新たな仲間を乗せ、新たな船と共に海へ出たルフィ達は平和な東の海の穏やかな空の下、海を進んでいた。
「できたぞ!!海賊旗!!!」
ルフィは初めての海賊船ということで、前から考えていた自分達のドクロマークを海賊旗に描く。
だが、それは正直に言っても、フォローをしようにも…ルフィが描くそのフォクドは物凄く下手だった。
ドクロ自体も歪んでおり、それはどう見ても10歳以下の子供落書きである。
それを見てやっぱりみんなの反応は…
「コイツには…つまり絵心ってもんがねェんだな」
「ううん…もしかしてこれって芸術なんじゃないかしら」
「海賊旗は"死の象徴"のハズだろ…まァある意味恐怖だけどよ」
「相変わらず下手」
否定的だった。
ウソップのコメント通り、ある意味恐怖ではあるが、こんな子供の落書きが自分達の象徴では締まるものも締まらないし、更には世間の笑いものである。
恐怖で名を広まるのではなく、笑いもので名前が広がりそうで嫌である。
アスカは幼馴染ゆえにルフィの描く絵が下手なのは十分に分かっており、だがしかし自分もそれほど上手くないのも知っている。
だからアスカは楽しそうなルフィを見て、どうしても止めることはできなかった。
ルフィの下手さにウソップが描くと言い出し、海賊旗に見事綺麗なドクロマークが描かれていた。
みんなで帆にも描き、これでやっと海賊船らしくなったと言えよう。
「おいアスカ!あれやってみようぜ!」
「あれ?」
海賊旗よりも大きな面積の帆に描くのは一苦労だった。
だがみんな初めて自分達の海賊船という事で、ウソップ監修のもと、楽しく描いていく。
描き終えた後、何やら大仕事を終えたような気持となり、アスカも満足げに帆を見上げていると、横からルフィに腕を引っ張られる。
ルフィに引っ張られながら向かったのは、後ろにある大砲だった。
どうやらルフィは大砲を撃ってみたいらしく、顔がこれでもかと輝いて見せながら大砲に弾を入れ、少し離れた岩に当てようとする。
だが、ルフィでは一発も当たらず、じゃあ、とアスカも撃ってみるがアスカも掠りもしない。
大砲の大きな音にゾロ達もルフィとアスカに気づき、当たらないというアスカ達にウソップが名乗り出た。
すると、先ほどまで当たらなかった大砲の弾が、ウソップの手にかかれば見事岩に命中したのだ。
それにはアスカも驚いた。
命中したのを見て、ルフィは満足したのか…一同はキッチンへと向かい、ナミではお金を取られるため、今日はウソップがみんなの紅茶を用意し休憩をとっていた。
ウソップの役割が狙撃手と決まり、話はグランドラインに入る前に必要な仲間で盛り上がる。
そこはアスカはあまり興味がないからかアスカはウソップが要れた紅茶をんでいると、ゾロに声を掛けられた。
「お前も何か言ってやれよ!!」
「は?何が?」
のんびりと紅茶を嗜んでいると、突然ゾロに怒鳴りながら声をかけられ、会話に参加していなかったアスカは全く話しについて行けず、首を傾げる。
首を傾げ床に座っている自分を見下ろすアスカにゾロはビシッとルフィを指さした。
「こいつコックより音楽家が欲しいって言ってんだ!」
「音楽家?…あぁ、そういや村でも言ってたもんね」
「おう!!海賊は歌って踊るんだ!!」
どうやらゾロ達が怒っているのは、ルフィが今必要なコックよりも音楽家がほしいと言い出したかららしい。
アスカはルフィがコックも勿論ながら一番欲しいのが音楽家だと知っていたから驚きはなかったが、満面の笑みを浮かべるルフィに『なにそれ』と毎回同じ突っ込みを言って終わらせた。
「料理なら私が作ってあげようか?」
「本当か?助かるぜ!ナミはお金取るからなぁ」
「何よ、何か文句でもあるの?ウソップ」
コックが必要なら、とアスカが仮として立候補し手を上げるとみんなそれに納得し反対はなかった。
反対もないため、今日のお昼を作ろうとアスカは席を立った。
だが、誰も反対はなかったのに、ただ一人…ルフィだけは反対し、立ちあがるアスカの肩に腕を文字通り伸ばし座り直させる。
「だっ、駄目だ!!!お前はキッチンに立つな!むしろキッチンに近づくな!!!」
「…卵焼きぐらい作れるもん」
「だーめーだー!」
「ちょっとルフィ、なんで止めるのよ」
力を入れられ仕方なくアスカは座り直すが、必死にアスカに料理を作らせんばかりのルフィがあまりにも必死すぎ、そして女の子に対して失礼なため、ナミは少し怪訝としながらもルフィに問う。
その問いにルフィはビシッとアスカを指さした。
「こいつすんっっっっげェーーー!下手なんだ!!!」
アスカの料理のマズさは世界一だと言ってもいい、とルフィは断言する。
あの当然美味しければいいが基本食べれればなんでもいいルフィの腹や舌にそう言わせるアスカの料理のマズさは本当にヤバいらしい。
