(116 / 158) 浦原娘主 (116)

藍染達がついた先は何もないところだった。
真っ白で何もない部屋。
真由美は此処に閉じ込められるのかと思い藍染を睨みつける。


「…ついてくれば分かるというのは私をここに閉じ込めるという事か…!?」

「勘違いしないでくれたまえ。君を閉じ込めるなんて私には出来ない。」

「何をふざけたことを…!」

「もし君を閉じ込めたり傷を負わしたら私は殺されるだろうからね…」

「殺される…?」


真由美は首を傾げ藍染を見つめる。
すると藍染達は跪く。
それに戸惑う真由美に誰かが後ろから抱き締めてくる。


「姉さん」

「………え…」


聞き覚えのない声に真由美は固まる。
その人物の霊圧に息がつまり身体は振るえ立っていられない。
今、後ろで抱きついてくる人物に支えられている状態だった。


「わっ!」


真由美は急に浮遊感を感じて腕にしがみ付く。


「ちょ、ちょっと…ヤダ…!!」


その高さに真由美は驚く。
抱きついた人物は意外と長身らしい。


「そんなに暴れないでよ、姉さん」

「誰…なの!!」

「秋斗だよ、姉さん…」


秋斗、真由美はその名前に聞き覚えがあった。
真由美はゆっくりと振り向く。


そこには顔が整っている男の顔だった。
髪は黒だが毛先が赤い。
瞳はオッドアイで猫のような瞳だった。


「知らない…あなたなんて…私は…」

「…うん、僕も貴方を知らない。…だけど分かるよ。貴方は僕の姉さんだ…ずっと会いたかった姉さんだ…」

「……なにを…」


その男は真由美の首に顔を埋める。


「ずっと探してた…ずっと…やっと姉さんと共に生きていける…姉さん、僕がどんなに会いたかったか、分かる?」

「………分からないわよ…あんたなんて知らないもの…」

「まだ僕が秋斗だって信じないの?」

「信じるも何も…」

「小学校1年のとき、姉さんは家に帰りたくなって号泣してたでしょ。」

「な…!?」

「それと小4のとき運動会のときみんなの前で大こけして笑われて暫らくトラウマになったり…」

「ちょ、ま…」

「あぁ、最近なら中学校の頃告白する人を間違えた挙句振られ…」

「ストーーップ!!!!なんであんたがそれを知ってんの!?」

「だから、僕は姉さんの弟の秋斗だって言ってるじゃん。」


真由美は人生の黒歴史の一部を美形青年に告げられその男の口を手で塞ぐ。
苦笑いして抱き上げてる真由美を見つめる。


「ほ、本当に…秋斗なの…?」

「うん。」


やっと信じる気になった姉に男…秋斗は上機嫌だった。
そして突然表情を無くし跪いている藍染達を見下ろす。


「ご苦労だったな、死神達よ。」

「…いえ。」

「約束通り虚圏を好きに使うがよい。…我が兵士達も好きに使え。」

「ありがたき幸せ…」


秋斗は藍染達に興味を無くしたのか部屋を出て行く。
後ろでは藍染が見つめていた。

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