(130 / 158) 浦原娘主 (130)

来た道を戻っていった理由を思い出し真由美はまだブツブツとルキアに文句を呟いていた一護の代わりにドンドチャッカとペッシェたちにネルの事を聞きだそうとするのだが…二人もネルを追いかけて来ただけだと言ってネルの事は知らないと言う。
困っているとチャドがネルが落ちていったらしい穴を見つけだしてくれた。
穴は綺麗に四角に抜けており、真由美は恐る恐るその穴を覗き込む。


「なんだこりゃ…」

「床が抜けたのか?」

「いや…元々壁の中にあった通風口か何かだろう…どうやらここから落ちたようだな…」


雨竜の説明を聞き一護は頭をかき溜息をつく。
兄2人に名を呼ばれてもネルの落ちた先は深いのかネルの返事が返ってこなかった。
一護たちは放っておくことも出来ず下に行く事になり、一護は梯子を使わずそのまま飛び降り、真由美達は掛けてあった梯子で降りる事になったのだが…


「ば、馬鹿者!!真由美様はロングとは言え今はスカートなのだぞ!スカート!!それなのに真由美様を最初に行かせぬとはどういうことだ!!!……ハッ!…、…恋次…お前…まさか…真由美様のおパンティ様を拝む為にわざと…!?」

「ちげーーよ!!なんで俺が真由美さんのパンツ見るために死ぬような事を言わなきゃいけねえんだ!!っていうか何だよおパンティ様って!!普通に下着とかパンツとか言えばいいだろ!なに無駄に"お"と"様"を付けてんだ!!」

「何をいうのだ!!真由美様が身に着けておられる物全て恋次や民衆が買えぬ最高級で素晴らしいものばかりなのだぞ!!そもそも貴族であらせられる真由美様が普通のその辺のスーパーや店で売っているような物を穿くわけがない!!そんなこと兄様がお許しになるはずがない!!」

「朽木さん…阿散井…真由美さんがまた顔を赤くして蹲ってるんだけどその辺でやめた方が……ってあの…聞いてる?」

「いやいや!!ちょっと待てルキア!なんでそこに隊長が出てくんだよ!なんで隊長の許しを得なきゃ下着一枚買うことも穿く事もできねえんだよ!!」

「知らぬのか!恋次!!知らぬのなら教えてやろう!!真由美様の普段着から現世用下着まで全て兄様が選んでおられるのだ!!」

「なにいいい!?」

「な、なんですって…!?」


真由美の降りる順番は恋次の次なのだが…そこでまたルキアが暴走を始めた。
真由美の今の姿は死覇装ではなく虚圏特有の洋服のような服で、ルキア曰くおパンティ様が簡単に拝める服装だった。
少しワインドレスのように軽く絞められては入るがそれでも簡単に上を向けばおバンティ様が拝めるであろう。
ルキアは暴走すると周りが見えないタイプなのか本人がいるのに関わらず恥ずかしい言葉を連発する。
真由美はルキアの恥ずかしい自分の話しにまた居た堪れなくなりしゃがみ込んで先程より真っ赤な顔を覆っていた。
それに今度は雨竜が2人に声をかけるがやはり2人は聞こえていない。
しかもルキアは真由美本人も知らないことまで喋ってしまい、自分の着物や現世での下着は全てトキが選んでいると思っていた真由美はショックが隠せないのか漫画やアニメのようにガーン、という三文字が頭から振ってきていた。


「び、白哉さまったら酷い!!選べるんだったら私が選びたかったのに!!」

「いやいや!そこ突っ込むところ違うだろ!?」

「だって滅却師様!私だってイチゴのパンツとかリボンのついたパンツとかフリフリの着いたパンツとかつけてみたいんです!!それなのに白哉様ったら真っ白な下着しか選んでくれていなかったなんて…!!私だって女の子なのにーー!!!」

「女の子ならそうパンツパンツ連発するもんじゃないと思うけど…」


着物しかない尸魂界に下着というものはない。
着物の下に下着という歴史がないのだ。
だから現世から死神になった真由美は可愛い下着を着けたいというのはある。
死ぬ前、立派な学生だったから余計だろう。
それなのに知らずに渡された現世用の下着は全て真っ白純白な白ばかり。
少しは模様とか色とかついててもいいんじゃない?と思うけど渡されるのは全て白。
我に返り真由美の話を聞いていた恋次は『隊長って白の下着が趣味だったのか…案外エロ親父だったんだな…』と、失礼な事を思っていた。
そんなこんなで時間もないなか、終わらない言い合いは終結を向かえルキアが暴れた結果真由美が最初に降りる事になった。


