真っ直ぐ進むと、そこにはゾウの中心、『クラウ都』についた。
しかし、そこにも人影はなく静けさだけがアスカ達を歓迎する。
「"襲撃"と考えて間違いなさそうね…数十万人は住める程のこの都市から一人残らず住人が消えているなんて…」
クラウ都についたが、住人は一人としていない。
襲撃にあったというロビンの言葉にウソップが騒いでも人影どころか気配すらなかった。
「見て…まだ生活の跡がある…つい最近の出来事ね…」
ロビンが破壊され室内が露になっている建物に入る。
そこはキッチンだったらしく、大鍋の蓋を開けてみれば中身が入っていた。
湯気は立っていなかったが、お玉で掬ってみたそれからは腐った様子は感じられない。
良い匂いの美味しそうなスープだった。
それを聞きながらアスカも崩れた建物を覗き込む。
襲撃されたのは丁度ご飯時だったのか、脚が折れて倒れているテーブルの傍にはパンやスープやおかずなどが散らばっていた。
こちらも腐った様子は全くない。
「これは拷問具か?」
捜索していると、ゾロが物騒なものを見つけた。
木製で作られた明らかに人を括りつけるためのものだ。
それにはご丁寧に鎖や血痕までついている。
「敵が人間かどうかも疑わしいな…引き裂いたような爪痕が多い」
「ひいい〜〜!!」
建物にある爪痕をフランキーが見つけた。
丁度アスカも崩れた建物から離れれば、その傍にあった建物にも三本の爪痕がデカデカと残っているのが見えた。
『でっか…』とその爪痕から分かる襲撃したらしい物体の大きさにアスカは思わずつぶやいてしまう。
爪痕や他に崩壊している建物に気を取られすぎたのか、アスカは突然の段差に躓いてしまう。
「わっ!」
受け身が取れず膝をついてしまった。
躓いて驚いた声を聴いたローが『大丈夫か?』と手を差しだしてくれたので、その手を取って立ち上がり段差から上がる。
幸いにもゾウの皮膚だったため怪我はなかった。
改めて段差を見ると、アスカは段差だと思っていたそれが全く別物だと知る。
「なにこれ…ゾウの足跡?それにしては大きいけど…」
段差だと思ったそれは、何かの足跡だった。
足跡の形は人ではなく、動物…ゾウに似ている。
相当な重さがあったのか、象の皮膚は段差ができるほど凹んでいる。
それも、人が一人寝転んでもまだ人が入れるほど大きな足跡だった。
その足跡からミンク族は怪物や獣達に襲われたとも考えられる。
「爪痕に関しちゃ仲間割れの線もあるな…」
「そうね…でも、確かなことはこの国はほんの一二時間に突如滅びたんだわ」
ローの呟きをロビンが頷きながら、これまで調べて確かなことだけをまとめる。
だからこそよりウソップは先にゾウへ向かったサンジ達を心配した。
その時―――突然地面が揺れた。
「えっ!?な、なに!?地震!?」
「ええ!?ここ象の背中だぞ!?」
揺れは短く、すぐに収まった。
海で生活しているアスカ達にとって地震は珍しいものではあるが、今回上陸したのは『陸』ではなく『象』の背中だ。
陸であったなら地震が起こってもあり得ることだが、ここは象…生き物の背中。
例え考えられないほどの巨体であろうと、その背中で森や川や人が住んでいようと、生物なのだ。
地震が起こることなどありえないはず。
原因を考える前に突然水がアスカ達の頭上から降ってきた。
「なに!?水の塊!?」
「洪水になる量よ!!高い場所へ!!」
雨どころの話ではない量の水が降ってきた。
ロビンの言葉が合図になったかのように、アスカ達はそれぞれ建物の上に避難する。
アスカもウサウサの能力で高い建物に避難しようと飛んだ。
大量の水が洪水となって降り注ぐ前に、重力によって雨のように降ってくるその水を全身に浴びてしまう。
「―――っ」
アスカはそれを浴びた途端に体の力が入らなくなった。
しかし、ここで力を抜けばアスカは落ちてくる水に巻き込まれしまう。
そうなると、アスカは流されて沈みゾロ達の助けが間に合わなかった場合、最悪死んでしまう。
