(94 / 293) ラビットガール (94)

アスカがいる部屋に海水がどんどん入り込む。
それはクロコダイルが仕掛けたモノで、長い年月をかけて練ってきた作戦が成功すればB・Wの社長は不要。
その為に一時間後この部屋は海に沈む仕掛けとなっていた。
何度も能力を使ってユバに砂嵐を起こし、社員を使い国王軍濫行、そして…ボン・クレーを使って父王であるコブラを演じ民に手を上げた。
クロコダイルはビビを何の力もない王女と罵り嗤った。
ビビは最後までクロコダイルに傷一つつけることができないままクロコダイルの背中を見送るしかできなかった。


「あああああ!水が〜〜〜〜っ!!!」

「死ぬーーッ!!死ぬーーッ!!ぎゃあーー!!」


檻の鍵は細身の男が持っていたようだが、その鍵は今、バナナワニという獰猛な巨大なワニの腹の中だった。
細身の男はその鍵を床に落とし、本来ならその鍵は床に転がるのだがパカリと床に仕掛け扉が開きその中に落としたのだ。
しかも落とした部屋はバナナワニの巣だったようで、ぱくりとバナナワニが鍵を食べてしまったという事である。
ビビもバナナワニ相手に戦ってくれていたが、ビビとでは勝ち目がなく、ビビは後ろ髪を惹かれる思いで助けを呼ぶため外へと出ている。
ビビを待っている間も海水は容赦なく入ってきており、能力者であるルフィは大きな声で叫び、ビビリのウソップもまた恐怖に泣き叫ぶ。
反対にウソップとルフィは大騒ぎする中、スモーカー、ゾロ、アスカは慌てる事なく檻の中でじっとしていた。


「こらーっ!!バカワニー!!かかって来なさーい!!!」


するとナミが突然怒り出しウソップはナミの行動にギョッとさせる。


「ぬおっ!どうしたナミっ!!」

「あいつらを怒らせてこの檻を噛み砕かせるのよ!!」

「なるほど名案だ!!!」

「かかって来いバカバナナーーっ!!!」

「や!違うだろ!!だからあいつは基本はワニでその頭にバナナがな…例えばモンキーダンスってあるだろモンキーは動物だけどモンキーダンスは踊りでよ…」

「ワニもバナナも食い物じゃねェか」

「来たーーっ!!!」


くだらない事を言い始めるウソップとルフィを余所に、三人の挑発(?)にバナナワニはこちらに向かってくる。
だが、檻に歯を立てるが、海楼石で出来た檻は頑丈で、バナナワニの歯は粉々に割れてしまった。
それを見た三人は絶望する。


「おい、お前ら…」

「何でてめェそんな余裕なんだよ!!っていうか何でアスカも冷静なんだ!?」

「お前らも何か方法を考えろよ!!」


慌てふためく三人にスモーカーが話しかける。
その姿が余裕すぎてウソップは敵ながらも思わず突っ込んでしまった。
それを無視しスモーカーは話しかけ、そんなスモーカーをアスカは横目で見ていた。
すでに海水が太ももまで来ており、誰よりも海に弱いアスカは体操座りして海水に触れないよう気を付けていた。
それはスモーカーも同じで、スモーカーは胡坐をかいて海水に触れないようにしている。


「お前らどこまで知ってるんだ…クロコダイルは何を狙っている…!!」

「?」

「クロコダイルの傍らにいた女…世界政府が20年追い続けてる賞金首だ。額は確か7千万を超えている…男は世界政府が危険視している者の一人だ…額は8千万近い。」

「な!!…7千万と8千万近く!!?…だ!!…と!?そ…それがどうした!!?」

「クロコダイルと変わらない額…」


スモーカーは海兵という事で海賊の事は全てではないが把握している。
女は7千万の賞金首、そして細身の男も8千万という賞金首だった。
スモーカーの言う額に度肝を抜かされるナミとウソップを無視し、スモーカーは続ける。