「うう…もう帰っても白哉様とは当分口聞きません…」


真由美は半泣き状態でゆっくりと梯子を降りていき、真由美の次のルキアの次の恋次は真由美の言葉を聞きながら『俺も隊長を見る目が変わった…』と頭の中で真由美に賛同していた。
暫く降りていくと最後尾のドンドチャッカ達の下にいた雨竜の頭上からパラパラと何か屑のよう物が振り落ちてきているのに気付き雨竜は顔を上げる。


「何だ…?」

「ん?我々の上から聞こえるな…」

「でやんす」


ドンドチャッカ達も気付き顔を上げると上から瓦礫のようなものが落ちてきているのが肉眼でも分かり、雨竜の『飛べ!』という叫びに全員一斉に梯子から手を離す。


「真由美さん!!」


今は普通の少女になっている真由美は当然飛び降りても怪我をしないとは限らない。
真由美に擦り傷1つでもさせたらここに居ない白哉の斬魄刀を身に受ける事になる、と恋次はない脳みそで瞬時に思い、落ちていく真由美へと手を伸ばし抱きしめる形で一緒に落下していく。


「黒崎逃げろ!!」

「?…おい、お前ら…」


真由美は恋次に抱えられお陰で怪我なく着地できたが緊急事態なので恋次に横抱きにされながらその場を急いで離れる。
みんな飛び降りてきて慌ててその場から離れ、雨竜の言葉に首をかしげていた一護だったが上からドンドチャッカとペッシェが降って落ちてきて退かしたと思ったら瓦礫のようなものまでもが一護の上から落ちてくる始末…
当然回避できなかった一護1人だけが瓦礫に埋もれてしまった。


「い、一護様が…」

「大丈夫です、真由美様。一護なんて刺されても平気です!…………きっと。」

「きっとってなんだよ!!きっとって!!!俺だって刺されたら死ぬわ!!」

「……生きていたのか……運のいい奴め…

「おいーー!!ルキアてめえ!!今聞こえたぞ!!今ボソッと運のいい奴めって言っただろ!!!何だ!?何だよお前!そんなに俺を殺したいのか!?ええ!?」

「とにかくここからでよう。真由美様にこのようなところをいつまでも歩かせるわけには行かぬ」

「そ、そうだな…」

「他にも階段があるか探してみよう。」

「というかいつまで真由美様の美しく神聖なお体に触れている…その汚らしい手をどかせ、恋次……凍え死にさせるぞ。

「す、すみません…」

(ルキア…なんか前より怖い…)

「無視かよ…!!」


真由美に心配されるなんて羨ましいんだよお前、という冷たい目で見つめ、冷たく言い放つルキアについに一護は切れてしまい怒鳴り散らすがルキアどころか全員に無視されてしまい一護の怒りゲージは上がる一方である。
唯一の救いは心配そうに振り返ってくれる真由美だろう。
先に進んでも進んでも暗く先どころか足元も見えない状態が続く。
恋次が鬼道で赤い光で照らそうとするが元々恋次は鬼道という細かい物は苦手とする類であるため、物凄く小さい赤い光の出来上がりである。
その小さな光だけでも漆黒の闇は明るく照らされる。


「なあ、この建物って藍染が来る前からあるのか?」


歩いていると上の建物とは違い年季があり古臭い場所を一護は見渡し疑問に想い、虚であるネルたちに疑問を問いかける。


「上の建物は藍染様がお建てになったんだもの地下の事は良く知らないっす。」

「恐らくこの建物は昔の建物で……」

「あ!もしかしたらディオス様の別荘跡なのかもしれないっすー!」

「ディオス様…?」


雨竜が憶測だが自分の考えを述べようとしたのだが、ネルが遮ってしまう。
決してわざとではない事は短い間だが雨竜も知っているのだが…自分が言いたかった事を遮られるのはわざとでもそうでなくてもいい気分ではなく、雨竜は何も言わず眼鏡を上げる。
ディオス、という先も聞いた名前を耳にし、ルキアがネルに振り返る。
ルキアが立ち止まったので自然と全員同じように立ち止まり、真由美以外不思議そうにネルを見下ろしていた。


