白ひげは死んだ…
そのニュースにみんな言葉を失い、海兵達もただ唖然として見るしかなかった。
ガラガラ、と瓦礫の音にある海兵は目を映すとそこには血を流し砂埃だらけのミコトがゆっくり瓦礫から降りてくるところだった。
「黒蝶さん!生きておられたんですね!よかった…」
駆け寄ってきた海兵に『ええ』、と答えるだけだったがミコトは白ひげと黒ひげの姿を見て目を丸くする。
「………あれは…白ひげと黒ひげ…なぜ…」
ミコトはずっと瓦礫の中で気を失っていたから突然の状況に飲み込めていないと、駆け寄ってきた海兵が今までの事を説明してくれた。
その説明にミコトは目を細め黒ひげを見つめる。
「あいつらまだ何かする気だ?」
「ティーチの奴…!死んだオヤジに何を…!!」
「ゼハハハハハ…見せてやるよ!最高のショー!」
立ったまま死んだ白ひげに黒ひげは黒い布を被せる。
「何だあの黒い布…"黒ひげ"と"白ひげ"があの中に……!」
「何のマネだ貴様ら!!」
「ホホホさて少々…立ち入り禁止に願います」
ラフィット達が2人が入った布の前に立ち、海兵達を近づかせないようにする。
「楽しみねェ!」
「失敗したら解散か…?おれ達は」
そう呟くシリュウにミコトは静かに禁鞭を手にする。
しばらくすると黒ひげが出てきた。
白ひげにも何の変化もなく、海兵達が首を傾げ、黒ひげは不敵な笑みを浮かべる。
「海軍ん〜〜…おめェらにおれの"力"ってモンを見せておこう…!晴れて再び敵となるわけだ…ゼハハ………!」
ブラックホールで海兵達の足を沈ませ、次に黒ひげは腕を構える。
「あの構え…!」
その構えに驚いていると黒ひげは白ひげの能力、"グラグラの実"で海兵ごと本部を破壊する。
グラグラの実に本部は破壊され、海軍の多数が巻き込まれてしまった。
「あれは……!"グラグラの実"の能力!!し…死んだ"白ひげ"の能力を…!!なぜあいつが使えるんだ!?」
「ゼハハハハハ!!!」
「ウィ〜〜ハッハ〜〜!やったな船長〜〜!!!」
「オヤジの地震能力!どういう事だ!?ティーチの野郎!!」
能力者は2つの実の能力は使えないのは常識。
それを黒ひげはどういう細工をしたのか不明だがやってのけたのだ。
「ゼハハハ!全てを無に還す"闇の引力"!全てを破壊する"地震の力"!!手に入れたぞ!これでもうおれに敵はねェ!!!おれこそが゙最強゙だ!!」
「何をしたのかわからないが…"白ひげ"の能力を奪ったんだ……!!!」
「なぜそんな事が!」
「じゃあ…"グラグラの実"の脅威は…終わってないのか…!!!」
グラグラの脅威に海兵達は体を振るわせる。
すると突然黒ひげが吹き飛び、本部の瓦礫に叩きつけられた。
「!!?」
「船長!!!」
「なんだ!!?」
その場には誰もおらずラフィット達が周りを見渡すと無表情のミコトが現れる。
「黒蝶!?」
「黒蝶さん!無事だったんだ…!」
今頃瓦礫の中で生き埋めにされていると思っていたミコトが姿を見せた事に海軍達はほっと安堵する。
「イデェ…ゼェ…ゼェ…こ、黒蝶てめェ……、…!」
「船長!」
ヤミヤミの実のせいで痛みは他の人の倍のため、激痛にミコトを睨む。
しかしミコトは肩で息をする黒ひげを無表情で見下ろし、持っていた禁鞭をビュン、と軽く振る。
自分達のど真ん中にいるミコトにラフィット達は武器を構えるが黒ひげに止められてしまった。
「やめろ!!!お前ら!!!」
「!…船長!でもよ…」
「お前らにゃコイツには敵わねェ!!下がってろ!」
黒ひげの言葉にラフィット達は渋々と言った感じで下がっていく。
