アスカ達は今…巨人であるブロギーの家に招待されていた。
「ガバババ!!さァ焼けたぞ!食え!!」
家、と言っても巨大な何かの骨に住んでいるだけで、雨風がしのげる程度しか機能していない。
だがそれでも雨と風が凌げれば十分なのだろう。
ブロギーに話しかけられた途中、ブロギーの尻に恐竜が噛みつき、ブロギーはその噛みついてきた恐竜を一発で仕留め、その仕留めた恐竜を久々の客人にふるまうため調理していた。
調理と言ってもたき火で焼いただけの肉オンリーだが、ここではごちそうになるのだろう。
ブロギーは小さな客人の前に大きな葉っぱの上に大きな骨付き肉を出したのだが、ナミとウソップは巨人族というものを初めて見たため驚き…というよりは何をされるのか分からない未知からくる恐怖に体を震わせていた。
(おい…見ろ…人の骨だ…)
(分かってるわよォ…!)
「いただきます」
「「…!?」」
チラリと2人が横を見れば、人の頭蓋骨らしい骨が大量に置かれておりそれを見て2人は更に恐怖を煽られる。
だがアスカはそんな二人をよそに差し出された肉をガブリと一口口にした。
それを見てナミもウソップもギョッとさせアスカを見る。
アスカは奴隷時代に巨人族も見ていたためそれほど恐怖はなかった。
正確に言えば、慣れていると言っていいだろう。
アツアツな肉を口いっぱいに頬張り、あのお粥を食べてから食欲が出てきたアスカは美味しそうに目を細めた。
そんなアスカを見てブロギーは満足げに笑い、自分も焼きあがった肉を豪快に齧り付く。
とりあえずアスカが警戒しないという事はそれほど危険人物ではないのだろうと思ったのか、ナミは怯えは残しながらそっと恐る恐る手を上げてブロギーに質問をした。
「ブロギーさん…ひとつ…質問してもいいですか?」
「ん?どうした?娘」
「こ、この島の"ログ"は…どのくらいでたまるんでしょうか…」
「1年だ」
「「〜〜〜ッッ!?」」
ナミが質問したのは、ログの溜まる期間だった。
しかし聞いてみればなんとその期間は1年だという。
それにはナミだけでなくウソップも仰天してしまい、アスカはそんな二人を尻目にもぐもぐと素朴だが美味しい、そしてどこか山賊といた時の事を思い出させる味を堪能していた。
「そういえば…おじさん、ここで一人で暮らしてるの?」
もぐもぐと口いっぱいに肉を頬張っていたアスカだったが、ふと気になったことをブロギーに聞いた。
ブロギーはアスカの問いに首を振って答える。
聞けば、ブロギーの他にも一人の巨人が住んでいるらしい。
その巨人とは昔からの知り合いで、出身であるエルバフという村の掟によって、今、勝負をしているという。
それも100年もの間、ずっと。
全て引き分けに終わっているため、今日にいたるまでこの今で暮らし、もう1人の巨人と戦い、エルバフの神からの審判を受け続けているという。
それをアスカ達に答え終えた時、一番大きな山が大きな音を立て噴火した。
その噴火を見たブロギーは立ち上がり、その島の真ん中に位置するあの山の噴火が決闘の合図だともう1人の巨人と戦うためにアスカ達の前に姿を消した。
「ここからでも見えるんだ…」
「そりゃあの人達巨人族だし…」
姿を消した、とは言ってもアスカ達のいるブロギーの家からでも彼らの決闘は丸見えだった。
島自体はアスカ達の知るサイズのジャングルだが、巨人族にとったらミニチュアのようなもので、アスカの背以上の木々なのだが、巨人族の彼らを見ているとその木々も何だか草むらみたいに見える。
そのためアスカはこの島の"リトルガーデン"という名前の由来に納得がいった。
ここから見える彼らの戦いは想像していたよりもすごかった。
命ギリギリのその決闘に女ゆえのアスカとナミは関心はするがその隙に逃げ出す事を考え、そしてブロギー達と同じ男であるウソップは彼らの誇りに感銘を受けていた。
ウソップが感激して動かなかったため、アスカもナミも逃げ出す事なく戻ってくるブロギーを待っていた。
暫くしてやはり今回も引き分けに終わったのか、しかし満足げな顔をしてブロギーは戻ってくる。
