(118 / 158) 浦原娘主 (118)

「ねぇ、秋斗。」

「なんだい、姉さん」


私と秋斗は寝る準備が終わるまで待っていた。
だが私は秋斗の膝の上に乗らされてしまっている。
ちくしょう、今ほど子供の姿の自分を憎んだことはない。


「あんたって、何?」

「え、姉さんの弟だけど…」


何言ってるの?という顔で私の顔を覗き見る。
私が何言ってんの?だ。


「いや、そうじゃなくて…」

「あぁ、何で虚圏にいるかって事?」

「…まぁ正直言って全部。」

「じゃぁ寝る前に教えてあげるから待ってね」


秋斗は膝の上に載っている姉である私の頭を撫でる。
弟に子供扱いされ私は秋斗の手を払い除ける。
払い除けられても怒らず上機嫌な弟を見て私は密かに気持ち悪っ、と思った…


****************


「では我が君、ディオス様。おやすみなさいませ」

「あぁ、おやすみ」

「お、おやすみ…」


ウティルは一人で就寝の準備をして終わると去っていく。
確かに尸魂界でも同じような状況だったが此処では慣れない。
私と秋斗はベットに座って向き合っていた。


「さて、何から聞きたい?姉さんの聞きたいこと全部答えてあげる」

「…ディオスって、あんたのこと?」


私が聞きたいのは一杯ある。
だけどさっきのウティルの言った名前を聞く。


「うん、そうだよ。僕のもう一つの名前はギュゼル・ディオス。ここ、虚圏を治める王だよ」

「…おう……王!!?」


一瞬何を言っているのか分からずフリーズしてしまった。
秋斗はニコニコと笑っていた。


「ねぇ、姉さん。此処ね僕達がいた世界じゃないんだよ?」

「はぁ!?何言って…」

「ここね、"BLEACH"って世界なんだ。」

「ぶりーちって…髪を染める?」


ボケる…ってボケたくてボケてないのだが、そんな私に秋斗は笑ったまま首を振る。
おい、拾ってくれてもいいんじゃないの?


「まぁ、姉さんは知らないのは無理ないよね。姉さんって読みたいものしか読まないし。」

「?」


首を傾げる私に秋斗は尚も続ける


「ここはね、姉さん。漫画の世界なんだよ」

「漫画…!?」

「そう。BLEACHって言う漫画の世界。主人公は黒崎一護というオレンジ色の髪の男の子。一護はルキアと言う死神に出会ったことで死神の能力を手にすることになる。」

「………」

「仲間は井上織姫、石田雨竜、茶渡泰虎…死神なら朽木ルキア、浦原喜助、四楓院夜一。」

「……なんで、知って…」

「…言ったじゃん、漫画の世界って…僕BLEACH結構好きだったんだよ?」


そういう秋斗は悲しそうに笑う。
私は俯いてしまう。


「で、次に聞きたいことは何?」

「…なんで、あんたは虚の王なの…なんで漫画の世界にいるの…私みたいに死んだならわか…」

死んだよ


私は俯いていた顔を上げる。
秋斗は微笑んで真っ直ぐ私を見つめていた。


「姉さんが死ん原因、分かる?」

「…階段で…突き落とされて」

「うん、そうだね。どっかの屑が僕の姉さんを突き落として殺した。だから僕はそいつらを殺した。」

「え…」


秋斗の言葉に私は固まる。
秋斗の言葉もそうだが今秋斗の纏う雰囲気に冷や汗が出てきてしまう。


「ころ、した…?誰を…?誰が…何で…?」

「僕が、姉さんを突き落とした人間を、殺した。…僕から姉さんを奪ったんだ。当たり前のことだ」


私は初めて秋斗を怖い、そう思った。
だが私だって十二番隊の副隊長をしていたんだ。
顔にも態度にも出さず黙って聞く。
いや、正しくは何か言ってしまうと身体が震えるから言えないだけだ。

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