(146 / 274) ラビットガール2 (146)

三人で風呂に入り、何故かアスカが怒りながら風呂場を出て行ってしまった。
それを見てローは『お前が無理矢理雪崩れ込ませるからアスカが怒ってるだろ』とジト目で見つめ、ルフィは『何言ってんだ…トラ男もノリノリだったじゃねェーか!』と返す。
アスカを共有するという平和的解決をした二人だったが、アスカへの独占欲は変わらないのか睨み合っていた。
その時…奴は来た。


「ル〜フィ〜…トラ男〜…ちょーーっといいかしら?」


そう、鬼…―――ゴホン、ナミが来たのだ。
睨み合っていた二人だったが、ナミの声で振り返ると、ナミはニッコリと満面の笑みをルフィとローに向け、手招きしていた。
ルフィとローはその笑みを見て嫌な予感がよぎる。
ここは逃げた方が勝ちだ、とルフィもローもナミから逃げようとする。
しかし…逃げるというコマンドは封じられてしまう。


「ちょっとあんた達何逃げようとしてるわけ?」


ガシリとルフィとローの首根っこを掴み、ナミは19歳と26歳の男を二人引きずる。



◇◇◇◇◇◇◇



連れていかれたのは図書室。
そこにはアスカとロビンがおり、アクアリウムバーの時はと真逆となった。
アスカは既に椅子に座っており、ナミはその左右(気持ちアスカとの距離があり)にルフィとローを座らせた。
図書室にはどこから出したか分からないホワイトボードが置かれており、その横にはロビンが立っていた。
ナミはローとルフィが座った(正確には座らされた)のを見てロビンの反対の、ホワイトボードの隣へ立つ。


「では!これからにあたりいくつか決まり事をしたいと思います!!」


そう述べるナミにロビンがペンを取り出し『していいこと』と『してはいけないこと』と書き始める。


「おい…なんだこれは」


それを見て全く理解不能なローは苛立った低い声でナミに問う。
だが、今のナミは過保護モードとなっており怯えるそぶりはない。
逆にローを指さし『はいそこ!!発言をする際には挙手をするように!!』と咎められローは『はあ?』と凄んだ。
『なんでお前にそこまで言われなきゃならねェ』とばかりに反抗するローに対し、素直なルフィはナミの言葉通り手を挙げる。
手を挙げるルフィにナミは『はい、ルフィ』と指名した。


「ナミもロビンも…なにしてんだ?」

「あらナミ…2人に説明していなかったの?」

「こいつら私の顔見た途端逃げようとするのよ?失礼と思わない?」

「だってお前、鬼バ―――むぐっ」

「…………」


『だってお前、鬼ババァみたいな顔してたじゃねーか!』、と言おうとしたルフィの口を先の言葉を察したアスカが手で覆って塞いだ。
ロビンもルフィが何を言おうとしたか察し、ナミに勘付かれる前に話を逸らそうとナミに代わって説明してやる。


「まずはルフィ、トラ男君、アスカ、おめでとう」

「?」

「何がめでたいんだ?」

「三人とも付き合ったんでしょう?」


ロビンの言葉にローとルフィは隣にいるアスカを見た。
アスカはその目線から逸らすためそっと下へ目線を落とし、『……ごめん…つい…そういう流れになって…』と白状した。
バレたくらいで焦るくらいなら、二人は最初からアスカを共有しようとはしない。
バレたなら仕方ないともはや二人は開き直っていた。
そもそもそういう風にけしかけたのはロビンである。
だからこそロビンは三人で付き合う事に抵抗はないのだ。


「だからルールを決めましょう」

「ルールゥ?」

「そう、ルール…私とナミもアスカを妹みたいに可愛がってるからタダであなた達に上げるなんてすると思う?」

「でもよ!ロビン!お前言ってたじゃねーか!『海賊がルールを守ってどうするんだ』って!」

「ええ、海賊がルールを守っても仕方ないとは思うわよ?でもね、ルフィ…海賊が無法者だとしてもよ?一応海賊も広い海の中船という箱で仲間と同じ空間で暮らしているんだもの…モラルというものを持つべきよ」

「??」

「ようするに、私達が決めたルールに従わなければアスカとの交際は認めませんってことよ、ルフィ」

「えーー!!何でだよ!お前応援してるんじゃねーのかよーー!!」

「勿論、応援してるわ…でも目の前でイチャイチャされたら風紀が乱れてしまうもの…特に今はナオちゃんとモモちゃんがいるから余計に……だから、それとこれとは別のお話」


にっこりと笑うロビンにルフィは不満の声を零すが、ナミがジト目で『これ以上文句言うとアスカと別れさせるわよ』とドスの聞いた声で呟き、『アスカと別れさせる』という言葉にルフィは口を閉じた。
しかし不服なのかムスッとしているが、同じくナミもアスカを取られた事で機嫌がよろしくなくムスッとしていた。
アスカは二人を連れてくる前にも話を聞いていたため異論はなく、ローは様子見という事で大人しくしていた。


「では、一つ目!『していいこと』を発表します!!」


大人しくなったところでナミは話を再開させる。
ナミの再開の声にロビンは手に持っていたペンの蓋を取って項目マークとして小さな黒く塗りつぶされている丸を描く。


「その1!手を繋ぐ!」


そのマークの横にロビンは綺麗な字で『手を繋ぐ』と書く。
これに2人からの反論は勿論、ない。
そして次…と思いきや…


「これで『していいこと』は以上!それで次は『してはいけないこと』だけど…」

「「ちょっと待てー!」」

「…なによ」


『していいこと』は一つで終了した。
ふむふむ、と見ていたローもルフィも流石に待ったをかけ、次に『していけないこと』に突入しようとしているのを止める。
ナミは次に行こうとしたのを止められ、むすっと不機嫌さを見せる。
しかしナミも必死だが、ルフィとローも必死である。


