(194 / 274) ラビットガール2 (194)

アスカはそれから泣き止んだが、それからもサボと一緒にいた。
街には海軍がいるから街を歩くこともできないし、片付けの手伝う事も出来ない。
だけど並んで座って海を見るのがとても楽しく感じた。
ずっと今までの旅をサボに話した。
多分もう一度再会し宴にサボも参加したときはルフィからも聞かされるだろうが、こういう時は言ったもの勝ちである。
二年以上の出来事は一日で話しきれるものではなく、話は夜になっても尽きることはなかった。
流石にアスカの体を心配したサボが、アスカを送って帰るついでにルフィの顔を見にキュロスの家に向かう。
その間アスカはサボと手と手を繋いだ。
サボはわざわざ手袋を外して手を繋いでくれて、久々のサボの手にアスカは珍しく笑った顔を浮かべご機嫌で、機嫌のいい妹を見ているとシスコンとしてサボの機嫌も上昇していく。
エース共々なんとも安い男である。
しかし、ふとアスカはある事を思い出しサボを見上げる。


「ね、サボ」

「ん?」

「そういえば、お姉さまには連絡した?」

「!――あ、あー……んー……えーっと…」

「…まだなんだ」


それはミコトへの連絡への否かどうかだった。
サボと海を眺めながら話している中で、サボがどうして今の今まで連絡を取ろうとしなかったのかをアスカは聞いた。
聞けばニコニコ顔で花まで咲いていたサボだったが、途端に慌てふためき出し目線をあちこちに泳がせる。
それを見てアスカは半目でサボを見る。
可愛い可愛い妹にジト目で見られサボは更に慌てる。


「あっ!いやっ!!でも、ほら!!記憶戻った時姉さんに会うならまずエースの実を取り戻してからって思ってだな!だってそうだろ!?おれは仕方ないとはいえ記憶喪失だったし!その間姉さんやお前らを騙してたわけだし!!ケジメをつけようとだな…!」

「…もういいよ、サボ…無理しなくていい…」

(…うぅ…妹に気を使われた…)


アスカのミコトクラスタは健全のようで、ジト目で見るアスカに慌てるが、全くもって言い訳にもなっておらず、言っている事が分からない。
アスカはサボの事情もあり仕方ないと繋いでない手でサボの肩を叩く。
妹に気を使われたサボはガクリと肩を落とすが…不安そうな顔で頬をかく。


「だけど…やっぱ、姉さんにも連絡取った方がいいよな…?」

「当たり前じゃん!お姉さまだけ仲間はずれは良くないよ!」

「でもさ、姉さんは大将だろ?で、おれは革命軍の参謀総長なわけだ…下手したら姉さんの立場が危うくなりそうで…」

「お姉さまがそんな小さい事気にするような人だと思う?お姉さまは確かに海軍大将だけど実の弟が海賊で、妹みたいな私も海賊、で、エースも海賊でしかも四皇の隊長格だったんだよ?そんな今更弟一人が生きてて革命軍の参謀総長だって知ってもぜーんぜん気にもしないと思うよ!っていうかそもそも父親が革命軍のトップだし!今更今更!」


『そう!なぜならお姉さまがお姉さまだから!!』、とよくわからない事を言い出しキラキラと輝きはじめるアスカにサボは『姉さんラブが悪化してる…』と思った。
だが、それと同時に変わらないアスカに嬉しさも感じていた。
そして、妹の言う通り、三人の海賊の弟と妹達を持ちながらも大将に上り詰め、弟達が道を外しても愛しているミコトが今更革命軍ナンバー2の弟が増えても受け入れてくれるだろう。
だが、サボが気にしているのはそれだけではない。


(まだ姉さんがスモーカーと結婚したって受け入れられねェんだよなァ…)


サボの中にあるミコトへの想いだった。
エースもサボも、ミコトが初恋で、まだ想いが残っている。
結婚したと知って正直ちょっぴり荒れはしたが、何とかグレずにすんだ。
だから個人的な意味でも姉に連絡を取るのは正直複雑な心境でもあったのだ。
だけど妹の押しもあってか、サボもいつまでもミコトだけ連絡しないというのも駄目だというのも分かっており諦めたように頭をかく。


「…そうだな…怖がらずに姉さんに連絡を取ってみるか…」


そう呟くサボにアスカはウンウンと頷くも、ふと疑問に思いまたサボに問いかけた。


「お姉さまの連絡先知ってるの?」

「いや…おれは姉さんの連絡先は知らねェが、ドラゴンさんは知ってるみたいだからな…教えてもらおうと思ってな」

「ドラゴン…ルフィとお姉さまのパパだよね」

「ああ…そんで、お前の義理の父親(予定)、だろ?」

「んな―――ッ!!?」


ドラゴン、と聞いてもアスカはドラゴンの顔は全然頭に浮かばない。
想像してみてもルフィの顔しか思い浮かばず、アスカは早々に諦めた。
そこは幼馴染に似たのだろう。
そのドラゴンはルフィとミコトの実父であり、ルフィとの面識は一切ないが逆に姉であるミコトとの面識は一応あるらしい。
と言っても時折連絡を取り合う程度らしいが、話によればミコトは父…いや、革命軍の根城を知ってはいるらしい。
ただ自分から会いに行くという事はないという。
らしいというのは記憶喪失になっている間どんな偶然か、サボはミコトと一度も顔を合わせたこともないという。
まあ父であるドラゴンも頻繁に会っていないというのだから不思議な話ではないだろう。
そう思っているとサボの続けられた言葉にアスカは絶句した。
口を開けて自分を見上げるアスカにサボは苦笑いを浮かべた。


「ルフィから聞いた…ルフィとあと一人と付き合ってるんだってな?」


『愛の形は人それぞれだが、無茶だけはするなよ?』と続けるサボにアスカは顔を真っ赤に染め上げ『ル〜フィ〜〜〜!!!』とバラした本人へ恨みを籠った電波を送った。

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