(258 / 274) ラビットガール2 (258)

※フランペに辛辣です。
※ファンの方はご注意!
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ルフィとカタクリの戦いはなぜかアスカ争奪戦となった。
当人であるアスカはこういう時のお約束である『私のために争わないで!』というセリフを言う余裕はなく、目の前で激しい戦いを繰り広げる2人をポカーンと口を開けて呆けていた。
まさに『一体何が起こってるんだ』状態である。


「いや、なんでだよ…」


ちゃっかり避難しつつ、思わず小さくツッコミを入れるアスカに『主…』とシュラハテンは同情した目で見てしまう。
カタクリを道連れに鏡の世界に入ったのは、仲間とサニー号を守るため、そしてアスカを取り返すだめだ。
そのうえで、ルフィはカタクリに負けたくないという気持ちで戦っていた。
勿論、その気持ちはあるが、何より自分の女に手を出されて黙っている男など海賊海兵関係なくいないだろう。
とりあえず、この戦いで何故か自分の運命はルフィに委ねられたらしい。
『私に拒否権はないんかい』と思ったが、ビッグ・マムに捕まってから拒否権がなかったなと思い出す。
恋人として、クルーとして、ルフィが負けるなど考えられないが、もし彼が負けたらアスカはビッグ・マムの義理の娘となるのは確定している。


「絶対戦争が始まる…」


アスカは四皇、シャンクスの娘である。
シャンクスは四皇でありながらも穏健派だ。
だから彼は娘の結婚を知ると真意を探るだろう。
そして、無理矢理ビッグ・マムが息子に娘を嫁がせようとしているのを知ったら…二年前に起きた大戦争の再来である。
むしろ片方に政府という縛りがない分、こちらの方が被害が酷そうだ。


「あっ…待って…パパに知られるってことは…お姉さまにも知らせが行くかもしれないってことよね…もしかして…お姉さまが助けに来てくれる…ってコト!?」

≪…主……≫


『きゃーっ!助けてお姉さまぁ〜!』とハートを散らすアスカに、流石にシュラハテンは何とも言えない表情で主を見つめた。
『姉君は大将なので単独で四皇の下へ助けに行くのは無理なのでは?』というツッコミはできなかった。(言っても無駄だから)
そもそも、真面目な話をすれば、もしそうなったとしても、アスカにはルフィの他にもローという彼氏もいる。
彼も勿論黙っているわけがないし、ルフィが負けたまま黙っているとも思えない。
だが、今のアスカにはもはやローや父どころかルフィでさえ隅の隅へと追いやられ、ミコト一色となっていた。
オタクは誰も止められねェ。
この主をどう正気に戻そうかと思っていると、シュラハテンの耳に可愛らしい声が届き、そちらに視線を向ける。


「誰もがカタクリおにー様のお気に入りになりたい!でも!私こそが最愛の妹!"キングオブ妹"になる女!」


声の主は1人の少女だった。
言葉からしてカタクリの妹なのだろう。
その周りには部下がいた。


「うわぁ…なにあれ…やば…」

≪…………≫


彼女達のやりとりはアスカも気づいており、遠いが会話が聞こえたアスカは少女…シャーロット家36女のフランペの露骨な媚売りにドン引きしていた。
…が、その傍にいるシュラハテンに『えっ…それお前が言うの??』という目で見られているが、アスカは気づかない。
ぜっっったいにアスカには言われたくない。
そうしている間にもルフィとカタクリの戦いは続いている。
持ち前のタフさを見せつけながら仲間のため、アスカのためにカタクリとの戦いに苦戦しつつもお互い引かない戦いを繰り返していた。


「理解できんな…倒れるだけでも"恥"だというのに…」


倒しても立ちあがり向かってくるルフィに、カタクリは手間取っていた。
いつもならとっくに始末しているのだが、ルフィは想像以上にしぶとい。


「あ゙あ゙ああ!!」


ルフィが起き上がろうとする度に倒し、攻撃しようとすればそれを潰す。
それを繰り返すと、ルフィは鬱憤を吐き出すように叫ぶ。
その気持ちは見ていてるだけしかできないアスカでも理解できた。


「そりゃあもどかしいだろう…お前が立とうとしたから立たせなかった…左のパンチを打とうとしたから左肩を打った…結果、お前は何もせず悔しがるだけのバカ…動きを読まれるというのはこういう事だ」


アスカはレイリーとの修業で得られたのは武装色のみだった。
それでも覇気の1つでも得られただけでもアスカとしては運がいいと思う。
だから、見聞色を持つ人間の感覚は分からない。
ただ、レイリーから聞き、カタクリを見ていると、武装色とは別の意味で厄介な相手なのは分かる。


(仕方ないけど…見ているだけなんて…)


アスカは何もできないことがもどかしい。
とはいえ、海楼石に封じられてもルフィでさえ苦戦するカタクリ相手ではアスカが加勢しても足手まといでしかない。
それに勝っても負けても、加勢をされて得た勝敗にどっちも納得しないタイプなのは分かる。
ルフィはカタクリの言葉に言い返すよりも前に拳を突き付けた。
それと同時に、カタクリも拳を突き付け、2人の拳はぶつかり合う。
しかし、すぐにカタクリが蹴りをルフィに入れたため、ルフィは吹き飛んでしまう。
だが、カタクリは内心驚いていた。


(こいつやはり…低確率でおれと同じ未来を見てやがる!)


ルフィと何度も戦ってカタクリはふと気づいた。
確かに、ルフィはカタクリにやられては向かってきてはいるが、少しずつ彼の行動に違和感を感じた。
確率的に低いものの、ルフィの動きが未来を見たそれなのだ。


「もう立つな…お前達の計画はバレてるんだ」

「!」

「『カカオ島に1時』――当然仲間達はカカオ島にたどり着く前に潰される」


カタクリの言葉にアスカもルフィも息を呑む。
アスカが鏡に連れ込まれた後、サンジはケーキを作ることになった。
色々あったらしく、別れたはずのベッジがケーキを『カカオ島』に運び、ナミ達もその島へ向かっているらしく、合流は『カカオ島』となった。
それをブリュレに聞かれてしまい、当然、敵に知られてしまっていた。
カカオ島にはカタクリの兄弟達と、鍛えられた艦隊。
逃げたにせよ勝ったにせよ、ここから出ても、ルフィ達は兄弟全員を相手に逃げなければならない。
問題は母だ。
義父と戦っているであろう母が今どうなっているのかが分からないのが逆に怖い。
母のことだから倒されてはいないだろうが、相手は伝説の1人だ。
かつて海賊王の船に乗っていた、『舜神(しゅんしん)』の名を持つ剣士。
絶対の強さを持つと言っても過言でもない母とはいえ、楽観視はできない。


「だけど…おれは必ず鏡の中から現れる…」


その姿は血と怪我でボロボロ。
息も荒れているルフィの言葉にカタクリは怪訝そうに見つめる。


「お前をブッ飛ばして!アスカを取り戻して!…必ず鏡の中から現れると…あいつらに…!!おれは信じられてる!!」


ルフィの言葉にアスカは息を呑んだ。
ぎゅっと、締め付けられる心と共に両手を握り締める。

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