「あかりちゃーん!こっち頼むよー!」
「は、はーーい!!」
「あかり姉!!こっちにも!!」
「はい!!」
「お姉ちゃん新しい包帯持ってる!!?」
「今持ってくるから待って!!」
皆さん、何故私は黒崎医院で働いているんでしょうか…
ナース服なんて着た事なかったので貴重な体験できて良いがこんな大変な思いするなら黒崎家と仲良くするんじゃなかった…
「ただいまー」
と、人でなしなことを考えていたら黒崎君が帰ってきた。
「どいた!どいたーー!!」
「どうした夏梨、なにあわて…て……」
夏梨ちゃんが黒崎君を無視し通り過ぎる。
「お兄ちゃんどいてー!」
「うお…なんの騒ぎだ、おりゃ…」
「お帰り、黒崎君」
「あかり、一体どうし…」
私はとりあえず誰にも相手にされなかった黒崎君に話しかける。
黒崎君は私に振り向くと固まる。
ちょっと顔が赤いけど熱かな?
「どうしたの?」
「あ、いや…お前もどうしたんだその格好…」
「手伝ってって言われて…この服渡されたの…」
「……断れば良いのに…」
「だって大変そうだったし…断れないし…」
「…服だけでも断れば…ってそうじゃなくてどうしたんだ?何かあったのか?」
目を背けたままだった黒崎君は私の方を向く。
そんなに私って酷いかなぁ…
落ち込みながら事情を説明する。
すると一心さんの声が響き、黒崎君はそちらに向かう。
私はそのまま遊子ちゃんの手伝いに行く。
「茶渡くん!!?」
私は次々に運ばれてくる患者の中で茶渡くんを見つける。
夏梨ちゃんと遊子ちゃんが懸命に運ぼうとするが茶渡くんの巨体では運べない。
私も微弱ながら力を貸すが少ししか変わらない…
なんとか一心さんと黒崎君が来て運んでもらったが…
どこかに行こうとする茶渡くんを一心さんがベットに寝かせる。
朝、茶渡くんがいなくなる。
これは予想通りだから何も驚きはしない。
私は一心さんと黒崎君が探しに行ってる間に遊子ちゃん達を任されたので残る。
****************
「夏梨ちゃん…」
夏梨ちゃん達の部屋に入るとそこには夏梨ちゃんがいなかった。
遊子ちゃんには外には出ないように言って私は直ぐ家を出て夏梨ちゃんを探す。
私は霊感があるけど死神じゃない。
場所が分からないから闇雲に探すしか他になかった。
「黒崎君!」
「斎藤!?」
偶然にも夏梨ちゃんを抱いていた黒崎君を見つけた。
「なんでここに…」
「夏梨ちゃんの様子を見ようと思っていなかったから…」
「そうか…斎藤、夏梨を頼む」
真剣に見てくる黒崎君に私は力強く頷く。
そのまま私に夏梨ちゃんを預け黒崎君は走っていく。
「う…一兄…」
「……大丈夫、だよ。黒崎君なら大丈夫。」
「……あかり、姉…?」
「大丈夫だから今は休んで、ね?」
「あかり…姉…」
夏梨ちゃんはそのまま眠ってしまった。
意識のない人間は重いが頑張って家まで送り届ける。
こんなにも力がないことを悔しいと思ったことは初めてだった…
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