(147 / 274) ラビットガール2 (147)

その場は凍り付き、ルフィだけが首を傾げていた。
ナミは恐る恐るルフィに問う。


「………ねえ…ルフィ…あんた…子供がどうやってできるのか…知ってる?」

「?、子供は結婚した男と女が一緒にベッドで寝てるといつの間にかできてるんだろ?だから姉ちゃんが姉ちゃんとアスカ以外の女と寝ちゃ駄目だって言ってたぞ?」


みんなの心が一つとなった――――『何デタラメ教えてんのあの人〜〜っ!!!』と。
ある意味間違ってはいないが、間違っていた。
それもミコト仕込みの間違いであった。
4人の頭の中にあの美しい大将を思い浮かべており、ナミもロビンもローもアスカも…子供以下の性への知識しかないルフィを教え込むミコトへ突っ込んだ。
その同時刻、ミコトがくしゃみをしたことはアスカ達は知らない。


「……これは…保健授業へ変更ね、ナミ」

「そうね…そうじゃなきゃ本当にこの馬鹿どもにアスカが孕まされる…」


純粋だと思ってはいたが、まさか流石にアスカもここまで酷いとは思っていなかったため、顔を手で覆ってしまう。
ナミとロビンはルール決めよりも性教育へと変更する。


「ルフィ、女の子の体は男の子よりも繊細にできてるものなのよ」

「一緒じゃねェのか?」

「一緒じゃないわ…赤ちゃんはね女の子の体の中にできるの」

「えっ…じゃあ、アスカもか?」

「ええ、勿論」


ルフィは子供の作り方を知らず、ロビンの言葉にギョッとさせアスカを見る。
ルフィに見られたアスカはなんだか恥ずかしくなって頬を染めそっとルフィから目を逸らす。


「まず…あんたらセックスしたのよね?」

「おう!」

「三人で?という分かりきった質問はしないけど…セックスっていう行為はね愛情を育むもので気持ちがいいけど…その行為は別名『子作り』とも言われてて、セックスしたら子供が出来るのよルフィ」

「えええ!?じゃあアスカの体に赤ん坊がいんのか!?」

「100%じゃないけどね…だからアスカは後でチョッパーに診てもらいなさい」

「うん」


ミコトの教育の賜物でルフィは性に対して疎い。
だが義理とはいえ男兄弟がいたおかげで基本的な知識はあるようで、それには少し助けられた。
正直教師でも医師でもないナミとロビンが教えられるのは少ない。
とりあえず今はいないエースに感謝しながらナミはセックスへの危険性をルフィに教える。
だが、ふとナミはある事を思いつく。


「一つ言っておくけどアスカが妊娠したらもう一緒に航海できないから」

「な、なんでだよ!!」

「だって医者いないじゃない」

「そんなもんチョッパーがいるだろ!?あとトラ男もいるし!!」

「チョッパーは助産師さんじゃないし、トラ男も外科医だから専門外でしょ?…あんたは知らないだろうけどね、女の子は妊娠したらね助産師さんっていう専門の人が妊娠から出産後一年は一緒にいなきゃいけないのよ…それに知らないの?妊婦さんに航海は毒なのよ」

「ええええ!?そ、そうなのか!?」

「ええ、そうよ。毒よ、毒…だから船には妊婦さんを乗せてはいけないって決まりがあるの」


アスカはナミの言葉を聞き『えええ…』と思う。
今、ナミは息を吸うごとく嘘をついている。
誰もが知っているが、航海が妊婦の毒であるはずもないし、助産師は妊娠から出産後一年まで付きっ切りというわけではない。
普通に交通用の船にも客船にも妊婦さんは乗っているし、助産師さんが一緒にいるわけではない。
驚くルフィにナミはケロッとした表情で『これは常識よ?常識』と嘘を吐いており、ロビンは『あらあらナミったら』とコロコロと笑って止めることなく、アスカもローも平然と間違った知識を植え込むナミとそれを信じ込むルフィに『おいおい…』と呆れていた。


「あと船でセックスすると三日後に女側が死ぬってジンクスもあるから」

「〜〜〜!!?」


ナミは畳みかけるようにありもしないジンクスを作った。
が、勿論ミコトの教育方法で純粋に育ち過ぎたルフィは簡単に信じ、アスカに『お前死ぬのか!?』と泣き顔で聞いてくる。
アスカはありもしないジンクスに『いや、それはないでしょ』と言うか考えたが、ナミがどうして嘘をついているのか分かっているため『あー』やら『うー』やら曖昧な返事しかでない。
ナミは困り果てるアスカを見て『でも結ばれて一回は許されるって聞いたから大丈夫ね』とフォローをした。
それをルフィは信じホッと胸を撫で下ろし、ローはそんな嘘全開なナミの言う事を本当に信じるルフィに呆れ返り溜め息をつく。
ナミはルフィにルールを守らせるために嘘をついたのだ。
どうせ頭ごなしにルールを守るよう言ってもルフィが守るわけがないのだ。
世間のルールでさえ粉々に砕くような輩である…元からルールを守るとは思っていなかった。
性教育をし直そうにも恐らくルフィは半分も理解しないだろう。
ナミは正直面倒になってきた。
それは放置とも言う。
とにかくルフィにルールを守らせればなんでもよかった。


「じゃあ、絶対にルールは守るように!」


ルフィはこれで船でも町についても簡単にアスカとセックスはしなくなるだろう。
アスカもルフィ達を呼ぶ前にちゃんと言い聞かせていたし、本人も妊娠して迷惑はかけたくないとも言っていたから二人は安心できる。
ただ問題はローだった。


「トラ男、あんたもよ」

「……分かった。」


ルフィは元気な声が返ってきて、アスカは頷きが返ってきた。
あとはローである。
ローは仲間ではないからナミ達が決めたルールに従う必要はない。
それにローもナミ達が言って聞くような性格ではないのを知っている。
しかし意外にもローはナミの言葉に頷き、それがあまりにも呆気なくてナミは怪訝としてしまう。


「…やけに聞き分けがいいわね…あとでバレないとか思ったら大間違いよ」

「一応、麦わら屋との話し合いで抜け駆けや隠し事は禁じているんでな…麦わら屋がしないならおれもしない…大体アスカが嫌がってるのに無理矢理できるかよ」


ルフィとローがお互い引く気がないから手を組んだ時…決めたことがあった。
それが、『隠し事をしない』と『抜け駆け禁止』である。
まだ決めた事はあるし、これからも出てくるかもしれないが、ルフィがアスカとセックスしないというのならローもそれに従うまでの事である。
勿論主導権がルフィにあるというわけではなく、反対にローがそう決めたのならルフィもローの決めたことに従うだろう。


「あら…トラ男くんって案外優しいところあるのね」


意外と話が通じる男でロビンはアスカにも気を使ってくれている言葉に嬉しそうに笑うも…ナミはむすっとしていた。

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