「アスカ!アスカはあっちを!おれはこっちに置くから!」
「うん」
モニカの伝言を聞き、仲間達は一斉に動き出す。
ロビンは能力でダイナマイトが保管されている場所から各仲間がいる場所へとダイナマイトを送り、アスカ達は王宮の全ての場所にダイナマイトを設置するため慌しく走る。
アスカも能力をフルに使い下僕であるウサギ達にもダイナマイト運びを手伝わせていた。
アスカ達が王宮に着く前に、既にインディゴの研究室に向かいダイナマイトを設置していたチョッパーは、元凶である薬の棚にコレでもかと言うほどダイナマイトを置く。
そしてブルックはフランキーと共に船へと向かい準備を進めていた。
「チョッパー、皆終わってもう外に出てるみたい。残ってるのは私達とロビンだけだって。」
「ああ!急ごう!」
各自王宮を走り回りダイナマイトを設置すればそれぞれ王宮から脱出する。
丁度チョッパーがいる研究所の前を通ったアスカはチョッパーの気配を感じ声を掛けた。
ダイナマイトで爆発させると言うことで巻き添えを食らっては意味が無いため、ウサギを監視役として王宮や研究所などに置いている。
そのウサギの目と報告によって残ったのはアスカとチョッパーとロビンだけだった。
ロビンはこのまま走っていけば合流するとチョッパーに告げながら駆け寄ってくるチョッパーを見てアスカも走った。
外は吹雪きが吹き上げ、シキの耳に吹き飛ばしたはずのルフィの雄叫びが届く。
ビリーに乗り再び自分の前に現れたルフィにシキは『しぶとい』と煩わしそうに天高く飛び上がるルフィを目で追う。
「シキーー!!」
しぶといルフィに眉を顰めていたシキだったがナミの声の聞こえ振り返る。
シキがナミの声を探せばナミは王宮の天辺に上りシキを睨みつけるように見上げていた。
風で飛ばされないよう棒に手を置いている。
その隣にはモニカがおり、どうやらナミを運んだのはモニカのようだ。
モニカはナミの身体を支え突風からナミを守っていた。
「ナミ!無茶すんな!!」
ウソップの声は一応はナミに届いている。
その証拠にモニカの耳にもウソップの声が届いていた。
しかし限界も近いのかナミの息は荒く、微かに体も震えていた。
肩で息をしているナミは旗から見ても無理しているように見えるが、側で支えているモニカからは他の人間よりもナミが無理しているのがもろに分かる。
しかしモニカはナミをとめようとはしない。
この戦いに勝利するにはナミとウソップが必要だと知っているから。
「ナミだ!!」
「クア〜!」
ビリーの背に乗り空を飛んでいたルフィもナミの声に気付きハッとさせ顔をナミへと向ける。
ビリーも嬉しそうに笑いナミが無事なのを喜んでいた。
「もう終わりよ!!何もかも!」
ナミはパーフェクト・クリマ・タクトを握り締めキッとシキを睨み声を上げる。
そんなナミにシキは片眉を上げた。
「爆破の準備できたぞーっ!」
「!、爆破…だとォ!?」
そこに丁度王宮の中から出てきたロビン、チョッパー、アスカが現れ、チョッパーの言葉にナミとモニカを見下ろしていたシキは目を見張りチョッパーへ目線を移す。
「そうよ!工場も王宮も島も!もう何も残らない!!アンタの計画は全て終わりよ!!」
「―――ッふざけるなああああ!!!!」
「――ッ!!」
ナミの言葉にシキは突然声を上げる。
自分の計画を台無しにするナミの言葉に頭に血が上ったのかシキは能力で遠く離れた両脇に聳え立つ山2つを浮かせた。
「!!――ナミさん!モニカちゃん!!」
それを見たサンジは慌ててナミとモニカの元へと駆けつけようと走る。
そんなサンジをよそにナミはシキを睨みつけ、シキも爆発させようとするナミを憎憎しく睨みつけていた。
「貴様等ごとき若造に…!このおれの20年の計画を潰せると思うなァ!!!」
「―――食らえッ!!"必殺!天竜星"!」
「…!」
20年経ってようやく実行できると思っていた矢先に潰されたとなれば死んでも死にきれないとシキも必死だった。
