(19 / 32) ストロングワールド (19)

シキの挨拶もそこそこに、兄弟の盃を交わすためインディゴとモニカが並んで座る海賊達に酒を注いで行く。
インディゴは左を、モニカは右を。
インディゴの足音が緊迫した空気の中、いやに響く。


「知っての通り…"東の海"は5つの海で最弱の海……死んで惜しまれる偉人もいねェ…思う存分暴れるがいい!――金獅子海賊団結成だァ!!」

「「「おう!!」」」


海賊達に酒を注いだ後、インディゴとモニカが自分達の杯に酒を注ぎ、最後にモニカがシキに酒を注げばシキは声を張り上げ杯を上げる。
シキの言葉に海賊達も声をあげシキと同じく杯を上げた。
全員が杯を小さく上げるのを見たシキは自分の手元にある大きな杯に入っている酒を飲もうと口へ持っていく。
しかし…


「シキ様…!!」


部下が騒々しく広間へ現れたため杯を口から遠ざけ、こちらに駆け寄ってくる部下をひと睨みする。


「あ?……テメェ…なんだ!こんなときに!!」

「も、申し訳ありません!至急お耳に入れたいことが!!」


シキに睨まれ部下は一瞬怯んだが、緊急事態なのか臆する暇なくシキへと駆け寄る。
部下の報告にシキは片眉を上げ、小声のためモニカのところには届かないがモニカはジッとシキに報告をしている部下を横目で凝視していた。


「9人?さっさと討ち取らねェか!」

「それが…」


シキの呟きは小さくもなく大きくもない。
しかし前横にいる海賊達には聞こえないほどの大きさだった。
だがモニカには十分聞こえるほどで、モニカはシキの呟きを聞きピクリと杯を持つ指が動き、それに合わせ持っていた杯にある酒が小さく揺れる。
部下が何か伝えようとして口を開きかけたその時、シキの正面の襖から殺気に似た気配が漂いその場にいた全員がその方向へ視線をやる。

その刹那――シキから見て左の襖が鋭利な刃物で切られたかのようにバラバラとなって落ちていく。

そして…



「あれっ」

「決まらねェだろ…こうやるんだ!」

「うわっ!ちょ!ちょ!ちょっと待ってギャーー!」



反対側の襖を蹴り、倒す。
その際誰かの足が刺さってしまい抜こうとして抜けなかったのをモニカはバッチリ見ていた。
…と、いうかモニカ以外にもその場にいる全ての人物が見ていた。


2枚の襖が撤去されれば後光に浮かぶ8つの黒い人影が現れる。

その9つの人影が広間へ入れば後光で見えなかったその人物達の姿をはっきりとさせた。


その9つの影、それは――――


――麦わらの一味だった。


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