お風呂から上がったアスカは速攻ベッドに寝かし直されてしまった。
シーツも変えてくれたのか汗臭さはなく、パジャマも何も変えてアスカは久々に気持ちのいい睡眠をとる事が出来た。
しかしそれでも風邪のウイルスは去ってはくれず、まだ微熱が続いたり高熱が出たりと繰り返し、風邪となって5日目となる。
薬も飲み栄養のあるサンジの料理を食べ寝ているというのに、意外としぶといのは普段風邪などを引かないのと、一気に周りの環境が変わったことへのストレスや疲れからだろう。
アスカの体はまだ完全に出来上がっていないのだとフーシャ村の医者に言われた事があったのを思い出しながらアスカはまた何度目かの夢の中へと誘われる。
それから二日…アスカはようやく歩けるまで回復した。
そして、グランドライン二つ目の島―――リトルガーデンにアスカ達は到着した。
しかし、その島の名前とは裏腹にリトルガーデンという島は巨大な植物に覆われたジャングルだった。
島の名前は人がつけるもので、名前を付ける際にはその島の特徴をとらえている物が多い。
しかしこの島は"リトル"という名前とは真逆な島で、途中大きな鳥が飛び立ち、ジャングルの王者とも言える虎が何かに襲われたように傷を負い絶命した場面も見えた。
しかも植物も図鑑で見ることのない珍しい物ばかりで戸惑うしか要素はない。
そのためナミとウソップは船の上で次ぎの島へのログが溜まるまで待機する気満々だったのだが、それを無にする男が約一人…この船にいるのを2人は忘れていた。
「サンジ!!弁当っ!!」
「弁当ォ?」
「ああ!!『海賊弁当』!!―――冒険の匂いがする!!」
その人物こそ、この船の船長であるルフィだった。
ルフィは未知な世界のリトルガーデンに冒険好きの血が騒いでいるのか、わくわくとさせながら弁当の準備をするためキッチンへ消えるサンジにビシッと指を二本立ててみせる。
「2人分な!!おれとアスカの分!!」
「はあ!?ちょっと待ちなさいよルフィ!!あんたアスカも連れてくつもり!?」
「おう!」
「おう!じゃないわよ!!」
「そうだぞルフィ!アスカちゃんは今やっと風邪が治まってきたところなのに悪化させる気か!」
ルフィは当然アスカも連れていくつもりだった。
それをサンジに伝えれば横から頬を引っ張られナミに叱られてしまい、サンジにも却下されてしまう。
ルフィもルフィでまたアスカがベッドに縛られるのは嫌なのか『なにー!?じゃあ連れていくのやめる。』とあっさりと連れ出そうとするのを諦めた。
一連のコントをアスカは見ながらパジャマの上に羽織っている少しずれたカーディガンを羽織直していた。
我関せずなアスカをよそにルフィは未知なる世界への冒険にワクドキさせサンジ特製の弁当を手にジャングルへと入っていこうとする。
そんなルフィをビビが引き留め、カルーと共に気晴らしにルフィと一緒にジャングルに入ってしまった。
2人がいなくなりゾロも散歩がてらジャングルに入ろうとしたのだが、サンジに食料を頼まれ一言多い事を言った。
初対面から反りが合わないらしい2人は結局、どちらが大きな獲物を捕れるか狩り勝負となり…この船には自称非戦闘員と病人しか残っていなかった。
ナミとウソップはお互いを見つめ合い…
「たよりね〜〜」
「それは私のセリフ!!」
今、頼りになる人物がナミ、そしてウソップしかいない事にお互い心細く感じていた。
アスカはまだ能力を見せていないし、能力がウサギなためそれほど強いとは思われていなかった。
実際ルフィやゾロ、サンジよりは弱いだろうが、戦闘員と考えられる力はある程度である。
しかしそれを自慢げに言う性格でもないため、自分を除外している2人を尻目にアスカは喉が渇いたからとナミ達にも飲み物がいるかと聞きそれぞれほしい物を聞いてキッチンに消えた。
「アスカ、あんたそれ飲んだら寝なさいよ」
「なんか寝すぎて眠くないんだけど」
「でもまだ熱っぽいんでしょ?駄目よ、寝なきゃ」
「あんまり寝すぎも駄目だろ…その分筋肉が落ちてんだしちょっとだけなら動いでもいいんじゃないか?激しい運動は避けた方がいいと思うけどな」
「そうかしら…」
キッチンから三つの飲み物を持ってきたアスカは飲み物が乗っているお盆を2人の前に置き、三人はそれぞれ自分がほしい飲み物が入っているコップに手を伸ばす。
ナミは美味しそうに飲むアスカを見つめ、その飲んでいる飲み物を飲み終えたら寝室に戻れと言い出し、アスカはナミの言葉に不機嫌のような表情を浮かべる。
それでも心配性なナミにウソップが助け船を出し、ウソップの言葉も一理あると思ったのか渋々納得しかけるナミにアスカはホッと胸を撫で下ろす。
アスカは長引いてる病気のせいで寂しさもありナミとウソップとの会話がとても久々に思えた。
しかし…
「おいお前達、酒はあるか?」
のほほんとしている三人の前に三人ではなくルフィ達でもない人物が姿を現した。
アスカは背を向けていたから誰だか分からないが、前にいるナミとウソップがありえないほど顔を真っ青にさせアスカの背後…特に上らへんを見て唖然としていた。
それをアスカは怪訝とさせながら後ろへ振り返る。
しかし目の前には真っ赤な色一色しか映らず、アスカは更に不思議に思う。
声をかけてきた人物は返事がないアスカ達に『おい聞いてるのか?』とまた声をかけ、その声が上から聞こえたためアスカは顔をゆっくりと上げる。
そこにいたのは…
「デカ…」
巨人族だった。
70 / 293
← | top | back | →
しおりを挟む