(27 / 32) ストロングワールド (27)

「こっからアタシに任せるっす!!」


モニカはオペレータールームを覗き込む3人にそう言ってウィンクする。
3人の目線が『大丈夫か?本当に…』としか言っておらずVサインするモニカはそんな目線などもろともせず堂々とオペレータールームへと入っていった。


「え!?ちょっと!モニカ!?」

「おいおい堂々と入って大丈夫かよ!!」


堂々と入るモニカにナミ達は慌てるが、出たいのに出れずハラハラとモニカを見送るしかなかった。


「どーもー!元気ですかー?」


モニカはわざとらしいほどの笑顔と言葉を中にいる部下達に投げかける。
その言葉と笑みにナミ達は『あ…駄目だこりゃ…』とモニカが捕まると心を1つに思った。
しかし…


「あ!モニカさん!!大変なんです!!インディゴさんとスカーレット隊長と連絡が途切れてしまって…!!何分動物達が乱入してしまい他の海賊達とも連絡が取れ難い状態となっていて…!!何か知りませんか!?」


部下達はそのわざとらしいモニカに振り返り捕まえるどころか仲間と認識して慌てた様子で駆け寄る。
シキは連絡が取れているがあとの2人とは連絡が取れないと藁にでも縋る思いで部下はモニカに問う。
それを見てナミ達は顎が外れるほど驚き、チョッパーが『あ…そういえば元々モニカって敵だったんじゃん…』と呟きナミ達も忘れていたのか『あ〜』と声を零しながら思い出したかのように手を叩く。
まだ裏切り者として報告されていないのかモニカを怪しむ者はその場にはいなかった。


「ああ、先輩達ならやられたっすね。」

「そ、そうですか…よか……えええええ!?やられた!?誰に!?」

「まあ、まあ、そんなことより……ちょっと眠ってて貰えませんかねェ」

「え…!?」


やられた、と聞き目を丸くさせる部下達にモニカは遠慮なく"フォッグ・スリープ"で部下達を眠らせる。
しかしナミの指示通り1人を除いて…


「シ、シキさ…!」

「動くな!!」

「ひ…っ!!」


モニカの裏切りにようやく気付いた残された部下は自分以外眠りについているこの現状を伝えようと慌ててシキへと連絡しようと電伝虫へと手を伸ばす。
しかしその前にモニカの背後から現れたウソップとチョッパーに脅され両手を慌てて挙げた。


「いいっすか、今からいう言葉をシキたんに言うんす。そうしれば命は助けてあげるっす。」


冷や汗をかき怯える部下にモニカはにっこり笑い霧で出来た矢を向けながら脅した。
その脅しは効いているのか、部下は高速で頷き、モニカはその頷きを見て笑みを深めた。
部下はモニカの言う通り震える手で電伝虫を取る。


≪…なんだ。≫

「こ、航海士チームよりシキ様へ!!島を東に反らせてください!!嵐が来ます!!」

≪嵐だと…?≫

「は、はい!!」

≪……分かった。≫


電伝虫を掛けた相手とは、ルフィを相手に戦っているシキだった。
シキはすぐに電伝虫を取り繋ぐ。
裏返っている部下の言葉など気付かずシキは頷き忙しいのかすぐに電伝虫を切る。


「こ、これで!いいですか!?」


震える手で受話器を戻し、部下は怯えてる瞳でモニカへ目線をやる。


「うん、上出来っす!」


モニカは笑いながらそう言って怯え部下を"フォッグ・スリープ"で眠らせ、部下は呆気なく地面に倒れ他の仲間達同様眠りに付いた。
モニカはそんな部下を見送りつつも興味がなさそうに部下から目線をそらし大画面に映る真っ黒な空を見つめる。
その下にはナミが立っていた。


「ナミ!い、いいんだよな?」

「ええ、これでいい。」

「でも大丈夫なのか?嵐の中に突っ込んで…」

「大丈夫じゃないわよ。」

「「ええーっ!?」」

「…でもこうするしかないの」


ナミはわざと嵐の中に島を突っ込ませた。
そうしなければシキに簡単に勝てるとは思わないからだ。
ルフィを信じていないわけではない。
ただ、相手はロジャーと長い間戦い、あの監獄を抜け出したシキである。
不安がないとは言い切れない。
ナミはロングだったスカートを乱暴に破り、短くさせ身軽にさせる。
そして東に向かい始めた島を見据えた。


「とにかく!次の作戦に行くわよ!!」

「「あ、あいあいさー!」」


周りの雲より黒い雲を目で捉えたナミは仲間達と合流しようと急いで部屋を出る。
チョッパーとウソップもナミを追いかけ部屋を出れば、その部屋には気を失った部下とモニカしか残らない。
モニカは部屋を出て行ったナミ達をよそに相変わらず黒い雲で覆われている空を映し出しているモニターを見上げていた。


「…どれも一緒に見えるんだけどなァ……」


素人から見た空と、航海士から見た空は違う。
モニカは航海士ではなく科学者である。
ナミが見ている空と自分が見ている空の違いが分からず、一目見ただけで天気が分かるナミに心の中で『凄い』と呟いた。