まだ死ぬ気はないアスカは気力で堪え、なんとか建物の上に避難できた。
だが、安全な場所に避難できた安心感からか、アスカはガクリと座り込んでしまう。
それに真っ先に気づいたのはローだった。
ローは力なく座り込むアスカに慌てた様子で駆け寄ってくれた。
「アスカ…どうした…怪我でもしたのか?」
「ロー…これ…海水…っ」
心配そうにローが問えば、アスカは息も絶え堪えに答えた。
アスカの言葉に確認してみれば、降ってきたのは水ではなく、海水だった。
能力者にとって水や海水は天敵ではある。
それは湯船につかっても力が抜けるため、能力者のほとんどがお風呂が苦手だと思うほどだ。
同じ水だというのに、シャワーや雨程度なら平気なのは不思議である。
しかし、アスカはとことん海との相性が良すぎるためか、雨のように降ってくる海水でも力が抜けてしまった。
幸いなのは、雨に濡れる程度だったのですぐ動けるようになることだろうか。
パンクハザードでアスカが海楼石に人一倍弱いというのは知っていたが、雨程度の海水もダメだとは知らなかったローは驚いた。
アスカが落ち着くまで休憩をすることになった。
「足を引っ張ってごめん…」
「謝らないでアスカ…こればかりは仕方ないわ…それに私も疲れてそろそろ休憩しましょうって言おうと思っていたところよ」
ローに体を支えてもらい、瓦礫の上に座る。
隣に座るローの肩にぐったりと頭を預けながら、アスカは自分のせいで先に進めなくなってしまった事を謝る。
そんなアスカを誰も責めはしなかった。
「もしかして今のは巨大象の"水浴び"じゃないかしら…」
ロビンはアスカの顔色も少し良くなったことに胸を撫でおろしながら、先ほど自分達がいた方へ視線を向ける。
歩いていた道が今では川のように海水が流れている。
それを見て、ロビンはある考えがよぎる。
それが、象の水浴びである。
「町も森もこの水位に順応してるみたい…」
「なるほど…今の水量…それなら納得だ」
「つまりこれが日常なのか」
ここまで来た道のりの自然といい、この町で見た建物の作りといい、今思えば水量を計算されて建てられ、植物もそれに合わせて成長しているようにも思えた。
降ってきた海水を覗き込めば、魚やサメまで泳いでおり、日常的に行われているとしたらミンク族からしたら恵みの雨なのだろう。
「こんなびっくり豪雨日常でたまるかよ!早くみんなを見つけて退散すべきだこんな島!!――ん!?」
人一倍ビビリなウソップは非能力者なのに誰よりも高い場所に登っていた。
絶対に何がなんであろうとこの島からとっとと出てってやると意思を固くしながら辺りをゴーグルで見渡す。
すると、遠くにルフィの姿が見えた。
「おい!ルフィがいるぞ!町の奥だ!さっきのナミ犬女もジャンプうさぎも一緒だ!ルフィの奴ダマされてアジトへ連れていかれ…―――ぎゃああああ!!!」
「なんだウソップ!」
ルフィの姿が見えたと聞き、アスカだけではなくロビン達も安堵した。
ルフィの事だから不安はなかったが、それでも心配をしないわけではない。
ルフィは強いが、単純だし人を信じすぎるところがある。
しかし、安堵したのも束の間。
ウソップが悲鳴を上げた。
その悲鳴にフランキーが慌てて問えば…
「ルフィが少し食われた〜〜〜!!」
「ええ!?じゃあやっぱりあいつら…」
なんと、ルフィは先ほどのミンク族に食べられたと言うではないか。
アスカは思わず怠い体を無視しウソップへ顔を上げる。
「アスカ…体はどうだ?」
「ん、体はまだ怠いけど歩けるよ」
「そうか…なら合流するか…」
「合流?」
「今から無理だろ…肉眼じゃルフィの姿は見えないが」
ローがウソップの言葉を聞き、アスカに声をかける。
アスカは体の怠さはまだ残っているが動けないわけではない。
それを伝えるとローがルフィと合流すると言い出した。
