大きな粒の雹が降ってきたり、大波に揺られ海王類に襲われ海から海へ落ちたり激しい雷雨に襲われたりと…今までアスカ達が航海した大冒険並みの気候に襲われながらも一週間、ひいひい言いながら旅をしていた。
それもこれも、航海士を連れていないバルトロメオ達が悪い。
彼らは航海士を連れず、なぜかここまで生き延びていた。
彼らは何かあるたびに祖母へと連絡し、祖母のおばあちゃんの知恵袋でなんとかここまで生き残っていた。
しかも、彼らは船酔いする体質だったらしく、そのせいで船の床はガムだらけだった。
因みにこれもおばあちゃんの知恵袋である。
それを聞いたアスカは『おばあちゃんってすごい…』と祖父母の記憶はないが祖母への好感度はグンッと上がる。(しかもアスカの祖父はガープが基準になっていた)
「ボス!二時の方向に何か見えますオ〜〜〜エ!!」
「何かってなんだべ!!ウエ〜〜…」
(なんでこいつら海に出ようとしたんだろう…?)
船酔いのせいでアスカ達以外が元気なくガムを噛んでいる。
見張り台にいるクルーが何か見つけたようだが、言葉の端々に吐き気を催す元気のなさが見える。
バルトロメオも返事をしながらえずき、それをアスカは呆れながら…いや、むしろ尊敬した視線で彼らを見ていた。
見張り台にいるクルー曰く、山と見間違う怪物だとか。
それを聞いてルフィが反応しないわけがない。
「動く山なら行ってみよう!」
「バカバカ!とにかく今は一亥も早く霧の迷宮から脱出するんだ!岩礁にぶつかって転覆するぞ!!」
好奇心で息をしているような生物であるルフィは何も考えずその動く山に向かおうと指示しようとしたのだが、それをウソップが止める。
ナミとチョッパーがいれば共に止めていただろうが、生憎、ここにいるメンバーは度胸が良すぎるメンバーである。
恐らく、ウソップと子供の直葉なら、直葉の方が度胸があるだろう。
それも天と地の差ほど。
「待て、ゴッド」
『アスカ!副船長だろ!?こいつ止めるの手伝え!!』と言われたアスカだったが、勿論『無理』と二文字で返した。
唯一?ルフィを?止められる?人物???に無理だと首を振られたウソップだったが、彼は諦めない。
だって危険な目にあいたくないから。
だが、そんなウソップをローが止めた。
「ゴッドってお前〜!照れる〜!"2億の男"照れる〜!」
「『大将』クラスがチェック済みだろ―――見ろ、ビブルカードはアレを指してる」
「お!ホントだ!お前の仲間がいるじゃん!!」
ゴッドと呼ばれデヘヘと照れ笑いを浮かべるゴッド、そのゴッドの背景にはギロリと恨めしそうに見下ろす億までいかなかった鉄人。
ゾクリとさせるのはその鉄人からの殺気か、はたまたローの『大将クラスがチェック済み』という恐ろしい呪いの言葉か。
きっと両方だろう。
ローの言葉で改めて自分の賞金がどれほど重いのか確認できたウソップは船酔いしているバルトロメオのように顔を青ざめた。
そんなウソップをローは気にも留めず、持っているビブルカードをアスカ達に見せる。
そのビブルカードはローの仲間の一人のビブルカードで、その仲間の元へと引き寄せられるようにビブルカードは動いている。
その先は動く山に向けられていた。
「これって動く山を指してるの?」
「そうだ…深い霧と押し返す海流で侵入を阻む島だと聞いてる」
アスカもローの手を覗き込んで紙が動く方へと視線を向ける。
そこには深い霧に薄暗い影が写っており、その影に向かって船を進めることになった。
霧に写る影に向かって進むが風は逆風となっており帆を畳んでオールで進むしかない。
バルトロメオ達は酔いすぎて元気のない声で返事をしながらも、フランキーの指示の元船酔いで瀕死になりながらも漕いでくれた。
そのバルトロメオ達の苦労もあり、アスカ達はローの持つビブルカードが示す島へと近づくことが出来たのだが…
