「うぎゃああああああっ!!」
ルフィ達麦わら海賊団のお蔭でアーロン一味から島は解放された。
長い間支配された恐怖から解放され村人たちはお祝いムードだった。
アーロンが倒れた事を知った島の住人たちはいそいそとお祭りの準備をし、そんなやっと平和を取り戻した村に一人の男の悲鳴が響く。
その悲鳴に座っていた金髪の男…サンジは声の方へ目を向けた。
「まだやってるぜ」
「そりゃそうだ全治2年だと普通なら…それで動くんだからイカレてるぜあいつ」
「あれま、この声…ゾロ?」
「アスカ!もう起きて平気なのかよ!」
「アスカちゅわ〜ん!!元気になったんだねェ〜!!よかったぁ〜〜っ!!」
騒ぎを聞きつけアスカは眠っていた意識を覚まし、両足をガラスで傷を負っているため大柄のウサギに乗って現れた。
再会したとき自分達よりも大怪我していたはずのアスカの登場にウソップは驚き、サンジは眼をハートにさせ、大柄のウサギからアスカを横抱きにして降ろし、椅子へとエスコートする。
「まぁ、まだ歩けないけど」
「しっかし…裸足で窓を突き破って銃弾を受けたって聞いた時は焦ったというか何と言うか…心配したんだぞ」
「ごめんね、ウソップ。でもあんな男が海軍だなんて許せないんだもん!」
「ん〜!怒ってるアスカちゃんも素敵だ!!!」
「海賊が海軍なんて庇ってどうすんだよ」
アスカはルフィの傍にサンジがいたことに驚きはなかった。
幼馴染と長い間の付き合いでルフィの我儘を知っていたから、どうせサンジは仲間になるんだろうなと思っていたのだ。
海賊なのに海軍を庇って怒るアスカにウソップは呆れ、サンジはそれでもそんなアスカも素敵だとハートを散らす。
その日、村は眠らず宴を上げた。
よほどアーロンからの支配の解放が嬉しかったのだろう。
アスカは楽しく飲み食いし、歌を歌い、その歌に合わせて踊る人々を眺めて微笑む。
「アスカちゅわーん!!おっまたせぇ〜〜!!」
「ありがとう」
「その聖母の微笑みを向けてくれるだけでおれは何でも出来るのさ!」
夜となり人も増え、人の合間を縫ってサンジが上手く歩けないアスカに代わって食事を運んで来てくれた。
流石海上レストランのコックだっただけあって、持ってきてくれた料理はとても美味しかった。
サンジはアスカの隣を陣取り、先ほど治療を終えたらしいゾロが早速アスカ達の向かえに座りお酒を飲んでいた。
「あんな大怪我しててお酒飲んでいいの?」
「酒飲まねえと治るもんも治らねェだろ」
「いや、酒飲まない方が治る気がするんだけど…」
「アスカちゃ〜ん!こんなアル中野郎なんて放っておいてさ!これ食べよ〜〜っ!!」
あんなに悲鳴を上げていたくせに今ではケロッと平然とした顔をしていた。
大怪我なのに平然と酒を飲むゾロがアスカには別の生き物に見えて仕方なく、ゾロを呆れたように見るアスカにサンジは間に入り手にしていたデザートをアスカに差し出す。
それを受け取って見下ろすと、それはメロンだった。
その上には生ハムが乗っており、生ハムの塩気とメロンの甘さがマッチしてとても美味である。
小食のためすぐにお腹いっぱいになったのだが甘いものは別腹なのかアスカはペロッと平らげる。
すると目ざとい人物が早速その匂いを嗅ぎつけ、アスカ達のところへと駆け寄る。
「おいサンジ!アスカ!!今…最後に食ったメロン…!!何か乗ってなかったか?」
「お前のその両手の肉はなんだよ…」
「そりゃ乗るさ"生ハムメロン"だから生ハムがのってたよ」
「"生ハムメロン"!!?それはどこに!?」
「さァなー、村全体が立食パーティーだからな。どこから持ってきたかな…」
「あっちにあったよ」
アスカはルフィが食に関して煩いのを知っているため、このままじゃあった場所を思い出すまでサンジを問いただすだろうと思い適当な方へ指差す。
ルフィはアスカを信じその方向に顔を向けた後アスカの方へ顔を戻す。