「あの三人が手を組んだ時点でこいつはもうただの国取りじゃねェ…放っときゃ世界中を巻き込む大事件にさえ発展しかねェってことだ。」

「世界……」

「世界ですって!?どういうこと!?」

「そりゃちょっと話がデカすぎ…」


ナミ達はただビビを助けるために手を貸した。
それが世界を巻き込んだ大事件と言われ言葉を失ってしまう。
しかしそんなクルーたちを余所にルフィは淡々とした声を零し、誰もがルフィへ目をやる。


「…何言ってんだお前ら」


ルフィを見ればルフィは腕を組んでスモーカーの言葉に驚愕するアスカ達を見る。


「あいつをぶっ飛ばすのに…!!そんな理由いらねェよ!!!」

「……そうか」


ルフィの言葉に納得したのか、してないのか…分からないがスモーカーはそう零しこれ以上その話題に触れることはなかった。
アスカは話しも終わったと体操座りをしつつ下の水を見つめ、周りを見渡した。


「…で、ここをどう抜けるの?」

「太ももまで来てるぞ!!うおおおッ!!!」

「死ぬーっ!死ぬーっ!ギャーーー!!ギャーーー!!」

「いや〜〜!!」


アスカの言葉に思い出したかのように騒げ出す面々。
そこに、聞き覚えのある声が響く。


「食事中は極力音を立てません様に…"反行儀キックコース"!!!」



アスカはその声に聞き覚えがあった。
水面から視線を上げたその瞬間…バナナワニが吹き飛んだ。
突然の事に誰もが唖然としている中…


「オッス、待ったか?」


バナナワニを吹き飛ばした声の主…サンジが現れその背後に蹴り上げて吹き飛ばされたバナナワニが水しぶきを立てながら落ちていくのが見えた。


「「プリンス〜〜〜〜!!!」」

「バカやってねェでさっさと鍵を探せ!!!」

「よかった…!」

「ナミさーん!アスカちゅわーん!ホ…ホレた?」

「うん、惚れた惚れた。」

「はいはい惚れたからさっさとここ開けて!!」

「ア〜〜イ!!」

「果てしなきバカだなあいつは」


かっこよく登場してもサンジはサンジ。
せっかくかっこよく決めていたのに視界にナミとアスカを見つけるとクネクネとハートを飛ばすいつものサンジに戻ってしまった。
ナミもアスカも相変わらずのサンジに適当に返すが、サンジ本人は気にしていないようだった。
しかしいつまでも呑気ではいられるわけもなく、バナナワニが次々と入ってくる。


「行けー!サンジ全部ブッ飛ばしてくれェ!!」

「っか〜〜!出て来やがった次々と…!!」

「何本でも房になってかかって来いよクソバナナ!レディーに手を出す様な行儀の悪ィ奴らには片っ端からテーブルマナーを叩き込んでやる…!!」


サンジは足を高く上げる。
そんなサンジにウソップは秒殺しろと無茶を言うが、ナミとアスカ、そしてサンジを連れて来てくれたビビが見ている中、更にはアスカとナミがピンチだという状況からサンジなら出来そうで怖い。


「今…三番目に部屋に入って来た奴を仕留めろ」

「え?」

「何だ!!?お前わかんのか?」

「てめェらの耳は飾りか?」

「今の声、カギを食べた子と唸り声が同じ声だったよ…そうでしょ?ケムリン」

「………その名前やめろ」

「何で?ケムリン

「………わざとか?」

「何が?ケムリン。

「………………」

「………………」


スモーカーは大喜びする海賊達を余所にポツリと呟いた。
その呟きはちゃんとルフィ達が拾い、鳴き声で分かるのかというルフィに面倒くさそうに口を開きかけたが、アスカにセリフを奪われてしまった。
更には変なあだ名で呼ばれスモーカーの額には青筋が浮かぶ。
アスカとスモーカー…静かな戦いを繰り広げている間にその三番目に入ってきたというバナナワニをサンジが仕留めたのだが――――…
出てきたのは干からびた男…―――Mr.3だった。

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