東の港の入り口に着いたアスカ達はルフィを待っていた。
「ルフィはまだか!?」
「トラファルガー・ローもいつの間にか消えちまった!」
「頭二人が何やってんだ!まったく…!!」
しかもルフィだけではなくローまでいつの間にか姿を消しており、バルトロメオ達は焦っていた。
もうすぐ海軍もここに来るのだ。
流石にルフィ達が強いからと置いていけないだろう。
迎えに行っていたバルトロメオをサイ達はどういう事かと問い質すもルフィは幼馴染のアスカや姉のミコトですら止められない男なので仕方ないとしか言いようがなかった。
焦りがつもり時間だけが進んでいく中、ふと前方から何かがこちらに来ているのが見える。
目を凝らし見てみるとそれは…
「ふ、藤虎ァ〜〜〜!?」
海軍大将、藤虎が能力を使い瓦礫に乗って文字通り飛んできていた。
海軍最高戦力が迫っているのにバルトロメオ達は動揺が走る。
「やべーのが来たァ〜〜!!ルフィ先輩!急いでけろォ〜〜っ!!」
まだ中将までくらいならばまだなんとかなったが、大将となるとその戦闘力はぐんと上がり勝てるかどうかなど危ういところである。
まだルフィの姿も見えないため港から離れるのもできずにいた。
「ど、どうするよ!!」
「決まってんだろ!」
ウソップの言葉にゾロが刀を抜き、斬風を放った。
そのゾロの攻撃に藤虎は乗っていた瓦礫から飛び降り避ける。
ちらりとアスカはゾロを見ると焦りというよりかは楽し気にニヤリと笑っており、ルフィと同じく相変わらずの戦闘狂いに溜息を送る。
もう一本刀を抜こうとしたゾロにバルトロメオが止めに入る。
「ゾロ先輩!あんた達は下がってくんろ!!ここはおら達に…!」
「―――任せてもらおうか!」
バルトロメオはゾロを止め前に出る。
それと同時にサイやキャベンディッシュ達もバルトロメオに並んで前にでてゾロ達を庇うように立つ。
そうしている間にも藤虎はコツコツと音を立てこちらに歩み寄ってきていた。
(ルフィ!ロー!早く帰ってきて…!)
アスカも流石に大将を相手に勝てるかなどの考えはない。
負けはしないがルフィ達が帰ってくるまでなら持ちこたえられるだろうという思いはある。
帰ってこない二人にそう心の中で呼びかけたその時…周りの瓦礫が独りでに宙に浮き始め、次々と空へと上がっていく。
「ええ!?な、なに、これ…!」
アスカは思わずそう叫ぶが、それはアスカだけではなかった。
ゾロ達も目を丸くし、アスカはハッとさせ藤虎を見る。
アスカは藤虎の能力は何なのかは知らないが、この場には藤虎しかいないため必然的にも瓦礫を浮かせているのは彼だということになる。
アスカはルフィやゾロのように強くはない。
それは自覚しているため、強大すぎる力に、そして藤虎の力を初めて見てアスカは唖然としていた。
逃げ出さなければ、とアスカも思うが肝心のルフィとローがまだ帰ってきておらず、引く事ができない。
『あの二人何してんの!』とどういう理由で抜けたかは知らないがいつもは正反対のくせにこんな時に限って行動は似ている二人にアスカは毒を吐く。
その毒が効いたのかは知らないが、まず最初に帰ってきたのはローだった。
「おいお前ら!どこにいても同じだ!船を出せ!!」
「キミらを待ってたんじゃないか!どこにいた!トラファルガー・ロー!!」
「みんな船へ急げェ!!」
一先ず一人は帰ってきたと船に乗り込むだけ乗り込もうとする。
だがアスカはローの姿にホッとしながらもルフィを待とうと一歩も動かず大将から目を離さずにいた。
「アスカ!何してる!早く船に乗り込め!」
「駄目!ルフィがまだ帰ってこない!ルフィと一緒じゃないと動かない!」
動かないアスカの腕を取り船に乗り込もうとするローにアスカは首を振った。
だが、それはアスカだけではなく、ゾロやウソップ、フランキー、ロビン、と麦わら海賊団全員が動かなかった。
ローはアスカだけでも安全な場所へと移動させたかったが、諦めた。
ローの船員も同じ立場なら危険だと思っても自分を待つだろうと思ったのだ。
せめてローもアスカの傍にいてやろうと待っていたその時―――やっとルフィが姿を現した。
「ウオー!ルフィ先輩ィ〜〜〜!!急いでけろーー!!一直線に船に飛び乗ってけろォ!そこの藤虎に気ィつけてビュンと"交わして"!!」
ルフィも来たという事でサイ達は走って船に乗り込もうとする。
すでに乗り込んでいる部下達が準備をしてくれているからすぐに出れるだろう。
しかし肝心のルフィはバルトロメオの言葉に『交わす?』と怪訝そうな声を零す。
「かわす?――おい!"トバクのおっさん"!!おれが分かるかァ!!?」
ルフィは視界に藤虎の姿を見てなぜか藤虎に声を掛ける。
その時点でアスカは何やら嫌な予感がしたのだが、その嫌な予感は当たっていた。
「…来やしたね、"麦わら"のォ…」
「―――殴るぞ〜〜〜!!」
ルフィは振り返る藤虎に攻撃をした。
まあ、そこはいい。
正直アスカは予想していた通りで、ルフィが強敵を相手に喧嘩を売るなんて飽きるほど見て来たためそこはもう慣れた。
だが、殴る前に『殴るぞ』と言って殴るのは初めてだった。
サイやバルトロメオは避けるでもなく一直線に藤虎に喧嘩を売る麦わらのルフィに驚愕どころか歯や目玉が飛び出る表現が出てしまうほど驚き、アスカは嫌な予感が当たり溜息をつく。
「いつか倒すじゃもう駄目だ…『大将』だからってなんで逃げなきゃいけねェんだ!!そういうのは2年前で終わりだ!!」
ルフィの言葉に周りは…正確に言えばアスカ達麦わらの一味達以外は驚きの連発である。
ただ、アスカ達は『2年前』という言葉にピクリと反応させる。
2年前…大将黄猿を目の前に一味は散り散りになり2年越しに再会した。
頂上戦争の時も大将は巨大すぎる壁だった。
ルフィは大将を相手に逃げる事だけしかでいなかった自分に内心苛立っていたのだろう。
アスカはルフィのように強くはない。
それは体や力もだが、心もそう強い方ではない。
だから大将や自分よりも強い相手には立ち向かって勝とうという気は更々ない。
だけど、ルフィは幼い頃から大人を、それも山賊や海賊を相手に立ち向かって来た。
それを思うとやはりルフィは我慢ならなかったのだろうとアスカは思った。
「『海軍大将』だろうが!『四皇』だろうが!!全員ぶっ飛ばして行かなきゃ!おれは!!『海賊王』にはなれねェんだ!!」
ルフィの叫びはアスカ達にも、そして盲目である藤虎にも届いた。
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