(240 / 274) ラビットガール2 (240)

待遇がよくても所詮は捕虜なため部屋で自由で過ごせるが、部屋から出ることは禁じられている。
そのため、アスカはものすごく暇なのだ。
暇だと碌なこと考えないので、本を頼み時間を潰しているとあっという間に夕食の時間になった。
流石海賊であっても一国を持つだけあって、食事は食べる事に頓着のないアスカでも美味しいと思えるものだった。
ただ、夕食は1人で食べ、カタクリは宣言通り訪れなかった。
そこは本人から言われていたので気にはしていないし、正直敵と2人きりになるのは常に見張られているという意味で気まずくなるので好都合ではある。
怒涛の一日だったが、あっという間に就寝の時間に近づいていた。


「アスカ様、お風呂の準備が出来ました」


メイドの言葉にアスカはお風呂場に向かう。
勿論、メイド達には扉の前で待ってもらっている。
浴室はサニー号の方が豪華だが、部屋に備え付けられている浴室にしては広く取られている方だ。
髪はすでに洗っていたので、身体だけ綺麗にしてメイドが沸かしてくれた湯船に足先を入れて身体全体を湯船に入れる。


「あったかい」


お湯に浸かりやっとホッとつく瞬間だった。
部屋でも1人だったが、離れているとはいえメイドが傍で控えてアスカを監視しているため居心地は決して良くはなかった。
この場はメイド達がおらず本当の意味で1人になれる空間だ。
淡白な性格をしていても、敵地に1人で捕らわれるとそれなりに緊張するものだ。
緊張で強張った身体が湯船によって解されている気がして、アスカは溜息に似た息をつきながら顎まで湯に浸かる。
湯は入浴剤が入れられて濁っており、バラのような甘くいい香りがした。


(この入浴剤、どこのか聞いてもいいかな…ナミ達も喜びそう)


無頓着なアスカでさえ良い匂いだと思うのだから、毎日ケアしているナミとロビンならもっとこの入浴剤を喜びそうだ。
そう思いながらリラックスしているとメイドがノックのあと入って来た。


「…なに?」

「主人からアスカ様の疲れを癒すマッサージをするよう命じられております」

「いらないんだけど」

「主人からの命令です…明日は主人のご息女であらせられるプリン様のご結婚…様々な方をお招きしております…アスカ様にはカタクリ様に相応しい婚約者として美しく着飾っていただけなければなりません」

「………」


主人とはビッグ・マムのことだろう。
マッサージをするためにメイド達は袖を捲っているがアスカは断るつもりだった。
しかし、流石にビッグ・マムの命令だからか、メイド達も一歩も引くこともできないのだろう。
教育のたまものか、表情はないが絶対に命令を実行するという強い意思を感じさせた。


(拒否…できそうにないか…)


わざわざ主人と強調するということは、アスカに拒否権はないということだろう。
だが、だからと言って背中を簡単に見せたくはない。
覚悟を決めなければと思うが、どうしてもその覚悟が決められきれない。


「背中は絶対に見ないことを条件ならいいわ」

「…かしこまりました」


主人であるビッグ・マムの命令に背かない代わりに背中は拒むアスカに、メイド達は内心怪訝とさせた。
しかし、人には人の数だけのコンプレックスを持っているし、アスカも見た目から想像しにくいが海賊だ。
海賊ではないただのメイドである自分達には想像もつかない理由があるのだろう。
ただ、メイド達もメイド達で、ビッグ・マムの命令に背けない。
背中は絶対に見ないと言う良く分からない条件だが、面倒なことにならなくて済むと安堵しながら承諾し頷いた。
背中を見られることを拒んでいるので仰向けになって行ることにした。
敷かれたマットの上で仰向けになると2人のメイドが両脇に座る。
濡れてもいいようにスカートも上げて纏め、袖も捲ったメイド達2人の手には最初からゴム手袋がはめられており、その手の平にマッサージ用のオイルを垂らす。
『では、始めさせていただきます』という声掛けによってマッサージが開始された。


(…早く終わらないかな……)


オイルマッサージは初めての体験だ。
本当ならアスカも女の子なのだから綺麗になることに嬉しさを感じるはずなのだが、アスカ自身が頼んだわけでも、自らの意思で来店したわけでもないので、正直早く終わってほしいと思う。
要するに暇なのだ。
人に触られることに慣れていないのもあるが、マッサージということで少しくすぐったくも感じる。
最初は至って普通のマッサージだったのだが、すぐに異変を感じた。


「んっ…ッ」


メイド達の手が触れるたびに体が火照っていく気がした。
ここがお風呂場で蒸気に包まれているからか、頭がぼんやりとして思考が鈍る。
腹部をマッサージするメイドの手にアスカは思わず甘い声が零れそうになり、咄嗟に口を手で覆った。
チラリと気まずくなってメイドへ視線をやるが、メイドは相変わらず表情一つ変えず黙々とマッサージを行っていた。