そんなシキにウソップは不意打ちのように天竜星を放つ。
しかし…
「こけおどし!!」
シキには軽々と避けられてしまった。
天竜星は黒い雲の中に入り消えていく。
ウソップが攻撃したのを皮切りにシキは浮かせていた山をナミとモニカに向ける。
山が自分達に向けられたのを見てモニカは咄嗟に震えるナミの腰に腕を回しグッと力を入れる。
「ビリー!ナミ達を助けろ!!」
「クオオオオッ!!」
ルフィはナミとモニカに持ち上げた山を放つシキを見て背に乗っているビリーに2人を助けに行かせ、自分は何の戸惑いもなく飛び降りる。
ビリーは軽くなった背中を感じながら一目散にナミとナミを守るモニカの元へと飛んでいく。
その瞬間山と山がナミとモニカのいる天辺でぶつかり2人は巻き込まれる。
「ナミさん!モニカちゃん!!」
「おれは!?」
衝撃に吹き飛ばされ自分の側に落下するウソップなど目も呉れずサンジは目線を泳がせナミとモニカの無事を確認しようとしていた。
するとぶつかった衝撃上がる砂煙からビリーが姿を現し…そのビリーの背にはモニカと、モニカに支えられやっとビリーの背に乗れているナミの姿があり、サンジは2人の無事を見てホッと胸を撫で下ろす。
「おのれェェェ!!!」
「お前の相手はこっちだ!!シキ!!」
「…!!」
ビリーが2人を救出したのを見たシキは怒りで目の前が真っ赤に染まっているような気がした。
既にそれすら判断できないほどシキの怒りは頂点に達していた。
裏切り者と計画を邪魔する女をシキはルフィの存在を忘れ始末しに向かおうとする。
しかし存在を忘れていたルフィに引きとめられシキは空中を飛び回るビリーからルフィへと振り返る。
そこには"ギア・サード"で腕を風船のようにさせたルフィの姿がシキの目の前に見えた。
「皆さん!!早くライオンちゃんへ!」
船の準備をしていたブルックの声掛けに皆は急いでサニー号へと走る。
「大丈夫っすか?」
「え、ええ…なんとか…」
モニカにもその声は聞こえ、ビリーに船まで連れて行ってもらっていた。
ビリーの背に掴まるモニカは腰に腕を回している俯くナミの顔を心配そうに覗き込む。
モニカの声にナミは小さく笑い何とか反応は出来、ナミの反応にモニカは小さく安堵の息をつく。
今はとにかくサニー号へと向かおうとモニカはそれ以上何も言わず、ちらりと地上へと目を移す。
「アスカちゃん!!こっちだ!!」
「え、ちょ、サンジ…!」
「ん〜〜!!このサンジ!アスカちゃんのためなら火の中水の中雪の中〜〜!!」
「うわっ!!」
地上にはチョッパーとチョッパーの背に乗っているロビン、サンジに有無を言わせずウソップを任されたゾロ、ゾロに足を持たれ地面に顔を擦られているウソップ、そして、アスカを横抱きしてまるで騎士のように助けたいが為にゾロにウソップを放り投げたサンジと怪我も何もしていないのに『大丈夫か〜い!?』と鼻の下を伸ばしながら横抱きされ何故かサンジに抱えられながら逃げるアスカの姿があった。
モニカはある人物を見て安堵の笑みを浮かべた後目線を地上からサニー号へ、そして…
「"骨風船"!!!」
腕から腹部へ、腹部から足へと空気を移動させ体の一部を膨張させるルフィへと視線を向ける。
巨人族以上の大きさを持つルフィの足はそのままゆっくりと上げる。
足を上げればそこは雷雲だった。
「なんじゃありゃ…!!」
ゴムゴムの人間ならではの技に流石のシキも目を丸くさせる。
しかし足は完全に雷雲に入っており、いつ感電してしまうか分からない。
ゴロゴロと雷の音がその場にいる人間の耳に不気味に届いていた。
「死に損ないが!!雷に打たれて落ちろ!」
「落ちるのはお前だ!!シキ!!東の海には行かせねええええ!!!」
そうルフィが言ったその瞬間、恐れていたことが起きた。
雷がルフィの足に落ちたのだ。
青色の光りに貫かれるルフィを見てシキは大きく笑う。
