どうやら問題が起こったらしい。
あの後ドクトリーヌはチョッパーと部屋を出てって以来戻ってこない。
その際アスカはドクトリーヌに部屋から出るなとしつこく言われ、仕方なく眠るためベッドに横になっていた。
しかし時々争うような音や声が聞こえ、アスカは気になって部屋の窓から様子を伺おうとするも違う場所なのかここからは見えなかった。
アスカは諦めてベッドに横になり事が終わるまで眠っていようと思った時、ルフィが入ってきた。
それも寒いと言いながら腕をさすりながら。
「おーーさみーー!さみーー!服、服、服っ!」
「どうしたの、外。」
「外寒いんだよ。なあおれの服どこいった?」
「違う。外で何やってるか聞いたの」
「ああケンカだよ」
「ふーん…平気?」
「ああ、寝てろよ」
「そう…あんたの服なかったら私の使っていいよ」
「え〜〜っ!!お前のカッコ悪ィじゃんか!」
「あんたのよりマシだと思うんだけど…」
「そうか?まーいいやあったかけりゃ…よーし!あんにゃろぶっ飛ばしてやる邪魔口め!」
「なんだ…何事かと思った」
今までジャケットなどがなくても平気だったルフィがサンジに指摘されてやっと雪の中の寒さを自覚したようで、服を取りに来たらしい。
しかしすでに気を失うように眠っていたためルフィが着ていた服がどれなのかも分からず、ルフィの服が見当たらない様子に自分のを使えばいいと譲った。
女物を嫌がるのは仕方ないが、ルフィは折れたのか掛かっているアスカのジャケットを羽織り部屋を出た。
アスカはルフィの返事に大事ないと思ったのかほっと安堵する。
すると今まで無言を貫いていたシュラハテンが話しかけてきた。
≪主よ、このまま三日もベッドに縛り付けられるおつもりで?≫
「んー…どうしようかなぁって思ったり…アラバスタとビビのこともあるからトンズラしようかな〜って思ったど…でもドクトリーヌ怖いな〜って思ったり…」
≪どうなさるおつもりで?≫
「どうするって……答えもう決まってるじゃん」
≪そうですな。≫
ここに人はいないため、傍から見ればアスカが独り言を話しているように見えるだろう。
アスカはシュラハテンと相談…と言えるかは分からないが結論を付け、そのままベッドを降り適当なコートを羽織りドアから堂々と出ていこうとする。
(このまま三日寝ててもいいけどそれだとアラバスタに間に合わないからトンズラすることに決定だぜ…)
≪まあ主らしいといえば主らいいの…≫
ビビがどんな思いで医者を探そうと決断したのかはアスカには分からない。
だけどアスカはもし自分の立場がビビの立場で、アラバスタがフーシャ村だったら、と考えればビビがどれだけ辛い思いを今もしているかは分かっていた。
だからビビのため、アスカはここで三日も時間を無駄にはできない。
ただでさえ熱でうなされ時間を相当浪費しているというのに。
一刻も早く脱出し、ルフィも敵を倒してここから出ていこうと決めたアスカは周りを見渡し、ドクトリーヌがいないことを確認して外に出たのだが…
「まっはっは!」
「あ?…何あいつ」
雪が降る室内の中、声がして下を見ると見たこともない男が立っていた。
男は大声を上げている時にアスカを視界に収めアスカに気づいたのかギロリとアスカを睨むように見上げる。
「さては麦わらの仲間だなァ…!!?」
「(あれは敵顔…)ううん、全っっ然違う。何のことだか私さっぱりわかんないんだけど。」
「え?そうなのか?」
「そう。私はただの通りすがりのウサギ人間だから。じゃァ。」
「ああ」
顔で敵だと判断しアスカは咄嗟に嘘をついた。
戦えない事はないが、正直ダルさの残る体であの男に勝てる見込みはないと本能的に察知したのだろう。
じゃあ、と言って男に手を上げとっとと男から離れようとするアスカだったが、男は一度見送ろうとしたが何故か柱によじ登ってきた。