「、ん、ん…っ、ン」


下唇を噛みながらなんとか耐えているが、足をもじもじと落ち着かないし、アスカの反応で察しているだろうにメイド達の手は止まらない。


「ま、まって…っ」


流石にこれはおかしいと思い、アスカは起き上がりメイド達の手を止める。
身を守る様に膝を立ててメイド達から背中に気を付けながら座り込みながら後ずさる。


「いかがしましたか」

「いや…ちょっと、気分、悪くなって、きたから…やめて…」

「ですが主人からのご命令ですので」


ビッグ・マムの命令は絶対だという考えは分からなくはない。
ショコラタウンで見た住人達は怯えているようには見えなかった。
そこに女王としての信頼は当然あるのだろうが、決して恐怖がないわけではないのだろう。
女王の命令に背いた処罰はメイド達に降りかかる。
そうならないためにもメイド達だって必死なのだろう。
嫌がるアスカを捕まえてマットの上に戻すと、抵抗されるのを防ぐため1人のメイドが抑えるためアスカの頭上へと移りアスカの肩に手をやって押さえつける。
起き上がると頭上にいるメイドに背中が見られるのでアスカも抵抗したくても抵抗できなかった。


「失礼いたします」

「!――っ」


押さえつけられ大人しくなったアスカの胸元にメイドの手が伸び、触れる。
突起を避けて胸を触れているのに、アスカの身体はピクリと反応を示した。
それにアスカは確信を持った。


「これ…っ、び、やく…」


甘い声が漏れないようたどたどしく話すアスカの言葉に、メイド達は無言を貫くが一瞬チラリとアスカを見た。
それを熱に魘されながらもそれに気づいたアスカは、与えられる刺激とは別に眉を顰めチラリとそれを見る。
それ―――マッサージオイルはラベルのない小さな瓶に入れられている。
だが、そのマッサージオイルに媚薬が混ぜられていた。
でなければこの身体の疼きに説明ができない。
海賊や貴族の奴隷だった時代に、まだ幼い体に媚薬を投薬されたこともあるため、この感覚に覚えがあった。
ローとルフィと体を重ねた時には感じない自分の意思を無視した快楽。
アスカはこの感覚が昔から嫌いだった。
胸を仕上げ終えたのか、メイドの手は身体の熱を更に誘発させるように身体をなぞる様に触れ―――秘部へと伸ばそうとした。
それには流石に慌てて足を閉じようとしたが、アスカを抑えていたメイドが太ももに手を伸ばし足をこじ開ける。
露になった秘部にメイドは遠慮なく触れる。


「―――――ッッ」


媚薬によって更に敏感となった体にはそれは刺激が強かった。
それに快楽が拷問に近かったアスカの身体はルフィとローによって快楽への喜びを知ってしまった。
それが仇となった瞬間である。
意地でも声をあげたくないと唇を噛んで絶頂を迎えたアスカは、足を固定するメイドの両腕を掴んで襲ってくる強い快楽に堪える。


「はぁ…ん…、――あっ!」


荒れた息を整えていたアスカの隙をつき、メイドは蜜壺の入り口をなぞる様に触れ、甘い声が零れた。
たったなぞる様に軽く触れているだけなのに、アスカの身体には強い刺激として全身を支配されてしまう。
熱に溺れているが『だから媚薬は嫌いなのよ』と思う程度の冷静さはまだあったらしい。


「ン…ぁ……、」


しばらく密壺の中を好き勝手されたが、ふとメイドの指が密壺から抜かれる。
絶頂するまでいかなかったが、与えられる快楽に酔い始めたアスカは突然快楽が止みもどかしさにメイドを見る。
メイドは屈んでアスカの身体に触れていたが、起き上がりアスカを感情のない目で見下ろしていた。


「アスカ様、お疲れ様でした」


どうやらメイドの仕事は終わったらしく、ケロッとした声で『立てますか?』と問われアスカはぼんやりとさせながらもコクリと頷く。
意識がもうろうとして手を貸してほしいと思ったが、快楽に思考を奪われていても背中の烙印の事は忘れないようだ。


「出てって…着替えは私だけでさせて…」

「…畏まりました…外におりますので何かございましたらお声がけください」

「………」


メイドの言葉に返さず、アスカはメイド達が浴槽だけではなく脱衣所を出て行くまで見送った後、倒れ込むように体を横にさせる。
メイドの姿がなくなり、緊張が解れたように長く重い溜息を吐き出す。


「やばいなぁ…これ…絶対、あれじゃん…」


アスカは嫌な予感が的中したと泣きたくなった。
カタクリがこの部屋で寝泊まりすると言った時点で微かに嫌な予感がしたのだ。
しかし、明日は妹の大切な結婚式だ。
流石にそんな大切な日に揉めるようなことはしないだろうとたかをくくっていた。
だが、妹の結婚式だろうとあちらには無関係だったらしい。


(どうしよう…やだなぁ…)


仕方ない。
そう思えたら良かった。
前のアスカなら、ルフィとローという恋人を得る前のアスカだったら、実際そう諦めきれただろう。
だが、アスカには心に決めた人がいる。
いくら性被害に諦めがあるとはいえ、2人以外の男にこの身体に触れることを許すのは嫌だった。

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