「モニカ!!」

「今いくっす!」


モニカが追ってこないのに気付きチョッパーが引き返してくれたのか、扉から顔を覗かせモニターを見上げるモニカへと声をかけた。
チョッパーの声掛けにモニカは返事を返しながらチョッパーへと振り返り、こちらに向かうモニカにチョッパーは先に走ってナミ達を追う。


「……………」


扉へ手を伸ばしたモニカはふと、部屋を振り返った。
モニカが出れば部屋は眠っている部下達だけとなる。
モニカは気持ちよさ気に眠る部下達を見渡した後クスリと小さく笑みを零しチョッパー達を追うように走る。


モニカが部屋から姿を消すとその部屋には―――



部下達の姿が消えていた。







ナミの予想通り、東に向かった島は嵐の中へと入り込もうとしている。
すでに天候は荒れ、嵐に気付いた動物達は急いで森の中へと帰っていく。


「なんだ…?」

「怪物達が逃げていく…」

「!…嵐だ!この島嵐の中に向かってる!!」

「なんだと!?」


動物達が森の中へ逃げていくのを見た海賊達は怪訝そうに動物達を見送った。
1人の海賊が嵐に気付き、その海賊の言葉に慌てて海へと逃げていく。


「なんだか怪しい雲行きになってきやがった。」

「みんなーっ!!」

「!!――ナミ!?」


逃げていく海賊達をフランキー達は見送っていたのだが、フランキー達の耳に女性の声が届く。
その声にフランキー達は攫われたナミが見つかり救助されたのかと全員が振り返る。
そう、振り返った先には女性がいた。
いたのだが…


「無事っすか〜?」

「「「誰だてめーーー!!!」」」

「〜〜〜っんモニカちゅわあああん!!!」


そこにはナミではなくモニカがいた。
ナミだと思って振り返ったサンジ以外の全員が一斉に満面の笑みを浮かべながら自分達に手を振りまるでスローモーションのように駆け寄ってくるモニカに突っ込みを入れた。
あまりのナミだと思っていたらモニカだった衝撃からか、一度会っているのに誰だと突っ込んでしまう。
そしてサンジは敵のはずのモニカの無事を見て涙だけではなく鼻水までも流し大いに喜んだ。


「いや〜!大変っすよ!皆さん!!」

「ちょっと待てテメェ!!なんでテメェがここにいんだ!?ウソップとチョッパーを追いかけたんじゃねェのか!?あいつらはどうした!?テメェ!まさかあいつらを殺し…」

「あーもー!!だいじょーぶっすよ!殺してないっす!!ピンピンしてるっす!!」

「そんなこと信じられるか。てめェは敵なんだぞ。」

「ああ!?んだとクソマリモ!モニカちゃんが敵だァ!?んな訳ねェだろ!!いいか!モニカちゃんはあれなんだ!!ナミさんのようにシキに攫われて仕方なくシキの仲間になったんだ!!そう!シキの隣にいたのは仕方なくなんだ!!本当はモニカちゃんの隣に相応しいはこのおれ!!そう!!このおr…」

「まあ、まあ、そう警戒なさらずに!大丈夫、航海士のお姉さんは無事っす。ちょっとおいたして体調崩してたっすけど。」


恨み辛みをシキに向けていたとは言え、その隣にモニカが常にいる事はフランキー達も知っており気付いている。
最初にモニカに会い、シキに会ったため、その印象も強いのだろう。
モニカの登場にフランキーは警戒を強め、あの広間でシキに命じられナミを救出に向かったウソップとチョッパーの後を追ったのも聞いていた。
堂々と追っていけば誰でも気付くだろう。
その際食い止められなかったと苦い記憶があるアスカはモニカの登場に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、モニカを見つめていた。
ゾロもインディゴと戦って会っていたはずだがどうやらモニカに気付いていなかったようで疑いの目を向ける。
ナミ達の(サンジ以外の)仲間から非難めいた目線を一身に浴びながらもモニカは流石はあの強面のシキと四六時中一緒にいるだけはあるのか平然と誤解だと説明する。


「じゃあ、あなたもナミと一緒で攫われて来たの?」

「そうっすね。まあ、アタシは航海士のお姉さんのように抵抗もなく受け入れたんすけど…」

「おめェ…度胸あるっつーか…無謀っつーか……馬鹿はどこまでも馬鹿なんだな…」


モニカは自分もシキに攫われ仲間になったと話した。
ロビンの繰り返すような問いにモニカは頷き、その頷きを見たフランキーは研究さえ出来ればどこでもいいと断言するモニカに呆れたような目で見つめる。
シキを裏切りナミを助けてくれたというモニカに多少の警戒は残るものの、ナミが無事だという言葉に皆安堵し、警戒心が強いゾロ以外はモニカへの警戒を緩ませた。


「それでっすね、その航海士のお姉さんから伝言があるんす。」

「伝言…?」


モニカはナミ達の仲間を見渡しナミから預かった伝言を告げた。

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