(137 / 158) 浦原娘主 (137)

真由美が恋次を治療している間、雨竜は1人で破面と戦っていた。
しかしザエルアポロは雨竜の力も解析済みで、雨竜の矢の威力も徐々に弱まり終いにはゼーレシュナイダーが消えてしまう。
武器ひとつない無防備な状態の雨竜に破面の大きな拳が向けられ雨竜は衝撃に耐えるように目を瞑った。
…が、痛みと衝撃が中々襲ってこない為目を開けると雨竜の目に破面の拳を蛇尾丸で止める恋次の姿が映り、雨竜は目を丸くする。


「阿散井…!?」

「ぼさっとすんな!!上げ足取りはてめえの十八番だろ!?あいつの手の裏かく手段はねえのかよ!!」

「…馬鹿な事を言うな………あるさ…」


恋次は治療もそこそこにピンチな雨竜を助けに向かい止めていた破面の拳を弾き飛ばし、雨竜は恋次の言葉に不敵に笑う。
恋次も雨竜の言葉に振り向きならが笑った。


「よおし!!信用してやるぜ!!下手打つんじゃねえぞ!!」

「問題ないさ!君が打たなければね…!」


恋次の後ろから横へと移動しながら雨竜は笑みを深める。
だがふと疑問に思っていた事を恋次に聞く。


「ところで…」

「あ?」

「あの破面は味方かい?」

「あの破面…?」


あの破面、と聞き首を傾げながら雨竜を見ると後ろへ目をやる雨竜の目線の先は真由美の後ろにいる中国人風の破面。
その男はまるで真由美を守るようにそばに寄り添っていた。
最初雨竜は真由美を抱きかかえられているのを見てあの男も攻撃を加えようとしたが真由美が嫌がっている素振りも見せずにいるので打たずにいたのだが…


「ああ、あいつは俺達の味方というか…真由美さんの味方だから一応は味方か?」

「なんだい、それ…」


恋次は別に気にする様子もないし、一応は味方らしいと呟く。
首をかしげる恋次を横目で見ながら雨竜は攻撃しなくて良かった、と安堵の息をつく。
そして雨竜は男、ウティルから目の前に立つザエルアポロへと目線を戻す。


「阿散井」

「…!」

「あいつを何秒足止めできる?」

「悪ぃが…長くて20秒ってとこだ……」


恋次は雨竜の言葉に雨竜からザエルアポロへと目を戻す。
恋次の言葉に雨竜は目を細める。


「そうか…十分だ!」


雨竜の合図で両者動き、まず先に仕掛けたのは恋次だった。
恋次は始解し、蛇尾丸を頭上に持ち上げ勢いを付けて回す。
長く大きな蛇尾丸が音を立て回り続けることで少し強い風が吹き荒れる。


「何をしてくるかと思えば……やはりただの力押しか…」


ぐるぐると自身の斬魄刀を振り回す恋次にザエルアポロは嘲笑を浮かべる。
恋次はそのザエルアポロの言葉などに耳を傾けることなく、ザエルアポロへ真っ直ぐに勢いよく放つがやはり弾かれてしまう。


「――!」


しかし恋次はそのまま突進し、ザエルアポロの胸元を掴んだ。
それには予想外なのかザエルアポロは目を丸くさせる。
弾かれた蛇尾丸をそのまま自分とザエルアポロの周りを巻くように動かし、固定する為に蛇尾丸の先を床に突き刺す。


「何の真似だ?…生憎僕にはそういう趣味はないんだが……」

「………よ……の…面……ば……海隔て…逆…南へと……進めよ…」


ザエルアポロの言葉に恋次は何も言わない。
…否、何かブツブツと呟きザエルアポロの言葉など無視をしていた。


「おい、なんとか…」

「確かに始解の俺とてめえじゃ力の差はでかい…接近戦なら分があるとも思っちゃいねえ…だがよ……力の差がでかくとも、流石に0距離で喰らやぁちょっとは痛えだろ?」

「…っ!!」

「俺は昔から鬼道が下手でな…加減できずに暴発してよく怒鳴られたもんだぜ……さあ、俺とお前どっちが硬ぇか勝負といこうじゃねえか!破道の三十一!赤火砲!!!」


鬼道によってその場は爆発音が響き、爆風が真由美達を襲う。
真由美は強すぎる鬼道の爆発と爆風に悲鳴をあげ飛ばされそうになったがウティルが抱き寄せてくれたお陰で飛ばされずにすんだ。


「恋次くん…ッ!」

「我が君…!!」


鬼道の強さに恋次も食らい倒れてしまう。
恋次が倒れた瞬間真由美は居ても立っても居られずウティルの腕の中から抜け出し倒れる恋次へと駆け寄り、ウティルも慌てて真由美を追いかける。


「くそ…!!死神風情が舐めた真似しやがって!!」

「予想通りだ。」

「――!!」


煙から出たザエルアポロはボロボロで、真由美に抱き起こされている恋次を睨みつける。
真由美は恋次を守るように恋次の頭を胸に抱き、恋次に何かされると真由美にも被害が及ぶと考えたウティルは恋次と真由美の前に立ち白龍寐を向ける。
しかし背後に雨竜が回っていたらしく、ザエルアポロは雨竜の声に後ろへと振り返った。


「阿散井の攻撃を受ければそれが成功しようが失敗しようが阿散井と逆の方向に退く……そしてその距離も…」

「…………」

「君は相手を見下すのが好きなようだからね…攻撃を受けたら敵の手の届かないギリギリの距離を取る癖がある…」

「…それが何だ…君こそ随分と後ろを取るのが好きらしい……それで勝ったつもりか、滅却師!」

「ああ、そのつもりだよ…」


ザエルアポロの言葉に雨竜は小さく笑う。
そして、手に持っていたゼーレシュナイダーを床へと差し込むように叩きつける。
するとザエルアポロの周りに5つのゼーレシュナイダーが光だし滅却師の模様を作り出し、ザエルアポロの足元を拘束した。


「馬鹿な…!!お前の武器の霊圧は全て封じたはず…!!」

「世界には、君の知らない物もあるって事さ………解り易く君達の言葉で今の状況を説明してあげようか?アスタ・アキ…終わりだよ、ザエルアポロ・グランツ」


雨竜の手元には1つの小さな筒が握られていた。
その筒を斜めにし、その筒の中に入っている液状の物をゼーレシュナイダーへと垂らした。
液体がゼーレシュナイダーに触れた瞬間ゼーレシュナイダーから大量の霊圧が溢れ大きな爆音とともにザエルアポロを爆発に巻き込む。

溢れるような光と風に真由美はたまらず目を瞑った。

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