『あまり無理はさせたくはないが』と言いながらもアスカの腰に手を回して立たせるローにゾロ達が怪訝そうに見た。
ローはその問いに答える前に―――
「"ROOM"――"シャンブルズ"」
それはあっという間の出来事だった。
気づけばアスカ達の前にはルフィとミンク族がいた。
ローはルフィと自分達の距離を能力を使って詰めた。
「…っ」
「大丈夫か?」
「うん…ありがとう」
アスカはまだ海水の影響が体に現れており、上手く着地できなかった。
しかし、それを見越して(決してイチャつきたいとかではない、決して)ローはアスカの腰に腕を回していた。
ローが支えてくれたおかげで、アスカはフランキーとウソップのように転げなくてすんだ。
「ありがとう、ロー…もう大丈夫」
「本当に大丈夫か?」
「うん…海水も乾いたみたいだし…」
体の怠さはまだ残るが、それも時間の問題だ。
ルフィと合流したというのもあり、アスカは支えてくれたローにお礼を言う。
アスカが海に他の能力者よりも弱いのを心配していたローはアスカの言葉や顔色が良くなっているのを見てホッと安堵し支えていた力を抜く。
しかし腰からは手を離さなかった。
「やい!このナミ犬女!そいつはウチの船長だ!とって食おうってんだな!!そうはさせんぞ肉食女!先に来た仲間共々すぐ返さねェとこの三刀流が火を吹くぞ!!」
「呆れたな…何か勘違いをしているようだ…」
ゾロを盾に仲間を返せとウソップが叫ぶ。
完全に虎の威を借りるウソップに、ミンク族は呆れたような表情を浮かべ溜息をついた。
「アスカ〜!」
ウソップの虎の威を借りる作戦はいつもの事なので、アスカ達クルーは何の反応もないが、ローの傍にアスカの姿を発見したルフィはワニから一直線にアスカへと飛んで向かった。
ウサウサの実のおかげでルフィ程度の重さは簡単に受け止める事ができるアスカは、飛んできたルフィを慌てて抱き留めた。
二年の修行の成果がこんなところで発揮するとはレイリーも思っていなかっただろう。
「もう…危ないなァ」
「にしし!カンドーの再会だな!」
「勝手に動いてたのはルフィでしょ…」
離れていた間の時間を取り戻すようにギューッと抱きしめるルフィにアスカは苦笑いを浮かべてしまう。
再会は再会だが、勝手にどこかに行ってしまったのはルフィだ。
相変わらず自由だなと思いながらもアスカもルフィと再会できたことに嬉しいと思ってしまう。
それはきっと、付き合ってからよりアスカとのスキンシップが激しくなったルフィに感化されているのかもしれない。
キスをしようとするルフィに、アスカは待ったをかけた。
「キスは駄目」
「トラ男としてなかったのか?」
「うん…それどころじゃなかったし」
キスしようと顔を近づけるルフィに、アスカはルフィの口を手で塞いで防いだ。
ルフィは自分のいない間キスの一つや二つしていたと思ったらしいのだが、アスカの否定で大人しく引く。
お互い信頼がなければ成り立たない関係なのはルフィも理解している。
そのやり取りを見ていたウソップ達はチラリとローを見る。
ローはキスしそうになったのを見て手を出しかけたが、アスカが止めたので身を引き、アスカに懐くルフィを何もせずただ終わるのを(イライラしながら)待っていた。
ルフィが勝手に行動したとはいえ、ローはずっとアスカの傍にいた。
その分をルフィも与えなければ平等ではない。
とはいえ、ルフィのようにイチャイチャできていないので、平等ではないのだが、そこはお互い様だし、ルフィもローも多少は目を瞑ることにしている。
「女神…」
カップルのやり取りほど気まずい空気はない。
早く終われとその場にいたウソップ達がそう思っていると…ポツリと誰かが呟いた。
その呟きは彼らにも届き、その声の方へと全員視線を向ける。
その視線の先には犬のミンク族がいた。
ミンク族は頬を赤らめある方を…アスカを見つめていた。
その目はうるうると潤んでおり、恍惚とした表情をアスカに向けていた。
