仲間達が動物を相手にしている時、チョッパー達は安全な場所へと映っていた。
そこにはダフトグリーンがまだ健在なため動物達は寄ってこない。
その上王宮の離れにあるのか敵もいない。
「どうだ、チョッパー…」
「危ねェよ…やっと呼吸をしてる状態だ……それにこの痣…シャオのばあちゃんと同じだ!早く治療しなくちゃ…」
屋根もあり雪を防げて隠れるのに一石二鳥である。
船医であるチョッパーがナミを診断すると、見ても分かるように自分達を匿ってくれたシャオの祖母と同じ症状がナミにも見え、チョッパーに焦りが見える。
ウソップが下へ視線を向ければチョッパーの上着を掛けられ苦しげに呼吸を繰り返すナミがいた。
爆発する前に飛んで避難していた鳥…ビリーも心配そうに飛んで来て悲しげにナミを見つめる。
ただ、モニカだけは相変わらず淡々とナミを見つめていた。
「この病気を治せるのはIQだけなんだ!!それをシキが独占してるって…!」
「何だって!?一体どこに…」
シャオの母親から聞いた情報をチョッパーから聞き、ウソップは薬のある場所も分からなず悔しげに拳を握る。
モニカは握られている拳からウソップへと目線を移していると何かに気付いたチョッパーが弾かれたようにモニカに顔を向ける。
「モニカ!モニカはシキの側近なんだよな!?科学者なんだよな!?」
「まあ、そうっすね。」
「頼む!!IQの場所を教えてくれ!!ナミを助けてくれ!!」
「…………」
チョッパーはモニカがシキの仲間で科学者だというのを思い出し、縋るようにモニカを見つめる。
ウソップもチョッパーの言葉に『そういやそうだったな…!頼む!モニカ!!』と同じく縋るように見つめた。
仲間を助けようと必死のチョッパー、ウソップ、そしてビリーの視線を受けてもモニカは表情1つ崩すことはない。
「IQは……」
3人の視線を受けながらモニカがゆっくりと口を開きかけたその時――
「―――ッうわああ…!!?」
空から幾つもの矢のような物が降り注がれ、チョッパー達がいた足場は簡単にも崩れていく。
大きな音を立て崩れる建物にチョッパー達は巻き込まれ瓦礫と共に落ちていった。
「いっ……!――ナミは!?」
「何とか大丈夫だ…!」
高さはそんなになかったため掠り傷だけですんだウソップは頭を抑えながらナミを探すように周りを見渡す。
ナミは咄嗟にチョッパーが腕に抱き守ってくれたお陰で難を逃れ、ウソップはホッと胸を撫で下ろした。
衝撃で崩れる直前に能力で逃げたモニカが静かにウソップ達の所へ降り立ち、ビリーも直前で飛び立って怪我は負っていない。
「うっわ…まずいっす…」
「え…」
「―――!!」
ウソップとチョッパーの後ろに降り立り霧から身体を戻すモニカの言葉にチョッパーとウソップはモニカを見上げた。
モニカは王宮の方向へ見つめ、空を見上げていた。
その視線を伝うようにウソップとチョッパーも雪雲が掛かる空へと目線を向ければ一気に顔から血の気を引かせる。
「やってくれたな…小娘…!」
3人が見上げるそこにはシキがいた。
シキは能力で浮遊し、ナミを見下ろす。
その瞳は苛立ちが含まれ鋭く睨みつけていた。
シキはそのままモニカへ瞳を移し、モニカは人をも殺せるような鋭い睨みに怯える様子もなく平然と立ちシキを見返していた。
何の反応もないモニカにシキの苛立ちの色は深くなる。
「モニカ…オメェ…なんでそいつらといる?」
「…………」
「おれを裏切るってのか!?あァ!?」
「ま、そうっすね。」
「!―――テメェ…ッ!!」
シキを黙って見上げていたモニカは頷き肩をすくめる。
裏切ったと平然と頷くモニカにシキは眉間にシワを寄らせ更に苛立ちの色を濃くさせモニカを睨む。
そんなシキにやはりモニカは平然と見返すも、その表情からは笑みが消えていた。