アスカは自分の料理の下手さは一応自覚はあるがここまで言われるほどの自覚はないのか、更には言われれば腹が立つらしく、自分を指差すルフィの指をムスッと不貞腐れた顔で叩き落とす。
「失礼な!エースには上手くなったって言われたもん!」
「上手くなったって真っ黒コゲじゃんかよ!!ダダンも冷や汗かいてたぞ!!大体エースのはお世辞だ!!エースもマズイって思ってる!!」
「思ってない!!っていうかそれ何年前の話!?みんなは食べてくれたもん!残したのあんただけじゃない!!」
「あんなの食えるわけねェだろ!!ありゃ人が食うもんじゃねェ!!」
「なんですって!?」
「なんだよ!!」
「お、おい!落ち着けよ二人とも!」
「そうよ!落ち着いてちょうだい!」
ウソップ達はアスカの料理を食べたことがないため本当かは分からないが、ルフィがあれほど嫌がるのだからそうなのだろうという感覚でしかない。
この2人は幼馴染というのもあり、仲がいいのだが今日は珍しく喧嘩しはじめた。
暴れる寸前だと思ったウソップとナミはそれぞれ止める。
2人に抑えられながらもアスカとルフィは睨み合っていたのだが―――…
「出て来い海賊どもォーっ!!てめェら全員ブッ殺してやる!!!!」
船に誰かが怒鳴り込んできた。
喧嘩はそれで中止となり、険悪だった空気も一転させた。
真っ先にキッチンから出たのはルフィだった。
「相手何人だ」
「1人…かな」
「じゃあいつに任せとけ」
ゾロは壁を背もたれに座ったまま、しかし刀を手にしいつでも出れるようにしながら、窓から様子を見ているナミとウソップに襲撃相手の人数を聞く。
1人だというナミの言葉にルフィに任せることにし、アスカも人数を聞けば机に座ったまま紅茶を飲み干し、また新しい紅茶を空になったティーカップに注いだ。
すると相手はあまり強くはなかったのかすぐに決着がつき、安全だという事でナミとウソップもキッチンから出てきた。
するとアスカも二人に続き、ゾロも最後に出てくればどうやらゾロと襲撃してきた人物と知り合いだったらしい。
「お前…ジョニーじゃねェか…!」
「!―――ゾ、ゾロのアニキ!?」
「どうした!ヨサクは一緒じゃねェのか?」
襲撃してきた人物の名は、ジョニーと言い、1人、相棒とも言える人物もいるらしい。
その人物であるヨサクの姿がない事にゾロは怪訝としていると、ジョニーはこれまで経緯をゾロに話した。
ヨサクが病気になり岩山で安静にしていたのだが…この船からの砲弾によってヨサクの容体が更に悪化したらしい。
それを聞いて知らなかったとはいえ砲弾を放った張本人であるルフィとウソップは即頭を下げ、アスカは『ご、ごめん…』と若干気まずげだった。
済んだことだと言われ多少ホッとしていた2人だったが、次の謝れば警察はいらないという言葉にズキーンとちっちゃな良心に矢が思いっきり刺さった…が、アスカにはその矢を跳ね返された。
その病気だというヨサクを連れてこれば、確かに顔色も相当悪く医者ではないアスカ達もこのままでは危険だと分かるほど容体が悪かった。
だが、その病気は海への知識があれば簡単に治るモノらしく、治療方法はナミが知っていたおかげで、そのヨサクという人物の治療した。
「これは教訓ね…」
「長い船旅にはこんな落とし穴もあるってことか…」
「あいつだってこの船に遭わなきゃ死んでたわけだしな……船上の限られた食材で長旅の栄養配分を考えられる"海のコック"」
「よくよく考えれば必要な『能力』ってわけだ」
ヨサクの病気は大まかに言えば栄養失調によるもので、ひと昔ならば手に負えない病気だった。
だが、最近になって原因が分かりその病気にかかっても死ぬ者も少なくなった。
それを聞き、次なる仲間を誰にするかを全員一致に決めた。
「よし!決まりだ!!"海のコック"を探そう!船で美味いもん食えるし!」
ルフィも同じことを思ったのか、音楽家はひとまず諦め、コックを仲間にする気になったらしい。
それにはアスカも同感だが、『何よりコックがいりゃァアスカのまずい飯を食わされるかもしれねェっていう恐怖もないしな!!』と一言多く続けてしまい、ルフィは無言で幼馴染に頬を引っ張られてしまう。
『にゃ、にゃにふんだふぉ!』と言葉にならない言葉で抵抗するも、頬を膨らませたアスカの伸ばしの力を強くさせるだけで何ら抵抗もなっていない。
それでもアスカに手を上げないのが流石である。
「アニキ!アニキ!!」
「何だよ、ジョニー」
「海のコックを探すんなら打って付けの場所がある!まー、そこのコックがついてきてくれるかは別の話だけど。」
次の仲間を音楽家からコックへすり替えたルフィ達に、ジョニーはある店を紹介する。
その店とは腕のあるコックが経営しており、味は文句なしのものらしい。
その店とは…
「「「海上レストラン!?」」」
海の上で経営している店だという。
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