「さっきもディオス様、と言っていたが……そのディオス様とは誰なのだ?」

「んな…!?あ、あんたらディオス様を知らねーっすか!?」

「あ、ああ…」


ちょっとした疑問で聞いたルキアと周りの死神たちの首をかしげる反応にネル、ドンドチャッカー、ペッシェは信じられない、と言う風に大袈裟な反応を見せ、その反応に一護達は余計分からなくなってしまう。
ただ、真由美だけは気まずそうに目を逸らし俯いていた。


「ディ、ディオス様を知らないなんて!田舎者っすか!?いや!田舎者でもディオス様を知っているんすよ!?それなのに…知らないなんて……信じられないっす!!!」

「そ、そんなに有名な人なのかい…?」

「有名も何もディオス様は我らの王であらせられるんだ。」

「「「お、王!?」」」


ネルに続きペッシェの言葉に真由美以外の全員が目を丸くして3人を見つめる。
ネル達は何故かフン!、と胸を張り自慢げにしていた。


「そうっす!ディオス様はネル達の王であらせられるっす!王であるディオス様はそれはもう!素晴らしいお方っすー!そのディオス様の腹心であらせられる破面のウティル様とベルシダ様はネル達虚の憧れの的なんす!!」

「王って…藍染じゃねえのか!?俺はてっきり藍染かと……」

「藍染様はディオス様に全てを任されている信頼におけるお方っす!」

「藍染様はディオス様が唯一心を許した死神なんでやんす!そんなお方に歯向かうなんて恐ろしい死神達でやんすな…!!」


おー怖い怖い、とわざと体を震わせ怖がるドンドチャッカ達に一護はイラァっとさせつつも無視を決めた。


「じゃあ藍染を倒してもそいつがまだ立ち塞がるって訳だよな…」

「王というのだから藍染よりは強いのだろうか…」

「そりゃそうだろ?藍染の後ろ立てなんだろうし…もし藍染が王を騙しているというのなら話は別だろうけど、虚達の王がそんな弱いはずがない…」

「いつご達は藍染様だけじゃなくディオス様まで倒そうとしているっすか?」

「まあ…必要とあれば、な…」


一護は藍染が虚圏の王だとばかり思っており、それは真由美以外のルキア達もそう思っていた。
その場にいる者だけではなく尸魂界の全ての死神がそう思っているだろう。
まだまだ敵がいると知った一護は負ける気も引き下がる気もないが面倒臭そうに顔をゆがめる。
自分達が今ここにいる目的は敵を倒すことではなく織姫と真由美の救出なのだから当然だろうが、ちょっぴり本音を言うと一護は敵を倒すのも目的だったりもする。
そんな一護達にネル達虚は顔色を青くさせ残像が見えるほど首を振った。


「む、むむ無理っすーーー!!!無理っすよ!!ディオス様は王っすよ!?ネル達の王っす!!あの十刃の人達でさえ無条件に頭を下げる王っす!!例えいつご達が藍染様を倒されたとしても!いくら死神達を総動員したとしても!!ディオス様を倒す事は不可能っす!!」

「落ち着けって!…お前達がどんなにそのディオスって奴を慕っているかは分かったが俺達は後に引けないんだ!」


興奮するネルを一護が止めるが、止められたネルは俯き、雨竜が一護の後に続き眼鏡を上げながらネルを見下ろす。


「黒崎の言うとおりだ…僕達は井上さんを助けなきゃいけない…それに藍染も倒さなきゃならない……だからもしディオスという人が向かってきたら僕達は当然刃を向ける……君たちがどんなにディオスという人を慕っていたとしても僕達も戦い、負けられない理由がある……辛いだろうけどそれを分かってほしい…」

「…………」


ネルは雨竜の言葉に黙ってしまい、一先ず先を進むことにし、ネル達は落ち込んでいた様子も消しいつもの調子を取り戻す。


「………」


ただ……ただ、真由美だけは黙ったまま少し俯かせ一護達の後に続く。
ドンドチャッカが何か光るものを見つけ、本能のままにそちらに行ってしまったため、一護達は慌てて後を追うと目の前には大きな扉が建っていた。
その扉を一護が壊し階段が現れ、一護は次々と壁や扉を壊していく。
壊していくとやっと地下ではないであろう場所に着き、真っ暗闇だったさっきまでの道とは違い松明があるため室内は明るくかった。
その部屋は5つの道に分かれており、一護達は別れて進むことにし、その際古くからある護廷十三隊伝統の儀式のようなものを6人でして別れる。
真由美はこの中で一応副隊長である恋次について行く事になった。

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