しかもそれは犬のミンク族だけではなく、傍にいるウサギのミンク族であるキャロットも同じくアスカをうっとりと見惚れているようだった。
それに一同は首をかしげる。
犬のミンク族の呟きはアスカにも聞こえており、ルフィに抱きつかれながらそちらへ視線をむけると…同時にキャロットが『はぅ…』とやられたように後ろに倒れそうになった。
それを犬のミンク族が慌てて抱き留め、ゆっくりと体を地面に降ろす。
「大丈夫か、キャロット…」
「はうぅ…ワンダ…どうしよォ…女神がいるよ…輝きすぎて目が潰れちゃうよォ」
「分かる…分かるぞ、キャロット!だが女神の御前だ…気をしっかりもて!」
犬のミンク族…ワンダに励まされたキャロットはのろのろとゆっくり体を起こした。
しかし、こちらから顔をそらすも、チラリとこちらを…アスカを見る。
アスカと目と目があったキャロットは頬を赤らめ『目が合っちゃったっ!』と乙女のように顔を手で覆って俯かせる。
そんなキャロットにワンダは『分かる』と何を同意しているのか分からないが頷きながらキャロットの背中を撫でていた。
「…………」
「…………」
「…………」
何が何だか分からない一同だったが、その視線はアスカに集中していた。
アスカだって今の状況は把握できなかったが、一瞬魚人島で会ったライオンの獣人を思い出す。
が、すぐに消えたアスカは『えっと…』と困ったような声で二人に声をかける。
「あの〜…」
「はっ!な、なんでもないのだ!気にしないでくれっ!」
アスカに声をかけられ、アスカ達の微妙な空気を察したのか我に返ったワンダは気にするなと咳払いした。
ワンダ達とは先ほど会ったばかりなのもあり、アスカは首を突っ込むのをやめる。
嫌な予感がしたのもあったのだろう。
咳払いしたワンダはいつもの様子を装っていつつも、その頬から赤みは消えていない。
(これって…あれだよな…)
(ええ、あれね…)
それでもアスカを前にすると調子が崩れるのか、何度も咳をしすぎて風邪を引いたようになっていた。
そんなワンダ達に、ウソップとロビンはお互いに視線を合わせた。
言葉にせずとも交わされる会話に、ウソップは溜息をつき、ロビンは『モテモテね、アスカ』と愉快そうに目を細め笑う。
フランキーも何となく察しているのか頭をポリポリと掻き、ゾロも面倒臭いことになりそうだとルフィとローの方を見て溜息をついた。
そんな人間達に気づかず、ワンダは『丁度目的地に着いた』と前方…アスカ達の背後を指さした。
その指さした方へアスカ達が振り返ればそこには丁度深い霧が晴れ現れた砦があった。
「ワンダ!そガラらは?」
「くじらの森の侵入者か」
その門には、入り口の門とは違い、門番がいた。
やはりワンダ達と同じミンク族だったが、なぜか怪我を負っていた。
二人のミンク族はルフィ達を見てギロリと睨みながら構える。
どうやらくじらの森に侵入したという伝達がここまで届いているようだった。
警戒を高める彼らを見てワンダが慌てて彼らとルフィ達の間に入った。
「悪意はなかった!手違いで"歓迎の鐘"は鳴らず一人が"くじらの森"へ迷い込んだ!!門を開き皆に知らせてくれ!!"麦わらの一味"が来たと!!」
「え!そガラらが!?」
ワンダの言葉に、刀を抜きかけていたミンク族は慌てて刃を戻す。
そして驚きながらルフィ達を見渡し―――アスカで目が留まった。
「えっ!?女神!?」
「女神がいるぞ…!?」
「…………」
バチッと目と目が合った瞬間、二人のミンク族がワンダ達と同じ単語を言葉にし…やはり一同アスカを見た。
その場にいる全員の視線を独り占めしながらアスカは内心溜息をつく。
流石にワンダとキャロット以外のミンク族が同じ反応すればルフィが気づかないわけがなく、ルフィはそのままアスカの腰に腕を回しアスカを守る様に抱き寄せる。
そんなアスカ達を他所に、ワンダとキャロットは何かに同意するように深く頷いた。
