9つの影、それは麦わらの一味だった。
麦わらの一味は少し崩れているものの礼服を身につけ、女性はドレスを着ていた。
それは当然アスカも同じで、アスカは愛らしく丈の短い黒いドレッシーなワンピースを身に纏っている。
背中が開いているドレスだからか、長袖の上着を羽織っていた。
それぞれ格好は違えど、皆バズーカや銃など持っていた。
襖に足を引っ掛けてサンジに容赦なく襖もろとも吹き飛ばされたウソップが急いで定位置へと戻っていく。
アスカ達が横並びで並び、ウソップが戻っていったその時、開けられていた中央に一味の船長――モンキー・D・ルフィが姿を現した。
「………」
シキはルフィを目に捉えた瞬間、髪の毛を逆立たせニヤリと笑って見せた。
しかしその笑みもすぐに消える。
「オメェらだったか…こりゃ驚いた。」
シキは驚いたと呟きながらもその表情に驚きの色はない。
杯をモニカに渡し、懐にいれていた葉巻を咥える。
平然とさせるシキをよそにルフィ達は広間へと入っていく。
「東の海を襲うって?」
「まあな。」
「ナミは無事か?」
「ああ…ピンピンしてる」
広間の丁度半分で止まったルフィは仲間の安否をシキに問う。
シキはルフィの問いにニヤリと笑い無事だと答えるが周りにいた部下達は笑い声を零し、その部下達の反応にルフィ達は怪訝そうに周りを見渡す。
「物騒なナリしてるが…まさか9人でこれを相手にするつもりじゃあるめェな?」
そうシキが呟いたその瞬間、周りの襖を蹴り倒し、強面だらけの海賊達が姿を現し侵入者のルフィ達を睨みつける。
それを見たモニカは『うっわ、こえェ』と小さく声を零したが、本当に怖いと思っているかは不明である。
「我が身を犠牲にすりゃ故郷を守れると信じるメルヘン女と、共に散りに来た無謀な特攻隊か…」
「馬鹿だな、お前…」
「あ?」
「ナミは犠牲になりに来たんじゃねえよ……先陣切ってここへ戦いに来ただけだ!!」
ルフィの言葉に銃を降ろしていたゾロ達が臨戦体勢を取り銃を構える。
アスカも同じく少女が持つにはごつ過ぎるバズーカを軽々と持ち上げ周りの海賊達へと向けた。
「覚悟しろよ、金獅子のシキ…―――おれ達が本隊だ!!!」
その言葉が合図のようにアスカ達は狙いなど定めず好き放題銃やバズーカを撃ちまくる。
四方八方に撃たれれば射撃の名人ではなくとも被害は大きく、広間は黒い煙が漂い、一部は銃弾によって破壊され崩れる。
銃弾の流れ球はシキ達にも向けられ、モニカは自然系の能力によって弾を貫通させながらも怪我1つ負っていない。
モニカは次々とやられていく仲間に向かって『あんれま〜』と声を零した。
暫くすると弾が切れたのか、銃声は鳴り止み黒煙だけが漂っていた。
「チッ…弾切れか…」
「まだ結構残ってやがんな…」
「挨拶代わりだ…上等だろ。」
全員の弾が切れたようで、フランキーは舌打ちを打ちながら武器を放り投げ、サンジ達も続くように投げ捨てる。
辺りを見渡せばまだ海賊達は残っていたが半分は減らせただろうとゾロは呟く。
「ウソップ!チョッパー!ナミを捜せ!」
「「おう!!分かった!!」」
弾が切れた武器をルフィも捨てながら後ろにいるウソップとチョッパーにナミを探すよう指示を出し、上着を脱ぎ捨てた。
ウソップとチョッパーはその指示に頷き、素早く広間から去ろうと走る。
「あの跳ねっ返りどもを討てェ!!皆殺しだァ!!」
銃弾も止み、海賊達はそれぞれの部下に指示を出す。
指示は1つ――麦わら一味の討つのみ。
海賊の船長達の指示は皆同じだった。
「モニカ!」
「はいっす!」
銃声が止み、一時静まり返っていた空気が切り裂かれたかのように騒がしくなり、シキも動き出す。
ルフィの声で我に返ったシキはウソップとチョッパーを追えと含みモニカの名を叫ぶ。
指示を聞かずとも理解したモニカはウソップとチョッパーの背を一瞬にして見つけ、小さく笑う。
シキの声とモニカの声に気付いたウソップとチョッパーは慌てて走る速さを早め急いで広間から去ろうとしていた。
モニカもそれを追い、下半身を霧にさせたのだが…
「行かせると思う?」
「!、あれまァ…はやっ!」
モニカとウソップ達の間に足をウサギにしたアスカが割り込んできた。
突然割り込んで着たアスカにモニカは目を見張る。
アスカは両腕をウサギにするのだが、ウサギにしたためせっかくの上着の袖が音を立てて破けてしまう。
それを気にもしないアスカにモニカは愉快そうに目を細める。
「さすがウサギっすねェ………でも―――」
素早い動きを見せたアスカにモニカは楽しそうに声を弾ませ笑みを深めた。
アスカがグッと足を踏み込みモニカへ懐へ瞬間的に入り込もうとしたその時、アスカが足を力の限り踏み込んだのと同時にモニカはアスカ以上の速さでアスカの横へと着く。
アスカは一瞬にして自分の目の前から横へと付けられ目をこれでもかと丸くさせ驚愕させた。
「な…っ!?」
「動物は、自然に勝てないのが…自然の摂理っすよ?ウサギさん。」
「しまった…!!」
ポン、とアスカの肩をモニカが叩き、アスカの横へつけた以上の速さでウソップ達を追いかけていく。
アスカが咄嗟にモニカへ手を伸ばし服を掴んだと思ったが、掴んだと思った服さえ霧へと変りアスカの手は空気を掴むこととなる。
ウソップ達を追っていったモニカの姿が消えたのを見てアスカはグッと拳を握った。
しかしふとモニカの残り香がアスカの鼻に届き、アスカは怪訝そうに眉を顰める。
「この匂い……まさか…」
動物系の能力者だからこそ嗅ぎ別けることができる程度の香りに、アスカは鼻へと手を伸ばし唖然と呟く。
立ち尽くしモニカの隙を海賊達が狙うも、下僕ウサギとシュラハテンによって次々と屍へと変えていく。
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