただいま!」

「あんた今まであいつらと居てよく無事でいれたわね…」

「あいつらって?」

「もういいわ…」


あいつら、とは先ほどゾロの睨みで海に逃げた男達の事だろう。
しかしそれのどこがいけないのかが分からず、首を傾げる。
何をされるでもなかったため首を傾げるアスカに女には呆れられアスカは更に怪訝そうに首を傾げる。







あの後、アスカ達は何故か町長に感謝されながら見送られ出航した。
ルフィ達は小船で…女はあの男達が置いて行った海賊船で。
次ぎの島までアスカは女…ナミと色々な事を話した。
アスカはどちらかと言えば人懐っこくはないが同性という事で会話が弾んだのだ。
航海技術を持っているナミの指示のもと、二つの船は新たな島に着き、4人は上陸する。


「あったな〜本当に大陸が!」

「なに言ってんの。当然でしょ?地図の通り進んだんだから。」


ルフィ達は船を降り周りを見渡し、アスカは欠伸をした後回りを見渡す。
ナミが奪った船が海賊船ということもあり、ドクロマークを隠すため人気の少ない場所に船を止める。


「この奥に村があんのか?」

「うん、小さな村みたいだけど…」

「そろそろ私お風呂入りたいんだけど…」

「私も…でもどうだろう…本当に小さい村みたいだから銭湯あるかしら…」


地図を見ると小さい村があるのが分かった。
アスカもナミの隣で地図を覗き込みながら懇願するように呟く。
小船ではシャワー室も何もなく、バギーの部下から奪った小型の海賊船もシャワーなんて上等なモノはない。
男2人は気にもしていないようだが、女2人は汗臭い自分の体にうんざりしていた。
アスカは山賊達との生活が長いため一般の女性よりは気にすることはないが、流石に何日もお風呂に入らないのは嫌気がさす。


「おい」


するとゾロが不意に三人に声をかけ、三人はゾロへ振り返る。
船を縄で繋いでいたゾロは三人の目線を一身に受けながらクイッと顎で崖を差した。


「ところでさっきから気になってたんだが…あいつら何だ?」


崖の方へ三人が振り返ればそこには4人の影が見えた。
ルフィ達がそちらへと目をやった途端に4人のうち3人は飛んで逃げるように姿を消し、1人の男だけが残る。
4人と1人が無言のまま時間だけが進み…最初に言葉を発したのは、1人の男であった。
男は草むらに隠れていた体を立ち上がらせ胸を張って声を上げる。


「おれはこの村に君臨する大海賊団を率いるウソップ!!!人々はおれを称え、さらに称え"わが船長"キャプテン・ウソップと呼ぶ!!!この村を攻めようと考えているならやめておけ!!このおれの八千万の部下共が黙っちゃいないからだ!!」


どうやらナミの船で海賊船だと気づいたウソップと名乗った男と、そして逃げていった3人の影達は、略奪目的だと思い追い払おうとしたらしい。
1人残された男には8千万もの部下がいると言い放ち、単純なルフィは真に受けたのだが…


「うそね」

「ゲッ!ばれた!!」

「ほらばれたって言った」

「ばれたって言っちまったー!おのれ策士め!!」


ナミが鎌をかけ、嘘を見破った。
見破られたウソップは自分の失態に頭を抱える。
ウソップの嘘はよく考えればすぐにバレるものであるが、ルフィは信じ、そしてウソップを気に入ったようである。
そして、略奪をしに来たのではないと知ったウソップはそのままルフィと意気投合し、ルフィ達に(というか主にルフィに)食事が出来る店を案内してくれた。







あの後、ルフィ達は仲間と船が必要だとウソップに教え、どこかに船を提供してくれる人はないのかと聞くも全く見当たらないという。
しかしゾロが来る途中に屋敷が見え、ナミがその屋敷の人に頼もうかという提案をした途端、ウソップは大反対しはじめた。
どうやらウソップはその屋敷の主人である少女と知り合いらしいのだが、その少女は病弱で屋敷からはあまり出られないらしい。
そんな少女にウソップは気が滅入っているだろうと嘘をつきにいつも屋敷に言っているという。
その嘘は楽しいモノばかりで、少女もウソップと会うのが楽しみらしい。
ルフィ達もその少女から船を貰おうとしたが、まあ…当然ながら失敗してしまう。


「ねェ、ルフィどこいったの?」

「さあな。"キャプテン"を追っかけてったんだろ」


失敗するのは目に見えていたナミとアスカは落ち込むことなかった。
屋敷から離れた場所でのんびりとしているとルフィの姿が見えない事に気づき、ナミは傍にいたアスカとゾロに問いかけた。
その問いにはゾロが答え、アスカはゾロが答えたため頷いただけに終わらせる。
曖昧な答えだがウソップもいないので当たっているのだろう。
するとウソップがいるであろう場所を知っているらしい子供達が居場所を教えてくれた。


「キャプテンならあそこだ!」

「うん海岸だ」

「なんかあるととりあえずあそこに行くんだ!!」


ウソップの行動を読んでいた子供達の言葉にナミはルフィを探しに行くかと2人に声をかけると、ゾロは『行かない』と言い、アスカは『行かない方がいい』という。
アスカの言葉にナミは首を傾げる。


「何で?」

「多分、あの人のパパの話をしに行ったんじゃない?」

「「パパ?」」

「うん、ウソップのパパ、私達の村にちょくちょく来てて結構仲良かったから…積もる話も沢山あるんでしょ?」

「私達って…あんた達一緒の村だったの?」


行かない方がいいという理由は納得したが、ナミはルフィとアスカが幼馴染だという事を初めて知り、ナミの言葉にアスカは頷く。
ゾロもそこまで聞いていなかったのか幼馴染だと聞いて『だからルフィの扱いに慣れているのか』と納得する。


「私とルフィは幼馴染なの。ウソップのパパ…ヤソップって言うんだけどヤソップはパパの船に乗ってるの…今は何処にいるか分からないけど」

「「私のパパ…?」」


説明を聞いているとまた疑問に思う事があった。
アスカはウソップの父親が自分の父親の船に乗っていると言ったのだ。
それを2人が声をそろえて疑問を零すとアスカは2人の反応に首を傾げる。


「あれ、言ってなかったっけ?私のパパ、海賊なの」

「へー…有名なのか?」

「さあ、わかんない…パパはパパだし。」


ルフィもどこかズレた思考の持ち主だが、その幼馴染もまた、ズレていた。
アスカにとってシャンクスはシャンクスであり、海賊だったが、自分の父でもあため、シャンクスがどれだけ有名かは知らない。
そもそも、シャンクスが娘に自慢するような人ではなかったのだから尚の事だろう。
肩をすくませるアスカに2人は流して深くは聞かなかった。

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