ミコトはクロコダイルと一方的に話した後、この国の気温等で流した汗や砂だらけの体を流すためクロコダイルにシャワー室を借りる事にした。
「シャワー室、借りますわね」
『覗いちゃ駄目よ?』と言い残しミコトは姿を消し、ミコトの姿が消えた瞬間クロコダイルは座っていた椅子の背もたれに体を預ける。
どうもあの女は苦手だ。と額に手をやり、どっと強い疲れがクロコダイルを襲う。
「何考えてやがるんだ、あの女は…」
クロコダイルは自分の計画を知っている海軍の考えてる事が分からなかった。
ミコトは自分の計画を知っても上に報告せず、自分を止めることもなく、協力する気もなく、弱みに付け込むという事もない。
何か裏があるのか、それとも純粋に自分を好いているのか…
クロコダイルは考えれば考える程ミコトの事が分からなくなっていく。
シャワー室から鼻歌が聞こえ、クロコダイルはそちらに目をやる。
(薄気味悪い女だ…)
クロコダイルとて七武海…そこら辺の雑魚とは違い強い。
だがミコトを襲うという事は決してない。
情が移った、ではなく、本気であの女を消そうとすればこちらとて色々と無くすのを覚悟しなければならないからだ。
それほどミコトは強い。
あの若さで大将の座についているのがその証拠である。
海軍の中ではコネを使って昇任するものもいるが、それも限度がある。
いくら甘いからと言って海軍の最高戦力をコネで決める事は決してない。
クロコダイルは女の事を陰でコネだコネだと抜かす輩がいるのを知っており、その蔭口には賛同しない。
むしろ陰口を言うしか能がないのか、と僻んでいる輩を見下していた。
実力があるからこそミコトは海軍の最高戦力の一人になったのだ。
ミコトが大将黒蝶であるのは彼女の実力の物である。
クロコダイルはミコトを嫌っているが、実力だけは買っていた。
だからこそ安易に消すという面倒な手段は出さない。
しかし何も反応がないというのも気味が悪いのもまた事実である。
そう考えていたら背中に暖かく柔らかいモノが当たる。
「クロちゃーん!考え事?」
「…………」
柔らかいモノの正体はミコトの胸だった。
ブラジャーも何も付けず、クロコダイルのシャツだけを着てあがったのだろう。
まだ髪の毛は濡れていた。
クロコダイルはそのままミコトにタオルを渡し、髪を拭くように言う。
ミコトはご機嫌に髪を拭く。
勿論、クロコダイルの膝の上で。
クロコダイルは文句言っても止めないミコトに諦めていた。
「おい…」
「なあに?」
膝の上に乗っているミコトを見ていたクロコダイルは長年思っていたことを聞く事にした。
「てめェは海軍だろ?」
「えぇ、海軍ですわ」
「そして大将だ。」
「えぇ、大将です」
ミコトはクロコダイルに振り返り『それが何か?』と首を傾げる。
普通ならその仕草で男も女も落ちるが生憎、クロコダイルはミコトを一度も女としてみた事はなかったので落ちなかった。
「なら何でおれのすることを黙って見ている」
「?」
「おれの計画だ。てめェは最初からおれの計画を知っているのにも関わらず上に報告する事もせず自分でおれを倒そうともせず何もしない。……何故だ」
「……………」
「てめェならおれなんて暇つぶしにもならねぇだろ?」
クロコダイルの質問にミコトは口を閉ざした。
そしてじっとクロコダイルの目を見つめていたミコトだったが、クロコダイルが言いたいことを言い終えた後、目を細めて微笑み、ミコトの笑みにクロコダイルは怪訝とさせる。
「馬鹿ねェ、クロちゃんは」
「ばッ…!?」
黙っていたミコトから出た言葉にクロコダイルは心外だと言わんばかりに睨む。
そんなクロコダイルにミコトは体を反転させクロコダイルと向き合うように座り、クロコダイルの両頬を手で包むように触れ、笑みを深める。
「黙ってるのはね、どうでもいいのよ」
「……………」
「貴方が何をやるかはどうでもいいの…この国がどうなろうとわたくしには関係ないもの」
一瞬、ミコトの言葉がクロコダイルには理解できなかった。
ミコトは海軍であり、その海軍の最高戦力である。
それなのにミコトから出た言葉は『どうでもいい』だった。
だからクロコダイルは一瞬呆気に取られたが、海軍とも思えない言葉に鼻で笑う。
「ハッ!正義を掲げる海軍の言う事じゃねェな!」
「まあ、そうね…わたくしは元々正義に憧れて入ったわけじゃないもの…元々海軍なんて興味がなかったわ……それにどちらかと言えばわたくしの考えは海賊側に近いの」
「そうだろうな…」
「だけど、クロちゃんを気に入ってるのは本当よ?手伝ってあげたいぐらい!」
「いらねェな、てめぇの手助けなんて」
どうでもいい、わけではない。
ただ、ここでクロコダイルを逮捕すると色々と変わるから傍観すると決めただけである。
それに、ミコトは海軍に憧れて入ったわけではない。
海兵なんて正義に憧れて入ったようなものだと思っていたクロコダイルは当然ミコトもその一人だと思っていた。
ミコトの祖父はあの拳骨のガープなため祖父の影響だと思っていたのだろう。
だが、実際はミコトは海軍に祖父、そして弟達が海賊でなければ今頃村娘になっていただろう。
ミコトが海軍に入った理由はミコトにしか分からない。
読めない女だからこそ、クロコダイルは疑問に感じ、そして警戒する。
目の前の女に正義があろうがなかろうが、鬱陶しいの変わらない。
クロコダイルは不機嫌そうに顔しかめ、ミコトの手を払いさっさと降りるように言うとしたとき、ノックが聞こえ扉が開く。
「サー、お電話が……」
「…………」
「…………」
入って来たのはB・W副社長のロビンだった。
しかしタイミング悪く、ロビンの目の前には高級な椅子に座っているクロコダイルの膝の上に座る男物の、どう見てもクロコダイルのシャツだけを着ているミコトがセクシーな事に足を露出させていた。
「…お邪魔みたいね、ごめんなさい?」
「ま、待て!!!」
ロビンは気を利かせ退室しようとしたがそれをクロコダイルがとめる。
そしてさっさとミコトに着替えるようにいい、ロビンに見送ってもらえと伝え電話に出る。
クロコダイルの膝の上から降ろされたミコトはプクーと頬を膨らませるが仕方なく着替える。
目の前にクロコダイルが居るのに全裸になるのでロビンはますます誤解してしまう。
「お待たせしましたわ」
着替え終わりミコトはロビンの所へ行き、クロコダイルの部屋へ出る。
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