その引き分けの相手に酒を渡し終え、4人はまた話をしていたのだが…今日は火山が活発なのか、また噴火を始めた。
アスカは噴火しても1日一回なのかと勝手に思っていたが、どうやら噴火があればその都度決闘を始めるようで、ブロギーはまた決闘をしに行ってしまった。
ブロギーが相手側にも客人がいるという話しからあちらにはルフィとビビがいると推測し、ナミはブロギーを見送った後、ログが1年で溜まる事をルフィ達と相談しに行こうとした。
巨人族の掟や誇りに感銘を受け、目を輝かせるウソップを引きずりながらナミは森へと入り、アスカもそれに続く。
しかし…
「キャーーー!!恐竜ーーっ!!」
「恐竜〜〜〜ッ!!」
一歩ジャングルに入ればそこはまるで恐竜がいた時代をそのまま残したようだった。
ブロギーとの出会いにも恐竜がいたし、そして目の前にも恐竜がいる。
だから残したような、ではなく、残した島、である。
アスカは逃げ出すウソップとナミに置いて行かれ、目の前の恐竜と対峙していた。
ウソップもナミも肉食の恐竜を目の前に慌てたのかアスカを置いてきた事に気づいておらず、アスカは逃げたナミ達をよそに病人生活が長く溜まったストレスを発散させるように腕をウサギにし思いっきり殴り飛ばした。
それで多少なりともすっきりしたのか清々しい顔をしており、先に行ったであろうルフィ達のところへ行き4人と合流しようとした。
だが、
「…何してんの、ルフィ…」
ブロギーの対戦相手だという巨人の家は案外すぐに見つかった。
ウサギ達に探させたアスカはその家にすぐに向かえば、なんと幼馴染が骨の下敷きになっており、何故かウソップは埋められ顔だけが覗かせている状態だった。
傍にはカルーもおり、カルーもボロボロで2人と一匹はまるで爆発に巻き込まれたように黒焦げであった。
アスカは何があったのか知りえぬその訳の分からない状態の2人に怪訝とさせ、アスカの登場にルフィは『お!アスカ〜!!よく来た!助けてくれ!』と満面の笑みを浮かべた。
助けろと言われて放置するほどアスカは非道ではなく、何がどうして骨の下敷きになったのか、そしてウソップに関してはどうして埋められているのかは分からないがアスカはとりあえずルフィを助けようとくちばしで土を掘ろうとするカルーに退くよう言った。
「カルーはウソップ掘り起こして」
「クエ!」
土を掘ってルフィを下から救出するよりも、掘るならばウソップを掘り起こした方が早い。
それを伝えればカルーはウソップのもとへと駆け寄り、ルフィにしていたようにくちばしで埋められているウソップを掘り起こそうとしはじめる。
それを横目で見送りカルーだけでは時間がかかると思い下僕ウサギを出してカルーの手伝いをさせながらアスカは足だけをウサギ化させる。
その際先ほど恐竜を伸すためにウサギ化した腕も含め、両腕両足のパジャマがビリビリに敗れてしまいアスカの健康的な褐色の肌がすらりと曝け出された。
アスカは少しルフィから離れ、何度かその場で軽くジャンプを繰り返し、そして地面を思いっきり蹴りブロギーと戦っている相手…ドリーの家を蹴り飛ばした。
ドシンと大きな音と振動が響く。
「はい、終了。」
「サンキュー!アスカ!!」
「どう致しまして」
ルフィが起き上がったのと同時にウサギとカルーもウソップを掘り出す事に成功し、ルフィとウソップとカルーはそのまま森へと向かって走ってしまう。
どうやらこうなったのはBWという組織の人間のせいらしく、ルフィとウソップは埋められ黒焦げにされたから怒っているわけではなく、ブロギーとドリーの神聖な決闘を邪魔したから怒り狂っているようである。
「…また熱が上がりそうだけど…まあ、いいか」
やっと微熱も下がり始めたアスカだったが、少し体のダルさが戻ってきたように感じた。
無理をしすぎたのだろうとアスカは思ったが、こんな緊急時に寝てもいられず仕方ないとため息をつきながらルフィ達を追う為に足をウサギにしたまま走って森へと消えた。
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