グッと苛立ちを抑えるかのようにシキは拳を握り、冷静に低い声でナミとモニカを見下ろす。
「テメェら…よっぽど死にたいらしい……―――お前らはもう要らん!!お前らがどう足掻こうと東の海は必ずぶっ潰す!」
シキがそう呟いた瞬間、雪が巨大なライオンとなりウソップ達を囲むように何体も現れる。
シキの作ったライオンに囲まれウソップ達は焦りが強まる。
「獅子威し!"御所地巻き"!!!」
シキの合図によって一斉に襲い掛かるライオンにウソップとチョッパーは目を瞑り衝撃に耐えようとした。
チョッパーはナミを守るよう体を丸め、モニカはそんな2人の前に立ったその時――
「…!!」
雪で出来たライオンが一体、吹き飛ばされ形を失った。
それに気付いたシキはピクリと片眉を上げる。
その間にも残りの5体全てが粉々に吹き飛び形を崩す。
突然のことで消え失せるライオン達を唖然と見渡しているとふと前に何かが降って来たのに気付きチョッパー達はゆっくりと自分達の前へと視線を戻す。
そこには…
「「ルフィーーっ!!」」
自分達の船長、ルフィが立っていた。
背を向けて立つルフィの体は赤く染まっており、煙が立ち昇っている。
ウソップ達を襲おうとしたライオンをギア2にて消滅させたのだ。
ルフィの登場にウソップ達は嬉しそうな声をあげ、モニカは微かに目を見張っていたがすぐに表情を戻し入れていた肩の力を抜く。
「まだ足掻くか…!!」
自分を追いかけてきたルフィにシキは忌々しそうに呟く。
するとチョッパー達の声で気がついたのか、ナミが薄っすらと瞳を開ける。
「ナミ!あいつをぶっ飛ばして皆で帰るぞ…!!」
「ル、フィ…」
ナミが気がついたのに気付いたのか、ルフィは横目でナミを振り返り気を失いかけているナミにも聞こえるように声を大にして言い切った。
ナミはルフィのその言葉に弱弱しく笑みを浮かべたのだが、すぐに気を失い瞳を閉じてしまう。
「ここはまかせろ…ナミを頼む!」
「わ、わかった!!」
「頑張れ!ルフィ!」
ルフィの言葉に頷きチョッパー達はそそくさとその場から立ち去ろうと走る。
モニカはルフィを見つめルフィもモニカを見つめていたが、ルフィはすぐにシキへと視線を戻す。
敵と認識されなかった事にモニカはホッと胸を撫で下ろしながらモニカもチョッパー達を追いかけようと走った。
しかし…
「モニカ!!テメェだけは逃がさねェ!!この場で死ね!!裏切り者が!!」
それがシキが許さなかった。
シキはチョッパー達に続くモニカに向け、獅子威し"御所地巻き"を再度向ける。
今度は一体だけだが、モニカが走るのを止め『しつこい!!』と嫌そうな表情を浮かべ迎え撃とうと構えた。
しかし、ライオンはモニカに届く前にまた粉々に散っていく。
「!!―――テメェ…!」
「早く行け!邪魔だ!」
「は…はいっす!」
ライオンを消したのはモニカではなくルフィだった。
シキの同じ攻撃をルフィも同じ攻撃で迎え撃ち、雪を散らせながらライオンを消していく。
背を向けたまま声を上げられ、モニカは戸惑いながら頷き律儀にも待っててくれたらしいチョッパーとウソップの元へと掛けていく。
待っててくれたのは信用されているようで嬉しいが、その距離は半端なく遠かった。
ビビリは何処に行ってもビビリである。
「どこに逃げようと…皆殺しの運命に変わりはない!!」
シキはモニカを見送りながら静かに怒りに震わせ邪魔立てするルフィを見下ろす。
「―――おれ達の運命を…!!お前が決めんなああああ!!!」
シキの言葉にルフィは一瞬にしてシキの懐へと入り込み――…
「"ジェットピストル"!!!」
シキは衝撃により王宮へと叩きつけられた。
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