(14 / 158) 浦原娘主 (014)

もそもそとみたらしを食べている途中、熱い視線を感じる。
その視線のする場所へ目をやれば姫桜より派手なピンクの髪の女の子が部屋を覗いていた。

真由美は驚き持っていたみたらし団子を落としそうになる。
着物に落とす前になんとかキャッチしたが真由美の心臓はバクバクいっていた。
真由美は図太い性格をしているため、めったに驚きはしないのが、何故そんなに驚いているというとその女の子の口から涎が大量に流れていたからだ。
行き成りそんな姿を見せられては誰も驚くに決まっている。

女の子は真由美がもっているみたらし団子しか視界に入ってなかった。
真由美は持っていたみたらし団子を横に移動させる。
すると女の子はお団子を追って目を動かす。
そしてまた持っていた団子を逆方向へ移動させる。
そして目が団子を追う。
その繰り返し続けると真由美は口をつけていない方のみたらし団子を女の子の方へ向ける


「た、食べる?」

「わー!ありがとう!」


女の子は一瞬にて真由美の目の前に現れる。
瞬間移動!?と真由美はまた驚くがそんな真由美に気付かない女の子は素早いスピードでみたらしを平らげる。
女の子の幸せそうな顔で真由美は思いついた。


「ねぇ、一緒にたべてくれないかな」

「え?いいの!?」

「一人でたべきれないから…」

「やったー!じゃぁコレとコレとコレとコレとコレとコレはやちるのね!あとはかっしーにあげる!」

「か、かっしー?」


やちる、というのかこの子は…しかしかっしーとは私のことなのか?と真由美は勝手に振り分けられたお菓子を食べながら思った。
なんかやちるちゃんの方が多い気がするが真由美は助かったので気にしないことにした。


「ねぇ、なんでここにいるの?ここ私の家なんだけど…」

「んーっとね、散歩をしてたらいつの間にか此処にいたの!」


あぁ、迷ったんですね。
多分自分が迷ったなんて思いもしないやちるに真由美は乾いた笑しかでない。
二人は黙々とお菓子を食べるが、黙々なのは真由美だけで、真由美はやちるが喋るのを聞いているだけ。
喋らないのを気にしないのか、やちるはマシンガントークを続ける。


「そんでね、つるりんの頭にお絵かきしたら怒られちった!」

「それは…おこられるよ、やちるちゃん…」

「追いかけっこしてたらね?剣ちゃんが見えたから剣ちゃんに飛び乗ったらつるりんったら剣ちゃんにぶつかったの!」

「へ、へー…」

「今度はつるりんが追いかけられる番になったんだ!!楽しかった!」

「それはよかったね。」

「うん!!」


真由美はつるりんも、剣ちゃんも知らない。
だからどう反応したらいいかわからず生返事になってしまう。
だがやちるはそんな真由美に気にする事なくペラペラ喋りまくる。
正直真由美はやちるのテンションについて行けない。

やちるは日が沈みかけ、空が赤くなり始めた夕方に帰っていった。
真由美のお菓子をほとんど一人で平らげたやちるは手を振りながら一瞬にして消える。
彼女は加速装置がついているのだろうか、と本気で考えながら真由美はやちるに手を振り返す。


****************


それ以来やちるは毎日同じ時間に来る。
帰る時間はマチマチだが必ず来てはお菓子を一緒に食べ、一人で喋っては帰るの繰り返しである。
友達と言えない関係だが、生前には友達がいなかった真由美はこんなもんだろうと自己完結いた。
もしかしたらあっちは友達と思っていないかもしれないし、とどこか冷めたことを思いながら喜助の帰りをまつ。

屋敷の人達は何故かやちるに気付かない。
本当にこの屋敷は大丈夫なのだろうかと本気で心配する真由美。

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