それをミコトが鼻で笑った。
「随分と順従な仲間をお持ちで…羨ましいかぎりですね……」
「ゼハハハ!なんだ!世間話しに来たのか!?違ェんだろ!?エースの仇をとりにきたんだろ!!!いいぜ!来いよ!白ひげの能力は得た!!ここでお前を倒しときゃこの先楽だしなァ!!!」
「……………」
笑みを浮かべる黒ひげにミコトは黙って見つめ、禁鞭を黒ひげへと向ける。
その禁鞭をグラグラの実で跳ね返し、ミコトへと向けさせた。
禁鞭はミコトへ跳ね返されたが、再生させた傾世元禳でミコトは無傷である。
「ゼハハハ!そう上手くはいかんか!」
「ええ、人生は上手くいかないもの…例えば……」
ヒュン、と禁鞭が黒ひげの体に巻きつく。
「ぉあ!?」
「突然のアクシデントもあることをお忘れなく」
そのままミコトは黒ひげを持ち上げ地面に叩きつけた。
「い"…ッ!!」
「これで終わるとでもお思いで?」
「!!」
黒ひげを引っ張り、ミコトは腕を構える。
「え…あの構えは…!」
ミコトも白ひげや黒ひげ同様グラグラの実の能力で黒ひげを叩きつけた。
「黒蝶もグラグラの実の能力を!?」
「どういうことだ!?」
「確か…悪魔の実の能力を二つ得る事は不可能で実は二つもないハズじゃあ…」
「"普通の人間"ならば…絶対に無理だよい…だが…黒蝶はどうだかしらんがお前らもよく知る様にティーチは少し違う…!!体の構造が…"異形"なんだよい!!それがこの結果を生んだのか……!!!」
驚く目線の先はミコトに注がれていた。
そんな目線をよそにミコトは痛がる黒ひげを見下ろし、また震動を叩きつけようと拳を握り振り上げたその時…
「シリュウ!!!!!」
「!!」
黒ひげの言葉と同時にカチャン、と音をさせミコトの手首に手錠がかけられた。
黒ひげの合図にシリュウが海楼石の手錠をミコトにつけ、ミコトが手に持っている禁鞭と傾世元禳が消える。
更には背後にいたシリュウに斬られそうになるが、ミコトはギリギリで回避した。
「ミコト!!!」
「ゼハハハ!!!…ゼェ…ゼェ…海軍には…てめェがいると分かってるからな!!…ゼェ……海楼石を用意しといてよかったぜ!!」
「さすが大将だな…海楼石をつけられておれの刀を避けるとは…」
「白ひげのように蜂の巣になりやがれ!!!」
「……ッ!」
「やめ…」
「やれーーー!!」
海楼石の付けられ思うように動かないミコトに黒ひげは白ひげの時と同じく手下とともに銃を構える。
センゴクとガープがミコトの元へ駆け寄ろうとしたが銃声は無常にも鳴り響く。
「……え…」
「あ!?」
「…ぐ…ケホッ!」
「コ、テツ…?」
ミコトは最後まで黒ひげを睨んでいた。
しかし銃声が響いたのと同時にミコトの目の前に誰かが庇うように前に出てミコトの代わりに銃弾を受けた。
ミコトは庇ってくれるその背に見覚えがあり、目を丸くさせる。
その背は…白ひげ0番隊隊長、コテツだった。
コテツは立っていられず、座り込む。
ミコトの前に立ち、銃弾からミコトを守り、白ひげの海賊が大将を守ったその行動に海兵、仲間達は目を丸くする。
血を吐き倒れるコテツをミコトは駆け寄り抱き起す。
「コテツ…なぜ……」
「ミコト…様……申し訳、ありません…」
「……………」
コテツの顔を覗きこむミコトは悲しげだった。
その表情を見たコテツは笑みを浮かべる。
すでに虫の息ともいえるコテツにミコトは涙が溢れていく。
「悲しまないでください…これはあなたを裏切り…牙をむいた…その報い……なのです」
今にも死にそうなコテツにミコトは涙を流し、ミコトの涙がコテツの頬にポタリと落ちる。