「ここが『ゾウ』って島!?」
「いやおかしいべ!!」
「コレはマズイ!逃げるぞ旋回ィ!!」
「本当にここでいいの?別の島とかは…」
「いや、゙コゴでいいんだ」
ルフィ達はその島を見て唖然としていた。
アスカも目を丸くし『島』を見上げる。
「トラ男!お前…コレ…!!――"象"じゃねェか〜〜!!」
ローやアスカ達の仲間が先に向かった島、『ゾウ』。
その言葉通り、『ゾウ』とは『象』だった。
ロー曰く、ゾウとは、巨大な象の背に栄えた土地の名らしい。
「いくら新世界だからって…これは…予想外…」
アスカは思わずそう呟く。
だが、目の前には紛れもない真実しかない。
アスカの目の前には巨大という言葉がかすむほど大きな象が歩いていた。
その巨体故なのか、ゆっくりとした動きだが、海がまるで浅瀬の川のようだ。
ゾウ、という島?は常に動き続けて一定の場所にはとどまらない幻の島と言われており、本来一般的な島ではないため"
記録指針"では辿り着けないらしい。
「わァ…姉上…象さん、大きいですね」
「う、うん…」
錦えもん達はこの『ゾウ』を目指していたが、実際『ゾウ』を見るのは初めてらしく、全員驚いていた。
ただ子供の直葉は大きな象を目の前に感激したように目を輝かせていたが、そんな直葉の言葉にアスカは『大きいってレベルじゃないんだけどね』と心の中で突っ込む。
「おい!『ゾウ』には人を嫌う種族が住むとか…」
カン十郎もゾウを見上げていたが、ハッと何かを思い出した。
それはゾウに住む種族の事だ。
ゾウにはある種族が住んでいるのだが、カン十郎が聞いた話によれば人を嫌う民族だという。
それをローは否定せず頷く。
「ああ…『ミンク族』だ…人を寄せ付けずその国の歴史は1000年近いと言われてる」
「1000年!?象の背中に!?じゃあ…!―――あいつ1000年も生きてる象なのか!?」
大きさだけではなく、その寿命さえもアスカ達の想像を超える。
長命族といえば、アスカは巨人族しか知らない。
身体の大きさに比例して寿命も長くなるのだろうかとアスカはもう驚きを通り越して冷静に思う。
「ナミ達は先にゾウに向かったし…サニー号がどこかにあるはずだ…探そう!」
とりあえず、登る方法を考えるよりも前に、自分達の船を探す方が先だとバルトロメオ達と共にサニー号を探すが、案外簡単に見つかった。
サニー号が霧から姿を現すとアスカ達よりも前にバルトロメオ達が歓喜の声を上げる。
「うおおおおお〜〜〜!!!こ、これが…!"麦わらの一味"のご神体を運ぶ…!
偉大なる船『サウザンド・サニー号』先輩!!ありがたやー!ありがたやー!」
ファンからしたらサニー号さえも輝いて見えるらしい。
手を合わせて拝むバルトロメオ達にウソップが『拝むな!』と思わず突っ込むほど、彼らのテンションは異常だった。
「おーい!サンジ〜〜!ナミー!チョッパー!ブルックー!モモ〜〜!あと……誰だっけ、あのガス…」
バルトロメオ達の船から仲間の名を呼ぶ。
そのうちの一人のガスの名を呼ぼうとしたが、ルフィは忘れてしまった。(覚える気は全くない)
アスカはルフィに問われ、一瞬も考えず『ガスはいいよ、ガスは』と答える。
アスカの言葉にルフィも『そうか!』と納得しガスは見事スルーされた。
船に乗り込めば静けさが余計に目立つ。
「船内にゃ誰もいねェ」
「こっちも誰もいなかった…争った形跡もなし」
確認しにフランキーとアスカと直葉とロビンが、それぞれ二手に別れて船内をそれぞれ探したが、4人ともナミ達を見つけることはできなかった。
「全員上陸したんだな」
「じゃあみんな気を付けて行ってこい!」
「おめェも行くんだよ!」
争った形跡もなく、きれいなまま保たれていた。
ローの言葉通り、先にゾウに上陸したと考えていいだろう。
ウソップがまた持病を発病したが、当然誰もがスルーである。
