(74 / 293) ラビットガール (74)

ゴオオオ、と燃える中にはアスカ達がいた。
動く蝋を取り除いたことに成功したアスカだったが、ミス・ゴールデンウイークに動きを止められ、その隙にMr.3が再び動く蝋を作り直そうとしたのだが、交戦中のルフィにことごとく邪魔されてしまい、結局ウソップが蝋を燃やして溶かしてしまい失敗に終わる。
蝋が熱で溶けやっと動けるようになり、ナミ達は炎から出て来たのだが…アスカの姿はなかった。







「残る敵はあと2人か」


ウソップとゾロがMr.5を倒し、その相方であろうミス・バレンタインは既にアスカに倒され意識不明。
後はカルーとルフィを待つ中ゾロ達だったが、ナミがある事に気付く。


「ねぇアスカは?」

「あ?その辺にいんだろ?」

「…いないわ」

「おい…もしかしてまだ火の中…とかか!?」


周りを見渡してもアスカの姿はなく、ルフィ達を追った様子もなかった事からまだ炎の中にいると推測したウソップの言葉にナミ達は慌てる。
すぐさまナミは傍にいたゾロに燃え滾る炎へ指さす。


「ゾロ!あんた行ってきなさい!!!」

「ったく!」


自分が指名されたのはいささか納得いかないが、流石にあの炎の中にいるアスカを助けないのは気が引けたのか、ゾロが炎へと飛び込もうとする。
だが…炎の中から鞭のようなものが振り回され、その勢いで炎は鎮火した。


「うおっ!!?」

「きゃ!」

「ギャァァー!!」

「な、何!?」


鞭のようなものがゾロを襲い、ゾロは咄嗟に飛び退いてナミ達の所まで戻る。
だが鞭は無作為に振り回しているのか、彼方此方に傷跡を残し、鞭の勢いで炎が消えたおかげであるものが姿を現す。



≪やれやれ…久々に出てこれたと言うのに炎の中とは…ヘビの丸焼きにさせる気かい?≫



それはどくろをまいている大蛇だった。
しかもその大蛇は人の言葉を話していた。
大蛇の突然の登場にもだが、動物が人の言葉を話たことに全員目を丸くさせる。


「な…なに…アレ…」

「ななな何でヘビが喋ってんだ!?」

「アスカは!?まさか食べられたの!?」


大蛇の登場にナミとウソップはゾロを盾にして様子をうかがい、ゾロは刀から決して手を放さずビビは唖然としながらも警戒していた。
そんな4人を大蛇は嘲笑うように喉を鳴らす。


≪ふむ…ここはまた変わったところではあるな……主、ご無事で?≫

「ぷはぁ!熱かった!」

「アスカ!!?」

「ギャーー!!アスカが食われたー!!!」

≪そこの人間、誰でもよい。この方に服を貸してくれぬか?≫

「服?」


何を納得しているのか頷きながら周りを見渡していた大蛇だったが、不意にどくろをまいている己の体を見下ろす。
声を掛けられ、そこからアスカが顔を出し、ナミ達は驚き、更にはそれを見て何故かウソップはアスカが大蛇に食べられたと騒ぐ。
そんなウソップをよそに大蛇はナミ達へ目線を戻し、何か服を貸せと言い出した。
ナミ達は首を傾げていると説明が足りなかったらしい事を気づいた大蛇が目を細め長い舌をチロチロと出しながら説明する。


≪主は裸ゆえに着る物が必要だからのォ≫

「燃えちゃった…」

「それなら私の貸してあげるわ」

「ありがとうビビ」


大蛇の説明にナミ達は納得した。
炎で服が燃えたのは何もアスカだけではないのだ。
ナミはスカートは無事だが上の服が燃え尽き下着だけとなっており、アスカは元から脱いでいたというのもあり、そして下着を着けない主義ゆえに裸になってしまったという。
ビビは2人に比べて服が無事だったため全裸だというアスカに自分の上着を貸そうと脱ぐ。
ビビが脱いだ上着をアスカに渡そうとするが、アスカはビビを待たず全裸だというのに上着を受け取ろうと大蛇から出ようとする。
大蛇の言う通り衣服を身に纏っていないアスカの褐色の肌が全て曝け出され、全裸のまま男がいるというのに出てくるアスカにナミ達は慌てる。


「アスカさん!?」

「あんたなんで出てくんの!?」

「なんでって…服を取りに来たんだけだけど…さすがに全裸は寒い…」

「寒いとか熱いとかの問題じゃないの!女の子がそんな格好で出てくるじゃありません!!戻りなさい!!」

「えー…別に(背中以外)見られても平気だし…減るものじゃないじゃん…」

「あんたね〜!!」


ナミに説教されながらもアスカは聞く耳持たずビビの上着を受け取って着る。
ビビとアスカの身長差はあるため上着は大きいのだが、しかし下が隠せず大事なところが丸見えだった。
それでも平然と仁王立ちし、卑猥な姿なのにその堂々たる態度によって卑猥どころか神々しく光り輝き漢気を醸し出すアスカに誰も欲情はしなかった。
少し後ろにいた大蛇も主と呼んだアスカの所まで移動し、アスカを守るように囲む。
すると、ジャングルでMr.3と戦っていたルフィ達が帰ってきた。


「おーーーい!」

「やっと来たか…」

「みんな無事かーー!―――ってうおおおおおお!!?でっけーーヘビ!!!」


ルフィは集まっているナミ達のところへ駆け寄ってきたのだが、真っ先にアスカを囲っている大蛇に目がつき叫ぶ。
その後ろに続いていたカルーは大蛇という存在に驚きそして怯え気を失うように泡を吹いて倒れた。
そんなカルーなど気づくことなく、叫ぶルフィに大蛇は不機嫌そうに見やる。


≪なんだ、この煩い人間は≫

「喋った!すげえええ!!!」

≪ええい!煩いわ!食うてやろうか!!?≫

「駄目よシュラハテン」

≪チッ…命拾いしたな、人間よ≫


煩い人間の登場に大蛇は鬱陶しそうに口を大きく開け、アスカはそんな大蛇に大蛇の体を撫で宥め大蛇は主の宥めに口をゆっくりと閉じた。
それにナミは首を傾げる。


「そう言えば何なの?このヘビ…アスカを主って言ってるみたいだけど…」

「ん、この子ね、武器で蛇なんだって」

「武器で蛇…?」

「うん。兵器でもあって、生き物なんだって。」

「は?意味わかんないんだけど…」

「さぁ?私もわかんない…でも味方だから安心してね」

「安心って言っても…」


不安げにシュラハテンと呼ばれた大蛇を見上げる。
シュラハテンはすました顔でナミたちを見下ろしていた。

74 / 293
| top | back |
しおりを挟む