(158 / 274) ラビットガール2 (158)

コロシアムは順調に進んでいた。
A、B、Cと進み、ルフィが出場するDブロックが始まっていた。
Bブロックだったコネッホは勿論勝ち進み、今、ルフィの試合を見守っている。
Aブロックには黒ひげ海賊団の船員、バージェスが潜入しており、Cブロックにはバルトロメオ、ベラミーがいた。
更には今ルフィが戦っているDブロックには巨人族のハイルディン、チンジャオファミリー、イデオがいた。
幸運にもBは名のない筋肉だけの大男しか出場していなかったため、何とかコネッホでも勝てたのだ。


≪21人を地獄へ送った殺人牛!!コロシアムの死神!!人呼んで"非情なる牛"!!―――そしてなぜかその死神を乗りこなすのがこの男〜〜!!きら星のごとく現れ軽快な強さで瞬く間に人気者!!―――ルーシー〜〜!!私も好きだ―!この男!!ぎゃはは!!≫

≪ギャッツさん!実況は公平に!!≫


正直、Dブロックでよかった、と心から思った。
強敵ばかりのこのブロックにだけは当たりたくなかった。
当たらなくて本当に良かったと思うのと同時に、実況にもあるようにルフィの人柄にどっと観客が沸くのを聞きながらコネッホは目を細め闘牛を乗りまわすルフィを見つめ愉快そうに笑っていた。
すると1人の男がコネッホの隣に立つ。
ふと感じた人の気配にコネッホはその隣に立つ男をチラリと横目で見下ろした。


(…なんだ…?)


男…と言っていいのだろうか…。
その人物は深くフードを被りマントで身を隠しており男か女か分からない。
だが背格好は女ではない事だけは分かり、ギリギリ男だと認識できる程度の情報しかなかった。
ルフィの大暴れを見て笑っていたコネッホの顔が男の登場によって消え、男はルフィを見つめながらゆっくりと口を開く。


「お前、何者だ」


低く小さい、声だった。
警戒しているような声にも聞こえるが、コネッホは男の質問の意味が分からず首をかしげる。


「ぼくはただのウサギのオモチャだピョン」

「ではなぜルフィやアスカの事を知っている?」

「…!!」


この見た目だから何か因縁でも吹っ掛けられるだろうとは思っていた。
血の気の多い奴らにしたら叩ける相手が1人でもいればそれでいいのだから。
だからこのマントの男もそうだと思っていた。
…次の言葉を聞くまでは。
コネッホは無理やり笑顔を作っていた男の言葉から『アスカ』という言葉を聞きハッとさせ男を見下ろす。
男は相変わらずルフィの試合を見てこちらには目もくれていないが、意識はこちらに向けているのがなんとなく野生の勘で分かった。


「……君こそ何者だ…なぜアスカを知ってる…アスカと関係のあるのか」


コネッホも男と同じ問いをした。
やはりコネッホと同様男は何も答えない。
お互い周りに聞かれたくないからか小声だったが、お互いに警戒し集中しているからか周りの音が二人の耳には届いていなかった。


「…話がある…こっちに」


今回は男が先に動いた。
背を向けどこかへ消える男に正直コネッホは戸惑った。
ついて行っていいものか判断しかねていた。
しかし、相手がルフィどころかアスカも知っている事が気がかりで、ついて行くことにした。
もしかしたらドンキホーテファミリーかもしれないと思うとついて行くことは間違いだと思ったが、フードを被り顔を隠している彼がどうしても悪く見えなくてコネッホは自分の勘を信じた。
――案内されて来たのは人気のない場所だった。
少し入り組んでおり、少なくともこのコロシアムの出場者はたどり着けない場所だろう。
向かい合う形で立つが、コネッホの方が身長は高く、向かい合うと言ってもコネッホが見下ろしている形に近い。


「…で、話とはなんだい」

「その前に顔を見せよう…顔も見せないんじゃ信用されないしな」


切り出したのはコネッホの方だった。
コネッホの問いに男は用件を言う前にフードへと手を伸ばし、パサリとフードを取った。
コネッホの目の前にいる男は髪が金髪で少し癖があり男にしたら少し長い方だろう。
更に特徴的だったのが、火傷の痕。
顔の左側にクッキリと残されており、男はフードを取った後マントも取る。
マントの下には黒いコートに青い上着に首に巻いたスカーフが特徴だった。


「おれはサボ…革命軍の参謀総長をやっている」

「!、革命軍!?」

「そう…そして―――ルフィとアスカの兄だ。」

「―――っ!!?」


サボはゴーグルをつけたシルクハットを被りながら簡単な自己紹介を始める。
しかしサボの肩書よりもコネッホは『ルフィとアスカの兄』という言葉で目を丸くした。


「それは…本当か?」

「ああ、嘘なもんか」

「…………」

「で?お前は?」

「…………」


じっとサボの目を見るも、サボの目は嘘偽りを言っているようには思えなかった。
それにこんな敵地で革命軍の…しかもNO2である参謀総長など名乗る事自体嘘偽りのない証拠でもあった。
もし嘘ならば本物の馬鹿か、本物の怖いもの知らずだろう。
問われたコネッホは一瞬言うのを戸惑う。
だが、少なくとも自分の肩書を述べるくらい自分を信用してくれてたという事だけは分かり、答えることにした。


「…ぼくの名前は――――」


コネッホの回答に、今度はサボが目を丸くする番だった。

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