コテツはゆっくりと震える手をあげ、ミコトは血がつくのを気にすることなくコテツの手を握った。
「ああ…あなたはやはりお優しい…白ひげに拾われた瞬間からあなたを裏切った私の手を取って…涙を流してくれるなんて…」
「コテツ…」
「エースのこと…申し訳ありません……守れなかった…あなたがどんなに弟達を愛しておられるか…知っていたのに止めることもできなかった……」
「いいの、いいのよ…あの子の傍に居てくれた…あの子を愛してくれた…それだけでわたくしは十分…だからもう喋らないで…お願い…」
涙を流すミコトにコテツは嬉しそうに目を細め、ミコトはコテツの手を握る力を強める。
すでにコテツの目にはミコトは映っておらず、意識もすでに薄れていた。
それでもコテツは最後にミコトを見ながら死ねることを幸福に思えた。
「ミコト様……あなたを愛しておりました…1人の女性として…仕える者として思ってはいけない想いをあなたに抱いていました…今でも…こうして命が消えていく今でも…あなたに腕に抱かれ死ぬ事に幸せにおもっています……出来れば…あなたと共に歩み…あなたと共に死にたかった……どうか……私の我が儘を…聞いてくださいますか…?」
「ええ…何かしら…何でも言って?」
「…あなたと…共に眠りたい……」
「ええ…ええ、分かったわ……必ずあなたと共に眠りましょう…約束ね…」
ミコトの言葉にコテツは笑みを浮かべ、息を引き取った。
「コテツ……お前…」
「コテツ隊長…!!」
「コテツー!!」
コテツが死んだ事をしり仲間達は涙を流す。
マルコ達の声を聞きながらミコトは静かに涙を流しコテツを抱き寄せ、彼の死を悲しんだ。
そんなミコトに黒ひげはゆっくり銃口を向ける。
「!…ミコト!」
「ゼハハ…お別れは済んだか?じゃあお前もそいつとエースの元に行けば悲しまなくてすむだろうよ!」
「黒ひげ…!」
笑みを浮かべ、自分に銃を向ける黒ひげにミコトは涙で濡れた目で睨みつける。
黒ひげが引き金を引く。
乾いた音が戦場に1つ響き、ミコトは頭を銃で撃たれその場に倒れてしまった。
倒れたミコトから血が流れ出る。
「ミコト!」
「じゃあな!黒蝶!!!あの世でエースとオヤジによろしく言っておいてくれ!!!」
出遅れたセンゴクとガープが駆けつけようとするも黒ひげの方が早く、グラグラの能力でコテツと共に痛みで苦しむミコトを亀裂に落とす。
ガープが向かおうとするも振動に上手く走れず孫娘が亀裂に消えるのを見送る。
「ミコトーーーー!!!」
「ゼハハハハハハハハ!!!力が!体の中から湧き上がってきやがる…!!なんてすげェちからだ!!黒蝶を消した今!この世の全てを思い通りにできそうだ!!!どれ…手始めに………このマリンフォードでも沈めて行こうか…!」
「なにを……!!」
「黒蝶がいない海軍など恐れるにたらんからなァ!!ゼハハハ!!!」
黒ひげが高笑いするその時、センゴクが巨大化し、衝撃波を黒ひげ達に放った。
センゴクはミコトを助けられなかった悲しみ、そして憎しみを黒ひげに向ける。
「要塞なら………また建て直せばいい……しかし…ここは世界のほぼ中心に位置する島マリンフォード!悪党共の横行を恐れる世界中の人々にとってはここに我々がいる事に意味があるのだ!!!強力な力がなくとも仁義という名の"正義"は滅びん!!軽々しくここを沈めるなどと口にするな!!青二才がァ!!!」
「ゼハハハ…じゃあ…オイ…守ってみろよ……!」
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