「分かるぞ、二人とも…だから一亥も早く女神に仲間が無事だとお知らせし安心させたい」
「了解だ!!待ってろ!今すぐ行ってくる!!!」
「あっ!抜け駆けか!?」
ワンダの言葉に文字通り駆けていったミンク族に、同じ門番として役目を貰っているミンク族が慌てて追いかける。
門番がいなくなったその場は嫌というほど静かだった。
「おいおい…門番二人がいなくなるなよ…」
フランキーのその呟きに、今度はアスカ達が頷く番となった。
「すまない…だが女神をお待たせするわけにはいかないからな…」
「早く入ろう!みんなが待ってるよ!」
「みんな?」
誰もが『女神ってなんだ』と問わないのは、答えがもう何となくだが分かっているからだ。
絶対面倒くさいやつだこれ、と一同が思いながら触れないでおく事を言葉を交わさず決める。
門番がいなくなった門をワンダとキャロットが先導して進む。
すると門番が知らせたおかげか、門をくぐるとすぐに歓迎の声がアスカ達を出迎えてくれた。
「大切な客人達だ!!大恩人達の仲間にもてなしの準備を!!」
ルフィ達の姿を見た瞬間、わっ、と上がる歓声にアスカ達は驚いてしまう。
周りを見渡せばあれだけ姿も気配もなかったミンク族が大勢集まっていた。
「ようこそ"麦わらの一味"ィ!!」
「ようこそ!!」
「ガルチュ〜〜!!」
聞いた話とは全く真逆の歓迎に、アスカ達は戸惑いが隠せなかった。
アスカ達の中で素直に喜んでいるのはルフィだけだろう。
「話が違わねェか!?」
「お前ら人間嫌いの種族じゃねェのか?」
「種族か…それは"他のミンク"を知らぬ者達の怯えかもな…私達から見ればゆティラらは毛の少ない"サルのミンク"…同族の一種だ…嫌うなら個々を判断する」
なるほど、とアスカは思う。
確かにゾウという幻の島ともいわれているほど遭遇率の低い島なんて、人間からしたら未知な世界だ。
人との繋がりを絶っているようにも見えるゾウの住人が外の世界にいる人間を嫌っていると『人間』が思うのも無理はなかった。
「私達は全身の
純毛こそ誇りだが、ゆティアらのこの美しい"
少ない毛"に憧れる者も少なくない」
そう言いながらワンダの視線はアスカで固定されていた。
ワンダは
純毛を誇っているようだが、アスカを見る目は輝いていた。
「…………」
なんとなく、アスカは気になった。
純毛が誇りに思っていながらも、自分を見る目は輝いている。
言葉と目の違いに気になったのだ。
ぴょこん、とアスカの頭とお尻に、ウサギの耳とシッポが生えた。
その瞬間…
「「はう…」」
ワンダとキャロットがハートを散らしながらその場に崩れ落ちた。
崩れ落ちた二人に『あ〜〜(察し)』とその場にいる全員が思った。
「…麦わら屋…おれは仲間のところに向かう…アスカを頼んだぞ」
「おう!また後でな!」
ローはゾウにいるクルー達の姿がここにないのに気づいた。
ミンク族の歓迎ぶりを見ている限りベポ達は無事ではあるだろうが、心配していないわけではない。
どうやらミンク族は自分達に好意的らしく、危険がないと見たローはひとまずここで解散することにした。
ローを見送った後、崩れ落ちているワンダとキャロットを他所に門をくぐって進む。
その後をウソップ達が続くと、歓迎ムードだった周囲が一気にざわついた。
「えっ…!?め、女神…!?」
「女神がいる…!えっ女神…!?」
「はわわ…なんて愛らしいんだ…」
「あの愛らしさは罪なのでは??」
あちこちから聞こえる声に、ウソップ達はまたアスカへと向けた。
能力を発動したままだったから余計に騒がれているのかもしれないが…アスカの目は死んでいた。
「ウサウサの実って実は呪われてるんじゃねェのか」
「……私もそう思う…」
明らかにアスカへ向けられる視線に、フランキーがポツリと呟きそれにアスカが同意した。
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