「真由美ちん!今日は何して遊ぶ?」
「今日は…やちるちゃんが遊びたいのでいいよ?」
やちるが浦原家に密かに通い早二週間が過ぎる。
因みに、教育もいつの間にかお嬢様教育に変更し、生前では考えられないほどの口調になった。
父親なんて"様"ではなく"さん"だったのに…
人を呼ぶときもまさか様付けで呼ぶ事になるとは思いもしなかった。
何時もなら控えめな真由美に合わせ、貝合わせや人形遊びなど部屋で出来る遊びをしていたがそれも飽きはじめ、すでに二人で出来る遊びが尽きていた。
やちるが此処
(真由美の部屋)に来て毎日言う言葉に考えるがいつも一人で本を読んでいた真由美に貝合わせ等以外の遊びを思いつくことが出来なかった。
鬼遊びはこの狭い場所ではすぐ捕まえられるし何よりやちるは瞬間移動ができるので真由美が不利だ。
というか不公平だ。
隠れ鬼はこの狭い部屋ではすぐ見つかり、目を隠しても見るかる可能性が大なので意味がない。
真由美は元々貴族でもないし、流魂街に居たころもそんなに遊ぶ子供でもなかったのでレパートリーが少ないのだ。
だから自分より遊ぶ事に長けているやちるに任せることにしたのだが…
その判断で真由美は少し後悔することになる。
「じゃぁ、外行こう!!」
「そと?」
「外に行って、鬼遊びで遊ぼう!」
まさか外で遊ぼうといわれる事を予想していなかった真由美は目を丸くする。
「でも…やちるちゃん足速いし…」
「ちゃんと手加減するから!」
「外って言ってもひろいし…」
「範囲も決めるよ!」
「トキたちに言うと誰か付いてくるよ?」
「言わなきゃいいんだよ!」
「え"…それはどうかと思う…」
外に出なくてならないという事はトキか使用人の誰かに言わなくてはならないという事。
そうなれば絶対誰かは付いてきて、コケてしまったら怪我がなくても絶対、必ず、必然的に屋敷に帰される。
そうなればもう外には出れないだろう。
ありえないだろソレは。という人もいるだろう。
だが喜助や夜一も含めこの屋敷の者はありえるのだ。
やってのけるのだ。
もしそうなればもうやちるとは外で遊べないし、下手したらやちると会えなくなる。
過保護を通り越して超絶過保護の周りの人間にげんなりする真由美だった。
「だめ?」
「……………」
駄目ではない。
むしろ大歓迎だ。
いくら庭があるからと言え真由美だって外の空気を吸いたいのだ。
外出禁止など誰も命令してないのだがこう過保護になられると帰りたくなり、外に行くのが嫌になる。
だがせっかく、やちるが言ってくれているのに断るのも悪いので、結局真由美は外の方を選ぶ。
「いいけど…トキ達に言って準備してから、ね?」
「準備ぃ〜?」
やちるはすぐにでも遊びたいのか不満顔で真由美を見る。
真由美は苦笑いでやちるを諭す。
「だって、こんな格好じゃ走れないし、走りにくいよ…それに汚したら大変だから」
「ブー!」
頬を膨らませるやちるを見て真由美はクスクスと鈴を転がすように笑い、やちるの両頬を突っつく。
「やちるちゃんの頬、お饅頭みたい」
真由美の笑みでやちるは不機嫌な顔から満面の笑みになる。
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