「なんでしていいことが手を繋ぐだけで終わりなんだ!!」

「そうだぞ!ナミ!!それ以外はしちゃいけねーってことだろ!?一緒にメシも食えねーのか!!?」

「問題はそこじゃねェだろ!!麦わら屋!!」

「あんた達うるさいわよ!!いいから黙って話を聞きなさい!!じゃないとアスカを私の隣にさせてあんた達のイスをくっつけるわよ!!」

「「…………」」


この船での主導権はほぼナミである。
それは麦わらの一味だけではなく、ローにも通じるのか、『アスカ』で脅されたローもルフィも黙るしか選択肢がなかった。


「していいことに関したら結構飛ばしてるものが多いのよね」

「じゃあアスカとメシ食うのは!?」

「それはOKよ」

「じゃあ肩を抱くのは」

「は?駄目に決まってるじゃない」

「…………」

「じゃあ後ろから抱き着くのは!?」

「駄目よ」

「一緒に昼寝!」

「あー……うーん…グレーゾーンかしら…」

「グレーゾーンなんてもんもあるのかよ…」

「仲良しこよしお友達でのお昼寝はOKよ…でも大人のお昼寝は駄目。」

「…と、いうことは…」

「そう…セックスはもってのほか!!」


『していいこと』として挙げるのは細かくしすぎて縮小した結果が一個になっただけで、他にもあった。
例えば『アスカの傍にいること』、『アスカに触れられること』、『アスカに声をかけること』、『アスカの髪を撫でること』など事細かにあった。
それを上げていたが、先に聞かされていたアスカは『ちょっと細かすぎない?』という一言で縮小し、その結果『手を繋ぐ』と一つにまとめられたのだ。
大人のお昼寝…とはあんなことやこんなことのお昼寝だとローは気づき、ローが何を考えているのかを察したナミはニッコリと笑う。
その笑みにローは顔を引きつらせ、ルフィは『えーーー!!?』と声を上げた。


「どーして駄目なんだよ!」

「何言ってんの!当たり前でしょうが!!こんな狭い船の中であちこちでエッチな事されてみなさい!!あんたたちに手籠めにされているアスカを見たあいつらがアスカに欲情したらどうしてくれるわけ!?だからキスも駄目よ!セクハラも駄目!隠れてしようもんなら船から海に突き落とす!!!勿論連帯責任で二人ともよ!!」

「おーぼーだー!!」

「うっさいわね!!こっちは血涙でるほど妥協して妥協して妥協した結果なのよ!!本当ならあんたらの付き合いだって認めたくないんだからね!!」

「鬼だ!!鬼ババァだ!!」

「なんですってェェ!!!」


アスカが二人と付き合うこと自体はナミも認めているが、だからといってイチャイチャしているのを黙って見ているわけにはいかない。
ここは広い海の上。
巨大船とはいかないまでもそれなりに大きい住まいは一つ屋根の下にも同等の船。
隠れる場所もあるとはいえ探せば簡単に見つかるほど部屋も場所も限られている。
だからこそここはしっかりとルールを決めなければマズいことになりかねないのだ。
ラブラブなのはいい。
ラブラブなのはアスカが愛されている証拠だから腹が立つがそこはいい。
だが、だからと言って放置していればまだやりたい盛りの三人がどこで事を始めるか分かったものでもないし、なによりこの船には健全な男連中が多いのだ。
もしも情事中に出くわしてしまえば……気まずいどころではない。
それに今は子供も乗っているためそこは曖昧にはできなかった。


「大体ね!大概の男ってのはゴムより気持ちがいいからって中出ししたがるものなのよ!!相手の負担や危険も考えずにね!!第一この船にゴムなんてないだろうし!チョッパーが持ってるわけがもないし!!避妊もせず感情だけでセックスしてると一番負担かかって迷惑かけられるのはアスカなのよ!!あんたらを放置してると死ぬまでアスカが孕まされる気がするわ!!大家族海賊団の出来上がりよ!!むしろ子供の数で船が沈むわ!!」


暗に、あんたらセックスしたけどあれゴムなしでやったでしょ、とナミは言った。
この船にコンドームという品物はない。
まず麦わらの一味の男(コックと骨は除く)は、仲間の女を女扱いしていない。
正確に言えば男性陣は女性陣に尻に敷かれているため欲情しようにもその気が全く起きないのだ。
フランキーとゾロは特に。
だからコンドームなどという必要な物がないのだ。
アスカは成長した。
そう…女になっているのだ。
初潮だってすでに来ているから当然生理もあるし、子供が出来る体になってしまった。
それがなくても性病というリスクも高い。
聞けば中には出さなかったらしいが、そんなものコンドームなしで入れてしまえば中に出そうが外に出そうが子供が出来るものは出来る。
100%可能な避妊などコンドームやピルでも無理である。
ローは健全な男として、そして医師としてそういう知識はしっかりあるだろうが、我らが船長は全く無知と言っても過言ではない。
あの野生児にセックスマナーなんて分かるはずがなかった。
だからこそナミ妹を守るため、主にルフィに釘をさそうとしたのだが…


「…ヒニンってなんだ?子供ってアスカから出てくるのか?」

「………え?」


まさかの言葉にナミもロビンもローも…そしてアスカも固まった。

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