「先輩方!足りねェ物はねェべか!?」
ここでバルトロメオ達ともお別れとなり、バルトロメオ達の善意で食料を分けてもらった。(ローがルフィをダシに頂いた)
「おれたづ全員っ!『麦わら傘下』の名に恥じぬ実力を身につげて参上仕りますゆえ!!そん時もしお役に立てましたならば!残る四枚の"
神の雫"!頂戴できますれば至極光栄に存じますだべェ!!」
本当なら地獄の果てまでついて行きたいと心底思うが、神々と崇めるルフィ達の冒険を邪魔することはできないと諦める。
ドレスローザでも共に戦うことが出来たが、まだまだルフィ達と共に冒険するには実力が足りないとバルトロメオは心底分からされた。
そのため、もっと強くなり実力も傘下に相応しい海賊団になれるよう努力せねばならない。
そして傘下に相応しい海賊団になった暁には、ナミ達のサインを頂きたいと申し出る…が。
「ミミズ?」
「ヘビだろ?」
「足があるぞトカゲだ」
「どうでもいいけど下手すぎない?」
アスカ達はバルトロメオ達ではなく、甲板に描かれているカン十郎の絵に意識を向けていた。
そう…
「
完全なる無視!」
―――無視である。
いや、ただ一人。
直葉だけはバルトロメオ達を見上げていた。
ただ、その目は完全に不審者を見る目ではあったが。
そんな直葉以外に無視されたバルトロメオ達は…
「でもそんな全てが幸せーー!!」
もうルフィ達ならなんでもありであった。
騒ぐバルトロメオ達をBGMに、カン十郎は能力を発揮させる。
「
出でよ!"昇り龍"!」
カン十郎の声掛けを合図に、甲板に書かれていた絵がペリペリと剥がれ始め、実体化しはじめた。
それにも驚かされるが、何より驚くのが…
「なんだか気の毒な生き物出てきたー!!」
下手なカン十郎の絵は実体化しても反映するらしく、下手なまま実体化される。
しかも、なんだか苦しそうにしており、カン十郎の能力は下手上手い関係ないというわけではなく画力によって異なるようだった。
『絵の勉強してこれだったら居た堪れないわね』とアスカは思ったが、口には出さなかった。
冷酷ウサギでも流石に空気は、読む。
「さァ、龍の背にしがみつけ!!」
「飛ばねェのかよ!!」
龍だから飛んで登るのかと思ったが、その機能はないらしい。
それは悪魔の実の能力で飛行能力がないのか、それとも画力の問題か…アスカは内心『画力の問題』だと思っている。
とりあえず早くナミ達と合流したいので龍に乗ることになったのだが…
「「アスカはおれと――」」
まず、先頭は当然ルフィが乗ることになった。
ルフィは普段から船首に乗りたがるため、自然と先頭はルフィとなる。
いつもの流れならば、その後ろをアスカが乗る流れだ。
だが、ここにはローもいる。
二人とも当然アスカは自分の傍にいるものだと考えていた。
声が重なり、ローもルフィもお互いを睨むように顔を合わせる。
「また始まった…」
お互い牽制し合うのを見て、アスカは溜息をつく。
どちらかの手を拒めばこんな小競り合いしなくて済んだのだろうが、アスカは二人を愛してしまった。
この周囲にしたらどうでもいい小競り合いも、アスカは呆れはするものの彼らの愛だとして受け止める。
「ルフィ、私、ローじゃダメ?」
とはいえ、いつまでも言い争われても困る。
先頭にルフィ、後ろにローと自分が挟まれれば解決することだ。
「「まあ…それなら…」」
正直、アスカと二人でイチャイチャしたいと男二人は思ったが、それを言うとロビンと直葉に役目を取られるのが分かっているため考えなしのルフィでさえ口には出さなかった。
ルフィが先頭に乗り、その後ろをアスカ、ローが続き、ゾロ達もそれぞれ龍もどきに乗り込んだ。
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