(83 / 293) ラビットガール (83)

ドクトリーヌから許可を貰い早速ナミとビビとアスカは身支度をする。
病人のアスカはベッドで座って二人が支度するのを待っていた。
ナミが過保護でアスカは見てるだけしかなかったがあっという間にアスカの体は暖かな物に包まれる。


「サンジくん、気絶してるわね…」

「どうやって連れて行こうかしら…」

「足掴めば?」

「「は?」」

「だから足を掴んで引っ張ればいいんじゃない?下は雪だから怪我ないと思う」

「怪我はないけど凍傷に…」

「それいいアイディアだわ!アスカ!!」

「えぇ!!?」


治療のせいで瀕死で気絶しているサンジをどうしようかと話し合っているとアスカが横から口を出してきた。
ビビとしては怪我というよりは凍傷が気になる運び方だったが、ナミが乗り気の上、もうそれしか女の手で運べる方法がないと仕方なく承諾し、それぞれナミとビビが片方ずつ足を掴んで引きずる事にした。
アスカはその三人の後を歩く。







外に出るとやはりルフィがチョッパーを勧誘している最中だった。


「…無理だよ…」

「無理じゃねェさ!!!楽しいのにっ!!!」

「おれは…お前達に… 感謝してるんだ!!!」


チョッパーはルフィからの誘いに戸惑いながらも断ろうとする。
その2人のやりとりを全員が見つめていた。


「だっておれは…トナカイだ!!角だって…蹄だってあるし…!青っ鼻だし……!!!」

「………………」


チョッパーの言葉にアスカはドクトリーヌの言葉を思い出す。
それはチョッパーの心の傷をアスカ達が癒せるのかという言葉。
アスカはそれを"自分"は無理だと断言した。
だって、アスカは今だって人を恨んでいる。
そんな人がどうやってチョッパーを癒してやれるというのだろうか。
出来て傷の舐め合いが限度だろう。
だけど傷の舐め合いでも気休めにはなるだろうが、決してチョッパーの傷を完全に塞いで癒してはやれないのだ。
アスカはチョッパーを見る。
本当はチョッパーだって海賊に興味あるし、ルフィの言葉はとても嬉しいのだろう。
でも、やはり過去が彼を前に進むことを拒ませていた。


「そりゃ…海賊にはなりたいけどさ…!!おれは"人間"の仲間でもないんだぞ!!バケモノだし…!!おれなんかお前らの仲間にはなれねェよ!!!…だから…お礼を言いにきたんだ!!誘ってくれてありがとう…おれはここに残るけどいつかまたさ…気が向いたらここへ…」


チョッパーは本当はすごくいきたいと言いたいのを我慢し、彼らを見送ろうとした。
お礼を言いに来たと言い断ろうとした。
しかし…


うるせェ!!!いこう!!!!


腹からの声にチョッパーは言いかけた言葉を止めた。
アスカはそれを見てもう見守るのをやめ、ふと笑う。
もうこの先どうなるか読んでいたのだろう。

ルフィの手をチョッパーは取り、そして…―――仲間がまた一人、増えた。

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