ミス・ゴールデンウイークは蝋を飛ばされたのを見て、素早くアスカの背後に周りアスカの背中に灰色の絵の具を塗る。
灰色の絵の具を塗られたアスカは表情を怖々とさせ震える体を抱きしめその場にしゃがみ込んでしまった。
「アスカさん!?どうしたの!?」
「あいつ…!!また邪魔をして…!!」
アスカは小さく『怖い』と呟いた。
灰色の絵の具は人の恐怖を与える能力であるようで、アスカは昔を思い出す。
あの…生き物ですらなかった時を…
―鈍間な屑アマス!全く、兄様はどこが良くてこの屑を傍におくアマスか?さっさと犬の餌になればいいアマス!!―
―今日はこいつで遊ぶえ!わちしのオオカミの遊び相手にするえ!!!お前もよく見ておくがいいえ!生き残ったやつには褒美にわちしのサメのオモチャにしてやるえ!―
―天竜人の元奴隷をいい値で買えたのはラッキーだったな…それに子供にしては欲をそそると来たものだ―
―まさか貴族がこんなガキまでに手を出してたとはなぁ…だがガキはガキでもクルもんがあるな―
アスカは奴隷だった時の記憶が繰り返し繰り返し流れる。
人が目の前で無残に死ぬところ、人が悲鳴と分類される声ですら出せず痛み苦しみもがき死んでいくところ。
時には天竜人にやらされ人の首を切り落とし殺した記憶まで掘り起こされていた。
アスカは必死に首を振る。
ヤダ…
ヤダ…やだ
やだ!やだ!やだ!!
誰か助けて!!
パパ!!!!パパ助けて!!!
なんで!?なんで出てくるの!!
なんでお前らが出てくるんだ!!
私はもうお前らに解放されたのにッ!
なんで!!
なんで誰も私を助けてくれないの!!!
パパ!!お姉様!!エース!!!
――――ルフィ!!!
もう奴隷ではないと教えてくれた人たち。
その人達にアスカは助けを求めた。
それは父であり、尊敬している姉であり、兄でもあり、そして……いつも自分の中にいてくれる人でもある。
目をギュッとつぶった瞬間…
「みんな起きろォ!!!」
ルフィの声でアスカは意識が浮上した。
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