「ありゃ!落ちたっすよ!!?大丈夫っすか!?」
丁度サニー号へ着いたモニカがルフィに雷が落ちたのを見て驚愕し目を丸くさせる。
一瞬辺りが光りまたルフィに雷が落ちる。
ゴム人間だというのは知っていても雷に強いとは思いもしないモニカは仲間であるナミやサンジ達を焦ったように見渡し、『助けないといけないんじゃないっすか!?あれ!!』と慌てる。
しかしそんなモニカに対し、仲間達は冷静そのものだった。
「ルフィはゴム人間だから雷は効かないわ」
モニカの問いに答えたのはナミだった。
ナミはビリーから降りルフィを見上げながらモニカの焦りの疑問に答える。
混乱していたモニカはナミの言葉に『あ…そっか…ゴムは電流を通さないっすからね…』と呟く。
「でも…シキたんは伝説の海賊っすよ?裏切っておいてなんなんすけど…万が一負けたら…」
「それはない。」
「え…?」
ゴム人間で雷が効かないからと言ってもゴムはゴムで弱点はある。
自然系の能力者が最強でないのと同じように、なんらかの能力者は必ず弱点があるのだ。
実際キリキリの実だって風や雷等に弱い。
心配そうにルフィを見上げるモニカの呟きに今度はアスカが答えた。
モニカがアスカの方へ顔を向けるとアスカはナミ達と同じくルフィの方へ見上げていた。
あまりにもはっきりと答えるため、モニカは怪訝そうに首を傾げる。
「どうしてっすか?シキたんはゴールド・ロジャーと何度も戦って生き残ってるんすよ?あの大監獄インペルダウンからだって脱出したっす…一介のルーキーがそんな大物を倒せるわけがないっすよ…」
「そうかもね…でもクルーが船長を信じてなくてどうするの?」
「信じる…?」
「ま、おれ達はもうやることはやったんだ…おれ達があとやるべき事と言ったら……」
「ルフィを待つ!!」
「――と、いうことだけね。」
モニカは海賊には興味が無い。
それは研究ばかりに人生を費やしているからであり、だからこそ海賊に恐怖はなかった。
恐怖で世界を牛耳ろうが、恐れられようが、モニカは自分の研究の手助けをしてくれるのなら大海賊だろうが大海軍だろうが大監獄だろうが何でもよかった。
しかし側でずっとシキを見て来たがシキの強さは半端ないと思っている。
ルーキーやその辺の海賊達とは経験値の差がどんなに頑張っても埋まらないほどあるのだ。
裏切った今、すでにモニカには死ぬ覚悟は出来ている。
出来てはいるものの応援している者がやられそうなのを見るとやはり焦ってしまう。
そんな不安気なモニカの呟きにアスカが表情変えずジッとルフィを見上げながら答え、アスカの続きをゾロが受け継ぐ。
ゾロの言いたい言葉を今度はウソップが続き、最後にロビンが微笑みを浮べながら答えた。
ゾロ達以外の何も言わないクルー達を見渡すと、ナミやチョッパー、フランキーやブルックやサンジも同じく何の心配もしていない様子でルフィを見上げていた。
数人はモニカの方を見て二カッと笑ってくれる。
「…………」
モニカはナミ達を見渡した後、ルフィへと見上げる。
そこには丁度シキが両手を広げ声を上げている場面だった。
「おれは空からこの海を統べる男だ!!!」
「お前なんかに…!!仲間も!海も!好きにさせるかあああああ!!!!――"ギガント!トール!アックス!!!"」
常識を超えた大きさの足を向けられ、シキは慌てて周りの岩を盾に前に出す。
中央の岩に比べて小さく尖っている岩をルフィに向けるが、ルフィの足が巨大すぎる為刺さる前に粉々に砕け散ってしまう。
シキの前に浮かんでいる盾の岩もルフィは粉々に砕き、そして―――
「――――ッロジャアアアアアア!!!!」
シキはルーキーであるルフィによって計画を阻まれ、敗れる。
ルフィの足はシキもろとも島を破壊し、その衝撃を利用しサニー号は脱出した。
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