(5 / 32) ストロングワールド (5)

モニカがルフィ達に向かった丁度その頃、ルフィは何の反応もない島舟に両手を振るのをやめる。


「なんの反応もねェぞ?」

「聞こえてないのか?」


人影すらない島舟にルフィは首を傾げながら目を凝らせ見上げる。
ウソップも怖々としていたがルフィ同様何の反応もない海賊船に目を凝らしていた。
しかし…


「あっ!なにか来る…!!」


ナミが船から何かが落ちてくるのに気付き、その何かを指差しルフィ達に知らせるように声を上げる。
ルフィ達は一度ナミの方へ振り返り、そのナミの指差す方へ目をやれば白い霧のようなものがまるで生きているかのようにこちらに向かってくるのが見えた。


「ギャー!!敵襲!敵襲ーー!!」


意志があるかのような白い霧を島舟の敵襲だと思ったウソップが側にいたアスカの後ろへ隠れ、ウソップの足を壁代わりに隠れ切れていないが本人は隠れているつもりのチョッパーは壁がなくなり慌ててウソップに続きアスカの後ろへと隠れる。
アスカは自分より背の高いウソップとチョッパーの怯えように慣れたとは言え『女の後ろに隠れるか?普通…』と呆れたように溜息をつく。
しかしすぐに島舟から落ちてくる白い霧に警戒を高め、表情を引き締めながらゆっくりと静かに船首に降りてくる白い霧を睨むように見つめた。
それはアスカだけではなく、海賊船から落ちて来た白い霧にサンジもゾロも警戒を高める。
サニー号は緊迫した空気につつまれた…………が。


「はじめまして!こんにちは!!」

「「「………は?」」」


白い霧に警戒していたアスカ達だったが、その白い霧が地面に付く直前に1本の足が現れ、2本目の足が現れ…まるで風で消えるかのように白い霧は下から上へと消えていく。
それに従い現れたのは少女だった。
白い霧に警戒をあらわにさせていたサンジ達は甲高い声とテンションとその現れた姿に呆気に取られてしまう。
そんなサンジ達をよそに霧から現れた少女…モニカはバチコン、とウィンクを飛ばす。
『あはん!』と言うのを忘れずにウィンクするモニカだったが…容姿は正直美女でもなんでもないので麦わら一味の男性陣は頬を染めることはなかった。


「ぐはっ!く、くそかわいい…!!」


ただ、1人を除いては…
その除かれた1人であるサンジはウィンクを飛ばすモニカに頬を染め、まるで重傷を負わされたように跪いた。
そんなサンジをアスカは冷たい目線を送ったのだが…モニカにやられたサンジは気付いていない。
モニカはサンジなど気にもせずルフィ達を見渡す。


「ふーん…」

「おい!お前なんだよ!!さっきのなんだ!!どうやったんだ!?ビックリ人間かお前!!」


背後にいるルフィ以外を見渡したモニカは意味ありげに頷いて見せる。
何を納得しているのかは不明だが、モニカの登場にルフィは目を輝かせモニカに声をかける。
モニカは声を掛けられルフィに振り返り、ルフィの質問攻めと純粋な少年のようなキラキラした目に眩しそうに目を細め笑みを深めた。


「アタシモニカっていいます!!よろしこ!」

「よ、よろしこ…?」

「そうか!で、さっきのはなんだ!?」

「さっきのはアタシの能力っすよ!」

「能力?」


今時よろしこなど言う人間がいたのか…とナミ達は呆気にとられる。
そんなナミ達をよそにルフィはとりあえず聞きたい事を聞こうと目の輝きをそのままに再度問いかけた。
『能力』というモニカにルフィは首をかしげ、モニカは『そう!能力!』とニッコリと笑い手をルフィ達の目線まで上げる。


「な…!!」

「手が…消えた!?」


突然手を上げるモニカに一同首をかしげていたが、突然モニカの手がふっと消えた。
…否、消えたのではなく、霧となり辺りに散っていた。
驚きが隠せないと言わんばかりのゾロ達にモニカは悪戯が成功したと言わんばかりに笑みを深める。


「アタシは『キリキリの実』を食べた霧人間なんす!以後よろしくっす!!」

「よ、よろしく…」


モニカのテンションについて行けず…いや、ルフィだけは目を輝かせていたが、モニカのテンションにナミ達は顔を引きつらせていた。
アスカは面倒な人間が増えた…とあからさまに嫌そうな表情を浮かべている。
そんな彼らの反応にモニカは笑みを絶やさず『ところで!』とここに来た目的を果たすため横に立つルフィを見つめ指差す。


「君、アタシ達に何か言ってたっしょ?」

「ああ、言ってた!そんなことよりお前面白いな!さっきのもう一回見せてくれよ!!」

「まあ、それは後々!で、何の用だったんすか?うちにあるモニターは姿が映っても声は拾ってくれないんすよ…トーンダイヤル使えばいいって言ったんすけど使える人間っていないからアタシが来たんす。」

「え?トーンダイヤル持ってんのか!?」

「俺達使えるぞ?」


渋々といった態度を隠さないモニカの口から"空島"の"トーンダイヤル"という言葉を聞き、ウソップとチョッパーが目を丸くさせる。
ウソップ達も使えると聞きモニカは『ええーー!!?行き損じゃないっすか!!』とウソップ達よりも目を丸くさせ口を大きく開けショックを受けていた。
『シキたんってば!もーー!!』と肩を落としていると自分の手に誰かが優しく触れたのを感じ、モニカはふと顔を上げる。
そこにはまるで騎士のように片膝を付きモニカの片手を手に取るサンジがいた。


「お嬢さん…そう落ち込まないでください……あなたがここに来たのは運命なのです……そう…君とおれが赤い糸で結ばれてい…」

「それより!早く船を進行方向より9時に逸れて!サイクロンが来るの!!」


モニカは自分を口説いている男をじっと見つめるが、眼鏡が分厚くて目が見えないため感情は読み取れない。
それでもサンジは女と見ると口説かずにはいられない病が発病し、モニカを口説く。
しかしサンジの口説きは最後までモニカには届くことはなかった。
それはサンジの口説きをナミが遮ったからだ。
サイクロンが来る事を知らせようとしていたのに時間を食ってしまい、我に返ったナミは慌ててモニカに用事を告げたのだ。
モニカはナミの言葉に『サイクロン…?』と怪訝そうに眉を顰め青々としている空を見上げる。
そこには自分の船以外何もなく、雲も真っ白で綺麗な青空だった。
サイクロンなど来るはずもない天気にモニカは怪訝さを強めながらナミへと顔を戻す。


「サイクロンって…どう見てもこないような天気なんすけど…」

「でも来るのよ!」


ナミの強い眼差しと仲間であるルフィ達の疑いなどない表情を見てモニカは暫く考え込むように黙り込む。
そして…


「分かったっす…アタシ達の船長に話してみるっす。」

「ええ!お願い!」


モニカはナミへと顔を上げ、嘘偽りがないと信じてくれたのか力強く頷いてくれた。
頷いたモニカにナミは嬉しそうに笑みを浮かべ、モニカは再び来た時同様霧となって船へと戻る。
その際モニカの手を握っていたサンジの手はモニカが霧へと姿を変えたためスカッと外れてしまい『あ〜!モニカちゃーんっ!!』と残念そうに声を上げて涙を浮べながらモニカを見送った。
モニカを見送ったナミは直に来るサイクロンから逃げる為、同じく空を見上げてモニカを見送っていたルフィ達に声を掛ける。

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