「アスカ!!お前ちゃんと休んどけよ!!」
「はいはい」
「絶対だからな!!一人で歩くなよ!」
「あー、もう…分かったからさっさと探しに行ったら?」
「おう!行ってくる!!」
過保護なルフィにアスカは苦笑いを浮かべながら頷く。
頷いたアスカにルフィは満足したのか、すごい速さで目的のメロンを探しに旅に出る。
相も変わらず宴好き、肉好きの幼馴染にアスカは肩を竦めてみせ、一緒に持ってきてもらっていた飲み物を飲んで喉の渇きを潤す。
サンジは目にも留まらない速さで生ハムメロンを探しに向かったルフィの背を見送ったあと、飲み物を飲むアスカを振り返る。
「気になってたんだが、アスカちゃんとルフィはどういう関係なんだ?あのルフィがああまで心配するなんて…」
「幼馴染なの、私達。」
サンジから見てもルフィのアスカへの心配は少し行き過ぎているとは思っていた。
しかしアスカも嫌がる気配はなく、よく言われるDVやら独占欲が強すぎる彼氏のようにアスカを縛ったりはしていないためルフィの過保護さは咎めるほどではない。
しかし、この世の女性は全て愛すべき存在だと思っているサンジは可愛いアスカとルフィの近すぎる関係が少し気になり、アスカに聞いたのだ。
サンジの問いにアスカは隠すことでもないため素直に答え、アスカの答えにサンジは納得した。
出発の朝。
長い間支配から解放されたということもあり夜中どころか朝までずっと騒ぎとおしだった。
海賊が1つの島に長居は無用という事でルフィ達は村人たちに手伝ってもらいながら船に荷物を乗せていき、ナミ以外の全員が船に乗り込んだ。
「あっしらはまた本業の賞金稼ぎに戻りやす…兄貴たちにゃ色々お世話んいなりやした」
「ここでお別れっすけど、またどっかで会える日を楽しみにしてるっす」
「そうか、元気でな」
ジョニーとヨサクはここから別れる。
元々海賊狩りだった2人は本業に戻ると言い、知り合いと別れることになったゾロは『そうか、元気でな』と声をかけた。
ゾロの声掛けに2人も『兄貴達も』と答えながらこの村でゾロ達を見送ろうとしていた。
アスカは足の傷がまだ癒えないという事でサンジがわざわざラウンジから椅子を一つ持ってきてくれて、その椅子に座っていた。
出航時間が迫る中、ナミは中々姿を現さずサンジはあからさまに、そしてアスカは内心焦りを見せナミが来ないのではないかと心配していた。
すると、ナミは現れたのだが、ナミは少し離れた場所に立っていた。
そのまま出航してほしいと言われ、全員首を傾げながらもそのまま出航準備をし船を海へと出す。
ナミはどうやら村の人達に挨拶なしに去るつもりらしく、走って船の方へと駆けてくる。
お礼の一つや二つくらい言いたい村人たちはナミを引き留めようとした。
しかしナミは巧みに間を縫っていき、ついには離れていくメリー号へと飛び込んでしまった。
お礼も言う事も許されなかった村人たちの視線を一身に浴びながらナミは村人たちに背を向けたまま何故か服を捲った。
その瞬間…――服から大量のサイフがボトボトと落ちる。
その落ちていくサイフを見て村人たちは一瞬何が起こったのか理解できなかったが、ハッと我に返り自分の懐やポケットを探る。
自分のサイフを探っていたが、本来治まっているはずのサイフはどこにもなく、ナミにすられてしまったらしい。
全員驚愕し、ルフィ達は目を瞬かせたが大きな声で笑った。
「おい 変わってねェぞコイツ」
「またいつ裏切ることか」
「ナミさんグーッ!!」
「だっはっはっは!」
「流石ナミ」
アスカがその手際のよさに関心してるとナミと目が合う。
目が合ったアスカとナミは笑い合い、アスカから見たナミの笑顔は以前のような偽りの笑みではなく、ナミ本来の笑顔だった。
そしてナミはノジコ達に見送られ、仲間達と海に出た。
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