新たな仲間にルフィ達は浮かれ、そのまま宴を始めた。
病人のアスカはナミとサンジから寝ていろと心配されたが、のけ者にするの!?というアスカのウルウル攻撃に負けてしまう。
それに今は医師であるチョッパーがいるのだ。
チョッパーも本当は寝ててほしいと最初にアスカに伝えたが、アスカの気持ちを汲んでくれた。
何かあればすぐに部屋に戻るという約束をしてアスカは騒ぐルフィとウソップを見て久々に大笑いした。
「ねえ、ビビ」
この船に船医がおらず、ドラム王国でしっかりとした治療をしたおかげか、アスカの体調はよくなっており体もどこか軽い気がいた。
それは精神的な物なのだろうが、アスカはゾロのせいで凍り付いていたカルーの体を布越しで擦って温めてやるビビに歩みよりビビの隣にしゃがみ込んだ。
ビビはアスカに名前を呼ばれ、『ん?』と彼女らしい優しい微笑みを浮かべアスカへ振り向いてくれた。
「あの、さ…えっと……ビビ、ごめんね…」
「え?」
アスカはずっとビビに謝りたかった。
それはアスカの熱のせいで大分アラバスタから遠ざかってしまったからである。
自分の風邪と国民の命…どちらが大事かと言われれば国民の命が第一と考えるのが姫の役目である。
それをビビは一人の…それも海賊で自国の人間ではない自分を助けてくれた。
その決断はビビにとって心苦しいものだったのだろう。
どれだけ苦しんだのだろう。
それを思うとアスカはビビに対して申し訳なく思ってしまう。
それを伝えればビビは目をぱちくりとさせていたが、すぐに笑みを浮かべた。
「アスカさん…もしもあなたが私の立場で、私があなたの立場だったら…あなたならどうする?」
「え…そりゃ…"仲間"の命を助けて、一緒に国を助ける…だって、ビビ、仲間だもん」
ビビに問われアスカはキョトンとさせ、アスカは答えながら『あ』と声を零す。
ビビが何が言いたいのか、分かったようである。
ビビは確かに苦痛の選択を迫られていた。
だけどどちらも大事だからビビは順番を決めた。
まず今救えるアスカの命を救ってから、国民の命を救おうとした。
こうしている合間にも国民達の命は失われていっているのだろうけれど、だけど、ビビはやはり目の前で死にそうになっている人を見捨てることはできなかったのだ。
アスカがそれに気づいてくれたことを察したビビは照れたように頬をかくアスカに笑みを深めた。
「ビビ、ありがとう」
そしてアスカは謝罪ではなく、ビビにお礼を言った。
そのお礼にビビはアスカの頭を撫でてあげることでお返しをした。
ビビに言いたいことも言って、ビビの心も知ったアスカは気が晴れたおかげか、先ほどより体のダルさが減った気がした。
しかしだからと言って無理は出来ず、じっとみんなよりもあたたかな恰好をして暖かい飲み物を飲んでいるとルフィが隣に座り、突然アスカの脇に手を差し入れそのまま持ち上げて胡坐をかいた自分の足の上に乗せる。
それに一瞬凍り付いたように静まり返ったナミ達だったが、ここ最近で慣れたのかいつもの事かと何事もなかったように騒ぐのを開始する。
アスカも慣れており、突然の後ろから抱きかかえるように座らされたアスカは後ろから腰に腕を回すルフィに振り向く。
振り向いたルフィの顔はムスッとしており機嫌が悪いのだと一発で分かる。
「なに」
「……アスカは嘘つきだ!」
「はあ?なに、急に…風邪をひくなって約束の事?あんなん無理じゃん」
「お前、1人にするなとか言ってただろ!!なのに自分が死ぬとか勝手だ!」
ルフィの言葉にアスカは不服そうな顔をしたが、続けた言葉にグッと言葉を詰まらせる。
アスカは幼い頃一人は嫌だと言った。
確かに言い、不可抗力とはいえ高熱を出し死の一歩手前の状態になったアスカは嘘をついているのと同じだった。
うぐ、と返す言葉もないアスカにルフィはムスッとしたままの表情で腰に腕を回したまま立ち上がりアスカを抱き上げる。
「ち、ちょっと…!ルフィ!?」
「だから治るまで外に出るの禁止!」
「はあ!?ちょっと待ってよ!!私もう治って…はないけど…治りかけだから安静にしなくてもいいの!!」
「んなもん知るか!!」
「ルフィの横暴!!バカ!!」
「うっせェー!!アスカのバーーカ!!」
「バカって言った方がバカだってエースが言ってたもん!!」
「おめーが最初に言ったんだからおめーがバカだ!!バーカバーカ!!」
「うるさいわよ!!あんたたち!!部屋に行くなら行くでさっさと行きなさい!!」
後ろから抱き付くように抱きかかえられルフィの力で宙に浮いている状態のアスカはルフィの横暴さに頭に来た。
ルフィもルフィでそれに返し、2人はその場で子供じみた喧嘩を始める。
バカしか言っていない2人の子供の喧嘩に放っておいたナミが叱りつけ、ルフィもアスカもナミのお叱りに口を閉ざす。
ルフィは叱られ不貞腐れながらそのままアスカを部屋へと連れていき姿を消した。
ムスッとさせるルフィにナミは溜め息をつき頭痛がするのか頭を抱える。
「まったく!!なんであの2人はああなのかしら!」
「普段信じられんぐらい仲良いからなァ…あの子供じみた喧嘩も仲がいい証拠だろ?気にしたってしゃーねェよ」
普段イチャイチャするほど仲がいい癖にいざ喧嘩になると子供じみた喧嘩が多い2人にナミは呆れてしまう。
ビビもそんな二人に慣れ、たった今仲間になったチョッパーは2人の喧嘩にオロオロとしていたが、それ以外のメンバーはいつもの事だと気にもしていない。
ウソップの言葉に『分かってるわよ』と返しながらナミは持っていたコップに入っているお酒を一気に飲み干した。
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