「は?」
「ウソつけェェ!!!」
「な、んだとォ!?くそォ〜〜!何故バレた!!!」
(そりゃバレるでしょうに…)
どうやらノリで見送ろうとしたらしく、ルフィ達の仲間だというのは気づいていたようである。
柱をよじ登って追いかけてくる男にアスカは必死に逃げた。
病人を走らせるなんてなんてことさせんだこのオッサン!!と心の中で毒を吐きながらシュラハテンに突っ込まれても突っ込み返す余裕がないアスカは逃げるため階段を下りる。
すると男の大きな体が階段に引っかかってしまった。
しかし男は能力者なのか、自分を食べて階段をバケツのようなものになって降りて来た。
「うわー…バケツ?」
「完了…奇跡の骨格整形術!!おええっ…"スリムアップワポーーール"!!!」
バケツ状態からスリムな身体になった男にアスカは目を丸くする。
そして再びアスカを襲い掛かろうとこちらに向かって来ていた。
アスカはしつこい男に、そして逃げるのもいい加減飽き飽きし、能力を出そうとコートを脱ぐ。
パジャマは仕方ないとあきらめそのまま腕をウサギ化し、突進してくる男を受け止めようとした。
しかし…
「見っけ!」
「!―――ルフィ!」
アスカが腕をウサギ化するよりも早く、男の顔をルフィが足を延ばして蹴り飛ばした。
アスカは目の前にあっという間に消える男に目を丸くしたが、ルフィの姿に納得したように表情を戻した。
ルフィはアスカに歩み寄りながら今まで戦ってきた男があれほど細かったのかと首を傾げて見せる。
「あり?あいつあんなに細かったかな…」
「あーー!!!私のジャケット!!!」
「あ…ごめん!」
「もー!それナミが買ったやつだよ!!」
アスカはルフィの姿にほっと安堵したが、貸したジャケットがボロボロとなっておりアスカは助けてもらったお礼よりもそれが目にいってしまう。
それもそのはずである…そのジャケットはナミがローグタウンでアスカとお揃いで買ったものなのだから。
アスカはオシャレには興味がないためルフィに貸した瞬間から無事に帰ってくるとは思っていなかったが、正直覚悟をしていてもナミに怒られるのだけはごめんなのだ。
何だかんだ言ってあの船の中の頂点はナミが立っているのだから。
なので、チョップを食らわすだけで許す。
そうこうしているとルフィに吹き飛ばされた男が復活した。
「まっはっはっはっは!!そこまでだ貴様ら!!!」
「げ、本当ジョーブだなあいつ…」
男はルフィに吹き飛ばされたにも関わらずピンピンしており、後ろにあった大きな扉に手をかける。
「なんとここは"武器庫"だ!!!鍵はおれのみが持っている!!この中には当然ありとあらゆる武器が揃えつてあるわけだ!!それらをこのおれが全て食い尽くし!"バクバク食"で体の一部にした時!!貴様らは世にも恐ろしい"人間兵器"を目の当たりにすることとなるのだ!!!」
男がそう声をあげるが肝心の鍵がない。
その場に沈黙が落ちる。
「…………」
「…………」
「…………」
「いや!まだだ!奥の手はもう一つあるぞっ!!!」
「あ!逃げた!!待て!!!」
マズイと思ったのか、それが顔にデカデカと書かれており、しかし男は次の手を思い付き素早くルフィ達から逃げるようにどこかへ向かい、ルフィが追いかける。
それを見送っているとすれ違いに這いながらサンジがやってきた。
「アスカちゃん!平気か!!?」
「
サンジこそ平気か」
歩けないほどの怪我を負いながらも病気で寝込んでいるアスカを心配してここまで来たらしいサンジにアスカは遠慮なく突っ込み、サンジを見下ろしているとアスカの目にキラリと何かが光ったのが見えた。
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