(82 / 293) ラビットガール (82)

あれからルフィが男…この国を恐怖で支配していたワポルを倒して終わった。
アスカは騒ぎに乗じて逃げ出そうとサンジと一緒に隠れながら正門に辿り着く。
するとゾロもウソップもビビもナミも全員集合しているのが見えた。


(なんだ、みんな居るじゃん…)

(っていうかあのクソゴム、本当にあのシカを仲間にする気か?)

(そうなんじゃない?というかシカじゃなくてトナカイだって。)


直ぐ傍にドクトリーヌがいるため2人は小声になり、会話をするためには隣にいるサンジに近づかなければならず、サンジは内心ウハウハだった。


「おいお前達っ!!」

「うゲゲゲェっ!!ド…ドド…ドド…ド……ド…!!Dr.くれは!!!」

「ハッピーかい?そのケガ人を連れて病室へ入んな!!一人残らずだ!」

「は…はいっ!!」


ドクトリーヌの言葉に後から来た民衆に指示する。
それをアスカは見送ろうとした。

(アスカちゃん、病気はちゃんと治してもらった方がいいぜ)

(駄目。今逃げ出さなきゃアラバスタへの出航があと2日も遅れちゃうし)

「お前達も病室へ戻んな!!!」

「「ギャーーーーーーっ!!!」」


しかし、最初からドクトリーヌにはアスカ達の気配がバレていたらしい。







そしてアスカは結局ドクトリーヌによって強制的にベッドに寝かせられた。


「うげアガガラガバババ!!!あ゙あ゙あ゙あ゙!!」


治療のはずなのにサンジの断末魔に似た叫びに皆怯える中、アスカはサンジの悲鳴をBGMにムスッと不機嫌に頬を膨らませていた。


「……なぜバレた…完璧だったはずだったのに…」

「逃げ出そうとするからバチが当たったのよ!」

「まだ熱も平熱になってないんだし…危ないわ!」

「うぅ…なぜ説教されるんだ…」


ベッドの脇には合流した口うr…心配性なナミとビビがアスカが逃げ出さないように監視していた。
まったく!、と呆れるナミと心配性なビビの言葉にアスカは返す言葉もなかった。
しかしすぐに気を取り戻しウルウルとうるんだ目でナミを見上げる。


「でもナミ…アラバスタには一日でも遅れちゃだめなんでしょ?」


アスカはうるうると涙を溜め、ナミを上目使いで見つめる。
幼げな顔つきのアスカのそれは効果てきめんで、ナミは勿論傍にいたビビも心が折れそうになった。
だが完全に折れる前にドクトリーヌが来てしまいアスカはバレて怒られる前に口を閉じた。
勿論、心の中で舌打ちをして。


「ヒッヒッヒ やっぱり悪化してたよ 無理するからさ…ドルトン…この城の"武器庫"の鍵ってのはどこにあるんだい、知ってるね?」

「武器庫…なぜあなたがそんなものを…」

「どうしようとあたしの勝手さね」

「あの鍵は昔からワポルが携帯していたのでずっとそうなら…ワポルと一緒に空へ…」

「なに本当かい?困ったね…」


どこか考え込むようなドクトリーヌとドルトンの会話を聞いていたアスカはナミに言ってアスカが来ていたコートのポケットを探ってもらいある物を2人に見せた。
それはワポルが携帯しているはずの武器庫の鍵だった。
あの後、サンジの傍に落ちていたのをアスカが見つけ、何だか分からないが拾ったものがカギだから後でドクトリーヌに渡そうと持っていたようである。
それがまさかこんなところで役に立てるとはアスカも思ってもみなかっただろう。


「鍵ってコレの事?」

「!!…あぁ、それだ…なぜ君がそれを…?」

「落ちてた。」


アスカは驚くドルトンをよそに、鍵を欲しがっているドクトリーヌに鍵を見せ、さる条件を出す。


「すぐ退院するのを条件にあげてもいいけど、どうする?」

「アスカ!あんた何言ってんのよ!」

「そうよアスカさん!ちゃんと診てもらわないきゃ…」

「そうよ!!アスカ!三人の治療代をタダにするのが抜けてるわよ!」

「違うでしょ!ナミさんっ!!」

「大丈夫よ。どうせルフィが医者を乗せるんだもん。治療なら船でも出来るわ」

「「医者…?」」


アスカはこの鍵を渡す代わりに今すぐ退院をさせろと言う。
そんな無茶振りにビビはちゃんと治療をしてからと言いかけたが、相変わらずお金に煩いナミのボケ(とはナミ本人は思っていないだろ)に突っ込んだ。
その間もアスカとドクトリーヌは睨み合い、そして…


「このあたしに条件をつきつけるとはいい度胸だ。ホンットに呆れた小娘だよお前は……いいだろう治療代はいらないよ。ただしそれだけさ!もう一方の条件はのめないね、医者として!」


溜息をつきその条件を蹴り素早くアスカから鍵を取り上げ、武器庫へ行くのか上着を取りはおる。
アスカはドクトリーヌに鍵を取られ慌てる。


「ちょっと!それじゃ鍵は渡せない!返して!!」

「いいかい小娘!あたしはこれからちょっと下に用事があって部屋をあけるよ。奥の部屋にあたしのコートが入ってるタンスがあるし、別に誰を見張りにつけてるわけでもない。それに背骨の若僧の治療はもう終わってるんだがいいね、決して 逃げ出すんじゃないよ!!あとこれは余計なお世話だがお前さんの言う"医者"には"アレ"を言っておいた方がいい!………お前達ちょっと来な!力仕事だ」

「は……はい!!!」


ドクトリーヌは返せというアスカの言葉を無視し指さしながらそう言いきると男達を連れ出しどこかへ消えてしまった。
ここには怪我を負ったドルトンと、アスカ達しかおらず、アスカ達は唖然とドクトリーヌと男達を見送った。


「…コート着てサンジ連れて今のうちに逃げ出せってさ…」

「私にも…そう聞こえた」

「………………」


ビビとナミはドクトリーヌの言葉の裏にある意味を読み取り、お互いを見合う。
だがアスカだけは難しい表情を浮かべ、黙り込んでいた。

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